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早稲田スポーツ探訪

部活動、或いはサークル活動などで、早稲田の学生は様々なスポーツと日々親しんでいます。自分以外の人が、早稲田でどんなスポーツライフを送っているか、意外に知らない人が多いのではないでしょうか。体育各部の活動を中心に、早大生のスポーツ事情をコラム形式でお伝えします。

2010/12/14更新  第80回

「ラグビー早明戦観戦記」
人だかりの千駄ヶ谷 目指すは同じ“国立競技場”

4トライ目直前(写真中央が山下)
FW勝負でも負けなかった。

 12月5日、私は初めてのラグビー観戦をするべく千駄ヶ谷駅に降り立った。ルールを直前に必死で勉強した私は、「試合を見て分かるかな」「早稲田は勝てるかな」と様々な緊張を抱え競技場へと入った。
 いよいよ大詰めを迎えた関東大学対抗戦。5勝1敗で迎えた早稲田と、対する6勝全勝の明治。両チームにとって優勝のかかった試合とあって、競技場は観客で埋め尽くされていた。私は試合をグラウンドから見ていたのだが、その光景はやはり伝統の一戦にふさわしかった。

 試合が始まる。お互い最初は固くミスが見られた。緊迫した雰囲気の中、最初にチャンスを迎えたのは明治。中村拓樹(教4)のファールから早稲田陣内へ深く入ると、体重131kgの城(4年)を始めとする攻撃陣により後5mと迫る。そこからはまさに手に汗握る攻防であった。早稲田は低くどっしりとしたディフェンスで迎え撃つが、明治の“前へ”という意識は強く、早稲田のファールを受けるとスクラムを選択し、気づけばあと1mへと迫っていた。
 初心者の私でも早稲田にとって大変な危機だということは分かった。「何とか持ちこたえて…」早稲田側の観客全員の気持ちが届いたのか、早稲田はギリギリのところで危機を脱する。その時間およそ10分。見ている私にとっても長く苦しい時間であった。
 対する早稲田は23分。明治のリスタートからボールを奪うと、坂井克行(スポ4)が仕掛け、タックルをかわし待望のこの試合1トライ目を決める。そして山中亮平(スポ4)がキックを決め7−0。初めて間近で華麗なトライを見た私は、もうすでにラグビーの魅力に取りつかれていた。
 一方の明治は、その後早稲田のファールからペナルティーゴールを選択し、キック成功率73.3%の田村(4年)がキックを決めるも33分、早稲田はキャプテン有田隆平(スポ4)が一気に前へ抜け出し2つ目のトライを挙げる。すると、山中のゴールも決まり14−3。更に37分には、またしても山中が距離40mの位置からペナルティーキックを選択し見事成功。17−3と早稲田のリードが広がる。そして前半終了。

辻監督と握手する山中。
4つのGKをすべて成功させた。

 これは「早稲田の優勝もあるのでは」と思った矢先のことだった。後半9分、明治がモールで押し込むと、最後は小泉(3年)がワイドに展開し明治1つ目のトライを決める。続くキックを外すも17−8。まさに油断禁物であった。
 その後はお互い攻めあぐねるが16分、早稲田は有田を始めとする攻撃陣が明治陣内をどんどん突破し3つ目のトライを決めると、山中のキックも決まり24−8。ここで両校のトライ数は3−1。このまま行けば優勝の行方は得失点差で決まる。着実に逆転優勝への道が開けてきた。そして迎えた33分、モールを崩されるも山下昴大(スポ3)が押し込み早稲田4つ目のトライ成功。ゴールもしっかりと決め、31−8。早稲田側応援席は歓喜に包まれる。しかし喜びも束の間、ロスタイム明治にサイドを突かれトライを決められてしまうと、ゴールも決まり31−15。やはり伝統の早明戦。簡単には終わらない。
 それでも粘る明治を何とか振り切り、試合終了。31−15で早稲田が勝利した。その結果、勝利数(6勝1敗)、トライ数で早稲田、明治、慶應の3校が並び、得失点差で早稲田の逆転優勝が決まった。試合終了の瞬間には選手達自身も優勝したのか分からない。あまりにも僅差での優勝だった。

 私は初めてラグビーを生で観戦したのだが、こんなにも男気に溢れ、息もつかせないスポーツだとは思わなかった。体格の良い男達がぶつかり合うタックル、スクラムは迫力満点である。かと思えば、トライ目指して素早くワイドに展開し颯爽と相手をかわし走る姿はとても痛快だ。一度見ただけでも、ラグビーの魅力を十分に感じることが出来た。

 また、試合後インタビューでキャプテンである有田は、「最後にトライを取られたのは早稲田の甘さだと思う。」と語った。この姿勢こそが早稲田を優勝へと導き、そして今後の更なる勝利、活躍を期待させるのだろう。
喜ぶ早稲田の選手達の一方で、もう一つ私の目に入ったのはロッカールームへ帰る明治の選手達が涙を流す姿。この悔しさが明治の選手達を強くし、これからも早稲田の好敵手として立ちはだかる存在へと成長させることだろう。

 そして最後に。この日私はグラウンドから試合を見ていたのだが、選手にも届いているであろうと思えるほど応援はよく聞こえ、それは確実に選手の力となっているはずだ。因みに、明治の応援も早稲田に負けず劣らずかなり強力であった。
 2年連続で対抗戦を制した早稲田。次はどんな試合を見せてくれるのであろうか。 私もルールをもっと勉強し、万全の態勢で試合に挑みたいと思う。


(TEXT=磯綾乃、PHOTO=鈴木崇広)
 


 
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