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早稲田スポーツ探訪

  私が所属しているのは、ベーシックスキークラブ。みなさんは、基礎スキーと言うものを知っているでしょうか?基礎スキーは、競技のようにタイムを争うのではなく、滑りの上手さやきれいさ、技術などを審査員が採点し、順位を争います。言ってみれば、“フィギュアスケート”のように、いかにかっこよく滑るかということです。スキーサークルって冬以外なにしてんの?という疑問を持たれると思います。普段は、ランニングや筋トレ、ローラーブレードでのスキー疑似体験など陸上トレーニングを行っています。12月末に、北海道で冬合宿を行い、1月はテストで一旦活動休止。終了後、即再開となるのですが、約2ヶ月間合宿を張るお金は持っていないので、2月は数人ずつに分かれ、ゲレンデ近くの宿やスキー場で働きながら練習をする通称“こもり”を行います。

2006/5/8更新  第1回

ベーシックスキークラブ


 

 私がお世話になったのは、長野県にある富士見パノラマリゾートのスキースクール。受付、ポール張りなどの雑務、そして子供相手のスキーレッスンが主な仕事である。4、5歳の子供に教えるのはとても難しい。まず、日本語が通じないのである。まるで外国人と接するように身振り手振りをまぜながら教えていると、生まれてこの方20年、はじめておじさんと呼ばれた。まともに話せないはずなのに・・・。その夜は枕を濡らした。

 話は戻るが、2月にスキースクールで働いたりできるのは、大学生だからである。お父さんたちは毎日働いているのだよ。大学生諸君、そのことを忘れてないかい。というわけで、平日は常設レッスンに申し込む客が少ないため、小・中学生の課外授業が対象となる。今回受け持ったのは、神奈川県K市と、埼玉県T市の中学生。ともに、女の子の初心者グループを担当することになった。思春期真っ盛りの中学生、それも女の子といったら一番接し方が難しい。案の定、彼女達の勢いは僕の想像をはるかに超えていた。


 

 初日は、やはり滑るどころか止まることすら難しく、彼女達のお気に召さなかったようで「スキーなんて二度とやらねーよ!」と、いきなり会心の一撃を食らう。いいや、そんなことでめげちゃいけない。そうだ、彼女達はまだ中学生じゃないか。自分を励ましながら何とかレッスンを進め、リフトに乗せるまでにたどり着くが、そこで第二の攻撃。奇数だったため一人の女の子とリフトに乗ろうと試みると、他の娘が、その娘に「がんばって。」と声をかける。一体そこで何をがんばるんだ、そうかリフトの乗り降りをがんばってと言ってるんだ、そうに違いない。段々中学生との接し方がわかってきた。そんな彼女たちとも、おじゃる丸(筆者注:NHKで月〜金午後5:50から放送中のアニメ)の話で意気投合。状況は急転し一気に打ち解けることができた。なんだ可愛い所もあるじゃないかと安心する反面、真剣におじゃる丸の話をする自分に嫌気がさした。その後は急速に上達していき、初心者クラスの中では一番と評されるまでになった。

 そして最終日、彼女たちから意外なプレゼントが。何と班全員が、手紙をくれたのである。その瞬間、それまでの出来事が走馬灯のように駆け巡り、涙が頬を・・・つたったわけではないが、とてもうれしかった。

 こもり中は、スクールの寮で生活を送る。他大学の学生と、12畳ほどの広間で多少の変動はあるが、約12人で雑魚寝生活。文字通り寝食を共にすることになる。食事は用意されないため、完全自炊。そこで、僕たちは日ごろの一人暮らしで培ったスキルを活かし、実にバランスの取れた食生活を送った。まぁ嘘だが。ほぼ毎日レトルト食品で飢えをしのぐ。今日はカレー、今日はハヤシ、おっ今日は中華丼か〜。見事スーパーのレトルト食品を完全制覇した。が、こんな食生活では、栄養はとれるはずもなく、日々体力を蝕まれていった。が、相方の一男は普段、さらに悲惨な食生活を送っているらしく「3食ちゃんと食べれるなんて。」と実に頼もしい発言をしていた。来る前は、食料争奪戦も覚悟し筋トレもやっていたのだが、取り越し苦労にすんで本当に良かった。そんなこんなで“こもり”も終了。色々な経験をさせてもらったが、スキーの方は上達したのだろうか。これから行われる春合宿でそのことがわかる。

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(TEXT=平野峻、PHOTO=ベーシックスキークラブ提供)
 


 
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