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[米式蹴球部特集] 挑戦者たち〜THE GREAT CHALLENGE〜

米式蹴球部2004年度総括 「超えられなかった壁」


春・関西大学との定期戦

 「再建期」「過渡期」――2004年度の米式蹴球部主将・村井雄太はシーズンを振り返ってそう語った。2004年度の米式蹴球部は、それまでチームを支え続けたキープレーヤー、QB波木やRB神、LB有泉らが抜け、さらに監督も替わったことで、まさに一からのスタートとなったシーズンであった。

 春シーズンの試合は早慶戦こそ勝利したものの、その後の早関定期戦では関西大学に27-44で敗戦。この試合は現時点での関西の大学との差、とくにフィットネスの差を痛感させられた試合であった。この試合のあとに村井に話を聞いたが、とても苦い表情をしていたことが印象に残っている。

リーグ最終節・法政戦

 この課題を克服すべく臨んだ夏合宿。暑い夏のトレーニングを経て、迎えた秋のシーズン。初戦の一橋大戦から無傷の5連勝を果たし、一気に3年連続のクラッシュボウル(関東大学選手権)進出を決めた。しかし、村井をはじめ、何人もの選手が口にしていたように、内容は必ずしも良い物ではなかった。どの試合も総じてディフェンスが甘く、オフェンスも#28 RB新田潤(人4)を中心としたランプレーに偏った攻撃が見られた。このため、Aブロックの中でも力のある4節の明治、5節の日体大戦では相手に早稲田オフェンス陣をしっかりとスカウティングされ、攻撃を思い通りに継続することが出来ず、形こそ5連勝であったものの、チームの出来はあまり良い状態ではないまま試合を重ねていった。

 その悪い部分がすべて出てしまったのがリーグ最終節、法政戦ではなかろうか。開始直後に先制のタッチダウンを奪うも、その後が続かない。早稲田の攻撃はことごとく相手に読まれ、ディフェンス陣は法政の強いプレッシャーに押し込まれ、失点を重ねていく。結果、14-34での敗戦。まさに完敗。クラッシュボウルまであと10日でのこの敗戦は、さぞや精神的に大きいダメージを受けたことだろう。

クラッシュボウル準決勝・中央戦

 この敗戦をクラッシュボウル決勝で晴らそうと心に誓い、臨んだクラッシュボウル準決勝。相手は中央大学ラクーンズ。春の練習試合では17-10で勝利した相手であったが、「春のときと全然違い、予想以上に強かった」(村井談)中央ディフェンス陣の前に、攻撃がまったく継続することが出来ない。相手に先制され、苦しい、もどかしい時間が続く。終了間際に迎えた相手ゴールまであとわずかの地点でのチャンスも得点に繋げられず、終了の笛が鳴る――。7-13のスコアで敗退し、2004年11月23日、クラッシュボウル準決勝で米式蹴球部の2004年シーズンが終了した。またも超えられなかった準決勝の壁。選手はただただ呆然としながらグランドを去っていった。

 2004年の米式蹴球部は「日本一」という目標を掲げていた。その目標は惜しくも果たすことが出来なかった。しかし、3年連続でクラッシュボウル準決勝に進出したことで、チームがリーグの中堅どころから確実に強豪への道へと歩んでいることを示したシーズンであった。「再建期」という難しい時期ながら、チームをクラッシュボウルまで導いた村井の功績はとても大きいように感じる。

 さて、米式蹴球部の2005年シーズンはもうすでに動き始めている。昨年11月末に#91 DL藤原(教3)が新主将に就任することが発表され、新しいチームで練習を重ねている。2005年から人工芝のグラウンドになり、いっそう密度の濃い練習が出来ることだろう。ここ数年の結果で、クラッシュボウル進出は「あたり前」の結果になってしまった米式蹴球部。もうクラッシュボウルの準決勝で負ける姿は見たくない。悔しい思いはもう十分だ。2005年のシーズンは前年越えられなかったクラッシュボウル準決勝の壁と関東王者・法政の壁を打ち破り、12月の甲子園ボウル、そして新年のライスボウルでフィールドを所狭しと動き回るビッグベアーズの姿が見られることを期待したい。

 

(TEXT=田村拓実、PHOTO=山下葉子、近藤優美子、田村拓実)

 


 
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