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[ア式蹴球部特集] 「覚醒」

2005年ア式蹴球部総括:大榎克己監督インタビュー


 今シーズン、ア式蹴球部は関東2部リーグ優勝という最高の成績で終え、実に8シーズンぶりとなる1部昇格を果たした。また、総理大臣杯準優勝など近年稀に見る実に充実した年となった。指揮官である大榎克己監督の絶大な貢献は言うまでも無い。確かな戦術眼でチームをまとめあげた見事な手腕。そこには尽きることの無い向上心があった。


 

尽きることの無い向上心、ア式にとって最高の指揮官と言える。

――まず初めに、リーグ優勝おめでとうございます。振り返ってみていかがですか?
 今年から2部に昇格したということで、どういう風に戦えるか不安を持ちながら始まったんだが、前期慶應に敗れてから何とか立ちなおして、(その後の試合で)戦えるという感触を持ったね。夏に、総理大臣杯を戦って、予選・本大会で関東1部のチームに勝利して選手も自信を得たと思うし自分も感じたので、まぁ優勝は残念ながらできなかったけど、そこで自信がついたのが本音だね。

――決勝までいけると考えていましたか?
 いやいや(笑)。準々決勝で駒沢と当たってくじ運悪いなと思ったよ。でも、うちとしては失うものはなかった。相手は3連覇がかかっていたからプレッシャーがあったんじゃないかなと思ったけど、先制されてからひっくり返すという形で勝てたので、本当に力がついてきたと感じたね。

――後期は連敗を喫した時期もありましたが、どのように建て直しを?
 ここまで連敗はなかったし、選手には世界中探しても勝ち続けるチームはないと日頃から言っている。一試合負けても自分達がそれまでと同じ様に気持ちの面でもサッカーに取り組んでいこうとは伝えたんだけど、勝ち点差が縮まったこともあってちょっと危機感は感じていたね。でも、日体大に苦しみながらも勝って、勝利が本当の薬になると感じた。チームは自信を失ったとき大きく変わってしまうこともあるからね。それと、自分はチームってのは生き物だと考えていて、いつも新鮮な血を通わせておかないといけない。競争意識はいつも持たせていて、よければ使うということは伝えている。だから、(起用に関しては)無謀な賭けをしている訳ではなく、この選手は練習でもやれてるという裏づけがあって使っているから、チームがやばいから入れ替えようってわけではないよ。

――優勝の要因はありますか?
 チーム一丸となっていたこと。リーグを戦っていく上で、怪我や累積もあって同じメンバーで戦い続けることはできない。その中で、様々な選手が活躍した。バックアップも層が厚かったね。

――キャプテンである徳永選手はどのように貢献しましたか?
 3年までの彼とはがらりと変わったと思うし、自分が引っ張っていくというところが前面に出ていた。口数が多いほうではないからプレーで引っ張っていくという彼の特徴でチームを一つにまとめたなと感じている。

――徳永選手を初め、例年に比べて4年生が存在感を示した年だったと思うのですが?
 本当によくやってくれたと思う。試合に出ていたメンバーはもちろん、出てないメンバーがよくやってくれた。やっぱり自分が出ていないとどうしても逆にチームの足を引っ張るようになったりするものだけど、出れなくても自分がチームのために何をするべきなのか、フォア・ザ・チームの気持ちを本当によく持っていた四年生だと思う。それは早稲田の伝統かもしれないね。


 

来期は何度胴上げが見られるだろうか。

――塗師選手、渡邊選手など1年生の活躍も目立ちましたが?
 基本的に学年や名前で選んでいない。プレーがいいと思ったり、結果を出している選手を使っている。情とかが入るとおかしくなるし、そこは権限を持つ監督として、いつもベストをぶつけていきたいと思っている。

――プレーの面で、今年のチームが成長した部分はありますか?
 長いシーズンを戦っていく上で、当然得点をとることは必要だが、自分は守備をきちっと安定させることをずっと言ってきた。トーナメントでも、(守備が安定しなければ)戦っていけないと思ったので、そういう意味では特に大崩れすることもなく安定してきたという面は大きかった。

――監督自身も1年目で2部昇格、2年目で1部昇格と着実に結果を残していますが?
 それは最低目標だったからね。去年は都リーグで優勝できなかったし、総理大臣杯でも、予選1回戦で負けてしまった。今年は全国に出るということを目標にして、達成できた。まぁ欲を言えば優勝までしたかったんだけど(笑)。(リーグに関しても)優勝して昇格を決めた事は完璧に近いと思う。でも、4敗しているし、内容が不満なゲームもたくさんあった。まだまだ色んな事を学んでいかなければならない。

――来シーズン、注目してほしい選手はいますか?
 横山(スポ2)、堀江(理工3)。身長がある事はとても大きいし、横山はテクニックもある。あとは前田(教育2)。彼には誰も持っていないスピードがある。あれを上手く使えるようになるかが課題だね。

――最上級生になる3年生に期待することは?
 新チームのスタートから色々と積極的にやってくれているし、4年生とは違った色を強く出そうとしているようだ。そういうところに期待したいね。

――最後になりますが、来シーズンの目標は?
 1部優勝。それから全国でも優勝したい。あとは、天皇杯の本大会に出たい。天皇杯は大学だけじゃなくてJリーグ、社会人などいろんなチームが参加する大会。その大会で、大学サッカーはこれ程なんだ、そして早稲田はこのくらい強いんだということを知らしめたい。

 

 

 早稲田の強さを示したいと大榎監督も、今シーズンの出来に大きな手ごたえを感じているようだ。しかし、「まだまだ学んでいかなければならないことがある」発展途上の青年監督は、上を目指す早稲田にとって願ってもない指揮官と言える。来シーズンは何度胴上げが見られるのか、期待せずにはいられない。 


(TEXT=平野峻、PHOTO=横山真弓)
 


 
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