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2008/5/15[相撲部]

第1回 相撲部

 スポーツといったら、一般的に練習量だけがものを言うと思われがちだが、それだけではない。『食』もその中での重要な要素の一つだ。練習後の食事は、選手の血となり、筋肉となる。今企画では、そんなスポーツ部の『食』にスポットをあてる。記念すべき第一回目は、相撲部の『食』に迫った。


 

 大迫力のぶつかり稽古。選手の体には汗が光る。

 東伏見キャンパススポーツホール地下一階。そこに相撲部の道場はある。重たい扉を開け、中に入ると、道場に響き渡る『パシン!』という鋭い音。がっちりとした選手の体が激しくぶつかり合う、迫力ある効果音に、まず驚かされた。

 試合さながらに行う、このぶつかり稽古。プロの世界では、その衝突の圧力を1tトラックとの衝突に例える事もある。ものすごい力が選手にかかると言われている。学生相撲でもそれは、例外ではない。大きな選手と当たれば当たるほど、凄まじい衝撃が走る。さぞかし体づくりは重要なのでは?こうした疑問に、主将の川端洋介さん(社学3)は、このように答えてくれた。


 

 栄養満天のちゃんこ鍋。

 「やっぱり相撲は、重いほうが有利な種目なので、体づくりには苦労しますね。学生相撲は階級別の戦いがメインですが、リーグ戦では無差別。大きい人とばかりあたるので、大抵の選手が試合までに体重を増やさなくてはいけないんです。減量する人はごく僅かで。だから自然と、『食べること』は重要になってきますね。」  なるほど。相撲と食事は切っても切り離せない関係だということがわかった。

 では、肝心の食事は?というと…ここで出てくるのが『ちゃんこ鍋』。早稲田相撲部の『ちゃんこ鍋』について、主務の小西沙季さん(一文4)に伺った。すると小西さんは、大きな寸胴鍋を指差し「この鍋を2つ使って作るんですよ。」と言う。かなりの大きさ、普通の人なら1つの鍋で20〜30人前あるのではと思うほど。驚きで圧倒されていると小西さんは再び続ける。


 

 試合にて、相手の鋭い突き押しに応戦する。強靭な肉体が求められる。

 「練習後の部員は、みんなかなり食べますよ。これでも足りないぐらいなんです。」 話を伺いながら、予想以上の迫力に開いた口がふさがらなくなっていた。 早稲田相撲部のちゃんこ鍋は、みそ味・しょう油が主流との事。具材には、鶏肉や豚肉などの肉類はもちろん、もやし、にんじん、大根などの野菜もたっぷりバランスよく入れる。

 「練習後の選手達に、すぐに食事を提供するため、短時間に、これだけたくさんのちゃんこを作るのは、かなり大変です。でも、部員のみんなに、すべての食事を残さず食べてもらえた時は、本当にうれしいですね。」と小西さん。 苦労しながらも選手を想い、ちゃんこを作る主務さんの言葉に、スポーツ食の重要性を実感した。練習直後に食べるちゃんこ鍋は、栄養満点。練習や試合で傷ついた筋肉を即座に修復する。選手の中には、入部当初より、体重が20kg増えたと語る選手もいるほど。その効果は絶大だ。

 大食いのイメージがある相撲部だが、たくさん食べることに「正直辛い時もあります。」と語る選手もいる。しかし、食事も練習の一環。厳しい練習と共に、毎日『食べる努力』を積み重ねている。そして、この成果は着実に実を結んでいる。昨年6月に行われた東日本学生相撲選手権大会では、団体Aクラス第3位という快挙を成し遂げた。


 

 昨年6月東日本学生相撲選手権大会にて。

 そもそも『ちゃんこ』とは、師弟の関係を、親方「父ちゃん」に弟子「子(こ)」と置き換えたことが語源と言われる。栄養をつけるという意味と同時に、同じ鍋を囲む師弟の『絆』を表した言葉だ。主務さんやコーチが一丸となり選手を支える、その想いを受け、選手は体を大きくする。早稲田の『ちゃんこ』にも、スタッフとのそんな絆があるのではないか、そんなことを感じた。

 取材の最後、「今後の目標は?」という記者の質問に、練習で流した汗を、額にいっぱいためた主将は「次の東日本学生相撲選手権大会ですね。次回も頑張って上を目指したいです。」と力強く語った。

 たくさんのちゃんこに支えられ力をつける相撲部。そのパワーで、今後の大会でも是非栄光を勝ち取ってもらいたいものだ。

関連URL
早稲田相撲部blog

(TEXT、PHOTO=小垣卓馬)
 


 
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