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8回途中までヒットを許さない好投を見せた斎藤。
※写真は東大戦のものです。
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各メディアで注目を集め、観客動員数36000人は斎藤フィーバーに沸いた07年春の早慶戦以来。紺碧の空のもと外野内野ともに立ち見もいっぱいになる熱戦となった50年ぶりの早慶による優勝決定戦は打撃陣が奮起し、10−5で42回目の優勝を決めた。
「1番、センター、土生」
この瞬間、1塁側スタンドがどよめいた。
普段はクリーンナップを打つ今季首位打者を1番で起用。
「5番、ライト、地引」
代打に2度成功した期待の2年生の初スタメンは50年ぶりの大一番だった。
1勝すればワセダの優勝。秋のリーグ戦で勝ち点を1つも落とさずに臨んだ早慶戦でこれほど苦しむことになるとは誰が想像していただろうか。2試合でわずか1得点の23残塁。決定力の差が露呈した。この前日、ワセダはOBも交えて徹底的に打撃練習を行ったという。そしてこの日、應武篤良(昭56年教育卒)監督の下した決断は奇襲だった。
慶應のピッチャーはワセダに3連勝している竹内大助(環2)。1番・土生翔平(スポ3)は詰まりながらもセンター前にヒットを放ち監督の期待にこたえた。2番は今季から正捕手の座に就いた市丸大介(教3)。竹内が3球目を投じるとともに走る土生、市丸の打球は1,2塁間を破り見事ヒットエンドラン成功。そして副主将としてチームを支えてきたチャンスに強い男・宇高幸治(スポ4)は犠牲フライでしっかり役割を果たす。1−0。待ち遠しかった‘先制点’がとれた。なおも1死1塁で打順は4番・山田敏貴(社4)。1度はスタメン落ちも経験した主砲もヒットで続く。そして注目の5番・地引雄貴(スポ2)。前述のように代打に成功し、前日の新人戦では3安打を放ったノリにノッている男はセカンドゴロに倒れながらも市丸が帰還し追加点。その後、杉山翔大(スポ2)、松永弘樹(スポ4)、松本歩己(スポ3)も続き山田の好走塁も相まって一回表が終了し、3−0。試合の流れを手繰り寄せて、主将・斎藤佑樹(教4)がマウンドに上がる。
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先制となる犠飛を放った宇高。好守でも斎藤を援護。 ※写真は東大戦のものです。
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この日の斎藤は「完璧ではなかった」と語るものの絶好調だった。トップバッター渕上仁(4年)から三振を奪うと、すぐさま凡退の山を築き、試合にリズムを与える。その後も「貧打」と呼ばれた打線が嘘のように毎回攻め立て、2死1、3塁から斎藤もタイムリーを放ち追加点。3回には竹内を、6回には福谷浩司(2年)をマウンドから引きずり降ろして試合を決定づけた。
7回終了時で7−0と大量リードのワセダ。斎藤は宇高、松永の4年生二遊間コンビにも助けられて、ここまでノーヒットノーランのピッチング。しかしいよいよ優勝が見えた8回に落とし穴が待っていた。エラーのランナーを2塁に置くと慶應に初ヒットを許してしまう。その後も立て続けにヒットを許し、5点を献上したところで大石に交代。1打同点のピンチにもワセダの守護神は動じなかった。空振り三振で切り抜けると、3点の援護ももらって臨んだ9回裏もきっちり三人で終わらせてゲームセット。
普段は斎藤、大石、福井(優也,スポ4)ら投手陣の陰に隠れてしまう打撃陣。しかしこの日は松永、宇高、山田ら4年生を中心に先発全員安打で17安打の猛攻を見せた。勝った方が優勝という5月31日に行われた春の早慶戦3回戦では目の前で胴上げされるという苦杯をなめた。それから5カ月、惜しくも同カード、同条件で今度は今季で勇退する應武監督が宙に舞った。
関連URL
早稲田大学硬式野球部公式サイト
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