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2011/7/7〜7/10[競走部]

アジア王者を決める戦いでディーンが世界選手権選考に挑む! 第19回アジア陸上競技選手権


 7月7日〜7月10日、兵庫県・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場にて第19回アジア陸上競技選手権が開催された。日本人トップの座を争った先月の日本選手権に対して、今大会はアジア王者を決める戦いであるとともに8月下旬から韓国・大邱で行われる世界選手権に向けた最終選考の場でもある。IAAFの規定によりこの大会の優勝者は世界選手権A標準記録突破の資格を与えられる。そのため海外選手と日本人選手による記録と順位を追求した白熱の4日間が繰り広げられた。
 早稲田から出場したのは競走部内で最も世界に近い選手、やり投げのディーン元気(スポ2)である。大会毎に記録を伸ばし続けているものの、あと一歩のところで届いていない世界選手権B標準(79.50m)。この標準を切る最後のチャンスである今大会の開催地、兵庫県は彼の出身地でもあることから、大会に懸ける想いは人一倍強かった。


 

リラックスを心がけるディーン。直前の調子が良かっただけに記録への期待がかかった。

 1投目、最初に試技を行ったのは昨年のアジア王者、村上幸史(スズキ浜松AC)。既に世界選手権への内定を決めている彼は77.99mとリラックスした投擲を行う。一方のディーンの1投目は70.19m。日ごろから序盤はセーブした投擲を行っている彼だが、それでも標準越えを狙っている者としては不安の残る投擲であった。3投目の折り返し地点で8位。後半での巻き返しが期待された。4投目に村上が雄叫びをあげながら投げたやりが80mラインよりはるか先へと突き刺さる。記録は大会レコードを更新する83.27m。彼のガッツポーズとともに会場中は歓声に包まれた。この流れに乗っていきたいディーンであったが4、5投目と記録がいまいち振るわない。そして最終投擲6投目。以前から「最終投擲は狙わずにとにかくリラックスして投げるようにしている。自然な感じで投げることでやりが素直に飛んでいくことも多い」と話していたが、まさにそれを体現するかのようなスムーズな投擲に見えた。しかし記録は73.16m。この投擲をもって世界選手権への夢は絶たれた。ギャラリーも彼の記録突破を期待していただけにため息が漏れた。それを感じたかのように頭を深々と下げるディーン。記録は4投目に出した76.20mの第7位。いつものような笑みを見せることなく、静かに会場を後にした。


 

試技中もコーチと度々話す姿が確認された。

 競走部ホームページ内には選手による部員日記が連日更新されている。その部員日記を4日前にディーン自身が担当し、その文面には「今回は充実したトレーニングを積むことができ、体も作り直すことができたので日本選手権より調子は良いです」と書かれていた。しかしこの大会では今季シーズンベスト80mを越えている選手が15人中4人。今シーズン彼が経験してきた大会とは明らかにレベルが異なっていた。そのせいか普段は堂々と構えた雰囲気を感じさせるディーンが試技前にトラックでダッシュしたりフォームを何度も確認したりする姿が幾度となく見られた。世界選手権代表を懸けたここ大一番でのプレッシャーも少なからずあったのか本来の力を出し切れなかったように感じられた。それでも世界への挑戦は終わったわけではない。今年の夏には世界から学生のトップが集まって行われるユニバーシアード(中国・深センで開催予定)の代表候補に選ばれている。まずは学生として世界の頂点に立ち、来年のロンドンオリンピック、そして2年後に再び開催される世界選手権においてパワーアップした投擲で会場中を湧かせるためにも、今大会で見えた課題を改善しながら納得のいくパフォーマンスの追求を目指していきたいところである。


関連URL
早稲田大学競走部公式サイト

(TEXT=矢野真由実、PHOTO=矢野真由実、平尾実夏)
 


 
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