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2004/4/28掲載 第6回

スピードスケート 土井槙悟 第6回

 3月は地元に帰り、ゆっくりと昨シーズンのレースを振り返ることができたという土井、そして4月になり大学生として3回目の春を迎え、また新たな一年が始まった。昨年6月に、初めて土井にインタビューをした時は、「伸びる年にしたい」と語ってくれたが、昨シーズンはその言葉どおりに、国内で結果をだし、1シーズン通じてW杯に出場。W杯最終戦のへレンベーン大会では記録の出ない低地のリンクで5000mの自己ベストを記録するなど、スケーティングに関しても好感触をつかみ大きな飛躍を遂げたシーズンとなったが、トリノ五輪のプレシーズンとなる今年、土井はどんな目標を持って一年を送っていくのだろうか。

「昨シーズンは、夏場から大きなことを沢山言っていましたし、懸けていたシーズンだったので、大きなプレッシャーがあったんですけど、目標だったW杯に出場でき、本当によかったです。振り返ってみて一番印象に残っているのは、W杯最終戦のへレンベーン大会ですね。5000mでも自己記録が出せましたし、スケーティングに関しても今年につながる大きな手応えをつかむことができましたから。今年は全日本距離別選手権もディフェンディングチャンピオンとして向かえるわけですけど、そういったことは特に意識せずにレースに臨むと思います。でも負けるのは嫌なので絶対に一位になります。5000mも最低でも国内で5位以内には入れるようにしたいと思っていますね。今年の目標はまずW杯でAグループに上がることと、世界距離別選手権出場、それと世界選手権出場の3つです」


 

 今年は、「世界距離別選手権出場」に加え、新たに「世界選手権出場」を目標に加えた土井。これらの目標を達成することは、土井が世界レベルで戦うことのできるスケーターであることの証明になる。特に500m、1500m、5000m、10000mの4距離を滑っての総合順位で争う世界選手権はオールラウンダー世界一を決める権威ある大会で、出場のためのハードルは高い。だが昨シーズン最後に確信の滑りができたことが、大きな自信となっている土井は、今年もその勢いを持続したままに、目標達成を狙っている。

――1500mを得意にしている選手は1000mも得意にしているケースが多いですけど、土井君が5000mにこだわって、なおかつ世界選手権出場を目標に加えたのはなぜですか?
日本は短距離を中心に考える傾向があって、1500mの選手なら1000mもこなすといった考え方が主流ですけど、僕は5000mをしっかり滑れることは1500mに生きてくるという考え方ですし、長い距離も短い距離も滑れるオールラウンダーになりたいので今年は世界選手権を狙っていきたいと思っているんです。昨シーズンは最後に5000mでいい滑りができましたし、今年も5000mでその時の滑りをして、あと500mと10000mをしっかり滑れば4種目総合でもそこそこの順位にはいけると思うんですよ。


 

――ちなみに土井君は小さいころから長距離を得意にしていたんですか?
小さいころから長距離が得意だったんですけど、500mといった短距離を滑っても負けない感じでした。ただ短距離は、今明治大学にいる小原(編注・小原唯志選手 白樺学園高卒、明大3年生、500m、1000mでW杯に出場するなど活躍している)には勝てなかったです。でも小原とは小さいころからの親友ですし、今は距離が別れているので、競うこともありませんがいいライバルでもあります。大学1年の時は小原に先にW杯行かれて、大学2年の時は世界距離別選手権に先に行かれて・・・、今年こそ勝ちたいですね。

 昨シーズンは、満足できるシーズンを送り、大きな自信をつけたものの、それだけに慢心することなく、また新たな目標を掲げ、更なる成長を目指す土井。端から見ていてもスケーターとして順調に成長していることがうかがえる。だが、振り返ってみれば、大学一年次は自分の練習法に自信が持てず、不安を抱えたままシーズンに突入し、思うような結果が出せずに苦心の一年を送っていた。けれども、そういった不調の時期を乗り越えた経験が、昨シーズンの活躍につながり、なにより大学四年次に行われるスケート人生のすべてを懸けた大舞台、「トリノ五輪」を目指していくうえで大きく役だっていると土井は言う。

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(TEXT、PHOTO=中島和朗)

 

 


 
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