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往路総評

 2004年度の早稲田競走部は本当に苦しんだ。早稲田競走部が創部90周年目となる節目の年でもあった。しかし、名ランナーの渡辺康幸が駅伝監督として就任してからも苦難の道のりは続いた。6月に行われた全日本大学駅伝の関東学連選考会では12位と惨敗し、箱根の出場権さえ危ぶまれた。だが、少しずつではあるがチームがひとつになり予選会をトップでくぐり抜け、今回の箱根駅伝に挑むこととなる。そして、2005年1月2日午前8時、快晴の冬空と澄みきった空気の中、選手の気持ちが込められた号砲が高らかに響き渡った。

好調な出だしを見せた1区

 

 1区は序盤から、日体大の鷲見、中大の期待の新人、上野が飛び出そうとするが、集団もこのハイペースについていき、独走を許さない。10km付近でスタート時、調子のよさを見せていた中大・上野が遅れだす。さらに、大東大、明大も集団から後退していった。ここで16チームとなった集団の中で早稲田・空山隆児(人4)は集団の5、6番手と好位置につけ、レースを優位に展開していく。ゴール手前の六郷橋付近で空山がスパートをかける態勢へと入り、トップに躍り出る。しかし、これを境に亜細亜大・木許、それに続いて東海大・丸山が先頭へと飛び出し、一騎打ちの区間賞争いとなった。この戦いを制し、首位で鶴見中継所へと駆け込んだのは東海大・丸山であった。一方の空山はトップから25秒遅れの4位であったものの、2区へ繋げる好走を見せた。1年時に7区、区間賞の鮮烈なデビュー以来、怪我に苦しんだ空山もここにきてやっと満足な走りをすることができた。

流れに乗れなかった2区、3区

 2区でたすきを受け取った早稲田の大黒柱の篠浦辰徳(人4)。好順位でのスタートであったため、流れを崩さない走りをすることが望まれた。篠浦は序盤で安定した走りを見せるも、中盤以降うまくスピードに乗ることができない。これが花の2区の難しさなのかもしれない。権田坂付近、篠浦が失速していく。6大学が混戦する第5集団の中で、徐々に遅れをとっていく。さらに、後方から法大にも抜かれ、順位を7つ下げ11位とここでまさかの大ブレーキ。最後に粘りを見せた篠浦であったが、3区の石橋洋三(スポ1)へいい流れでたすきを繋ぐことができなかった。結局、タイムも1時間11分00秒と区間14位に終わってしまう。また、区間賞争いは東海大のルーキー伊達と山梨学院大のモカンバの争いとなった。14位からのスタートであったモカンバは12人抜きの好走により、一時は伊達を捕らえる勢いではあったが、ペース配分に勝る伊達は最後までトップの座を守りきった。区間賞はモカンバの手に渡ったが、伊達は1年生にして今後を期待させる貫禄の走りを披露してくれた。

 

 3区。1年生として最高タイムで予選会突破に大きく貢献した石橋の走りに期待がかかる。とにかくこの悪い流れを引きずらず、ひとつでも順位を上げたかった。しかし、初めての箱根路はやはり難しかったのか、中盤までは安定した走りを見せるも、徐々に後ろの集団に吸収され、茅ヶ崎付近で一挙に4人に抜かれてしまう。最終的にこのままたすきを繋ぐ形となり、記録も1時間6分36秒と伸びず、区間19位と結果も振るわなかった。この時点で早稲田とトップとの差は5分30秒以上ついていたため、この先のレース展開はかなり苦しいものとなってしまった。一方、3区で飛び出しを見せたのは日大・サイモンであった。序盤で4人を抜き去り、チームを2位へと浮上させる活躍を見せた。

粘りの走りで繋いだ4区、5区

 

 4区。早稲田・藤森憲秀(スポ2)は悪い流れの中でたすきを受け取ったが、至って冷静だった。八木大三(理工M2)からの突然のエントリー変更、これまでのレースの流れと厳しい状況の中、4人を抜き去るなど、準エース区間で見事に大役を果たし、流れを引き戻し、11位と大幅に順位を上げ、5区の駒野亮太(教1)へとたすきを繋いだ。レースは東海大の一井が区間3位の好走をみせ、この区間も首位を守りきった。そして、優勝候補筆頭とされる駒大が主将の田中の区間賞の走りで3位に浮上した。

 往路最終の「山上り」の5区は小田原中継所から箱根まで標高差834mを一気に駆け上がる。また、カーブも多く選手の足に非常に負担のかかる走りにくい難コースでもある。しかし、それ以上に注意するべき点は気温の低さからくる体調の変化である。日体大の大物新人、北村聡も気温の低さから本来の調子を出せず、腕や足にけいれんを起こした。また、逆に順大の今井は11人抜きの好走を見せ、見事区間新の記録を打ち立てた。選手による向き不向きを感じさせるレース運びとなった。早稲田・駒野は安定した走りは見せるも、順位を上げることはできなかった。結果は1時間15分36秒で区間12位。初の箱根路の難コースにしてはまずまずの走りであった。

シード権獲得へ向けて

 

 最終順位は去年と同じ順位となる15位。往路の優勝は1区から一度もトップを譲ることなかった東海大が5時間32分11秒のタイムで往路初優勝を飾った。30秒差の2位に駒大が入り、以下日大、順大、日体大の順で続いた。早稲田の往路走破タイムはトップから8分15秒の遅れの5時間40分26秒であった。しかし、7位の亜細亜大以降タイム差はほとんどなく、大混戦の今年の箱根。シード権内である10位の神大とも1分16秒差と十分挽回できるタイムである。箱根は何が起こるかわからない。復路での巻き返しに期待したい。

 

(TEXT=村山裕太、PHOTO=齋藤美穂、杉崎有紀、横山真弓)

 

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