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2009/1/18[バーベルクラブ]

第3回 早稲田バーベルクラブ
「食」が選手を支える。


 

パワーリフティング記録会の様子。

 「真実の中で試合が行われるのが、本当に大切なことだと思う。」2004年アテネ五輪。優勝選手のドーピングで、繰上げ金メダルに輝いた陸上ハンマー投げの室伏広治選手は、会見場で力説した。金メダリストには似合わぬ、複雑な表情だった。
 あれから4年。スポーツ界の薬物を見る目は強化されたが、薬物使用はなくならない。陸上に相撲…。2008年もドーピング問題が相次いだ。

 薬物に頼らない「真実の戦い」を前に、アスリートたちは今、課題に直面しつつある。大地の恵みで、いかに強い身体をつくるか…。『食』の管理に試行錯誤を重ねている。


 創部47年の歴史を持つ、学生の会「ワセダバーベルクラブ」も、そんな課題に立ち向かうアスリート達の集まりだ。「ボディービルディング」「パワーリフティング」と、2つのパワー系競技に挑む彼らは、毎日厳しいトレーニングに励む反面、『食事』にもこだわり続ける。


 

第49回関東学生ボディビル選手権大会にて。

 「成果を上げるには、その後の栄養補給が大切なんです。」そう語るのは、主将の谷口健太さん(一文3年)。競技に勝つためには、徹底した栄養管理が欠かせないという。
 「トレーニング後は、特に大事な瞬間。身体に栄養がいきわたらなければ、せっかくの練習が台無しになってしまうんです。終了後、30分以内に水に溶かしたプロテインを飲む…これは基本ですが、その後の食事も、筋肉の回復のためには重要な要素なんですよ。  脂肪が少なく、たんぱく質の多いササミや鳥のむね肉などに加え、オレンジジュースなどに含まれる炭水化物や野菜などのミネラルもバランスよく摂取します。食事では、傷つけた筋肉の回復が重要なんですよね。」


 どこまで重いバーベルを待ち上げられるか、その超人技を競う「パワーリフティング」。均整の取れた筋肉を追求する「ボディービルディング」。両競技の選手を抱えるバーベルクラブでは、日々厳しいトレーニングが行なわれる。時には、200kgを越えるバーベルと格闘する日もある。
  「持ち上げる瞬間、視野が狭くなり、顔が一瞬のうちに熱くなる。時々血管が切れそうになる感覚もありますよ。その時はもう、『つらい』とは別の次元です。」
 そう口々に語る部員の言葉からも、相当な身体的負担が伺い知れる。
 また、試合で課せられる「体重」の壁も、彼らの身体を追い込む要素の一つだ。階級制で競われる両競技では時に、限界まで脂肪をそぎ落とす必要があるという。


 

           試合にて。リフティングの瞬間は、相当な負担が身体を襲うという。


 そんな厳しい状況下の彼ら支えるのも、徹底管理された「食事」の存在だ。谷口さんは、独自のノウハウを語る。
  「減量時は、摂取カロリーを減らすことが大切。でも食べなくては、脂肪と一緒に筋肉も落としてしまうんです。だから、『回数』を増やします。少量の食事を一日4〜5回に増やすことで、常に筋肉に栄養がいき、摂取カロリーも少なくて済む。それにトレーニング中の空腹感も無くなるんですよ。」
  「食」へのこだわりは、練習の至るところで光っていた。

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(TEXT=小垣卓馬、PHOTO=小垣卓馬、バーベルクラブ提供 )
 


 
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