今回私が訪れたのは長崎県国見町(現在は他6町と合併し雲仙市)。島原半島の北部に位置する国見町は、北は有明海を望み、南は雲仙山系の主峰平成新山がそびえる風光明媚なところである。イチゴの産地としても有名で、有明海から水揚げされるカニ(たいらガネ)も国見町の名物である。
長崎空港に降り立ち、バス、電車に揺られること約2時間、途中に島原鉄道から見える有明海を望みながら国見高校の最寄り駅である多比良町駅に到着。足を一歩踏み出すと、駅のホームではサッカーボールのオブジェが私を出迎えてくれた。さらには駅のすぐ先に見える商店街でもサッカーの街・国見町を象徴するかのようにサッカーボール型の街灯が立ち並ぶ。
駅から歩くこと20分、国見高校に到着。訪問者である私に対しての、生徒達の礼儀正しい姿がとても印象的だった。その後練習を見学させてもらうためグラウンドへと移動。この日はいつも利用しているのとは別の外部グラウンドでの練習であったため、コーチの方の車に乗せてもらい一緒に同行させてもらった。練習場では高校サッカー界の名将として知られる小嶺監督の選手ひとりひとりのプレーに対する熱い指導が行われていた。大久保嘉人、徳永悠平などのOBを持ち、現在早稲田でも数多くの選手が活躍する国見の生徒達のプレーに感嘆しながら時間を過ごす。
途中、見学中の一人の生徒からサッカー部にまつわる話を聞かせてもらった。サッカー部は寮と宿舎と自宅組にわかれていて、寮での生活ルールは厳しいということだ。たとえば、寮や宿舎ではお菓子は禁止。これは厳しいとは思ったが未来の日本代表を育てるにはこのような努力も惜しんではいけないということだ。もしかすると一般的なアスリートよりもずっとプロ意識を持っているのかもしれない。しかし、寮生活は厳しさだけではない。一緒に汗を流す仲間と生活をともにできることは本当に楽しいということも話してくれた。
一時の談話を経て、先ほど送ってくれたコーチの車に乗せてもらい駅まで送ってもらう。駅では女性の駅員さんと高校の生徒達とが世間話で盛り上がっている。ここ国見町には田舎ならではの地域の繋がりというものが存在する。そして、それを支えるのが教育をも取り込んだサッカー文化であることを強く感じた。そのような思いのもと、国見町に別れを告げ、心地良い気分のなか帰りの帰路へとついた。
関連サイト
長崎県国見高等学校
|