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長崎県サッカー協会小嶺忠敏会長インタビュー

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練習中の選手達の姿は真剣そのもの

――選手の特徴を掴むのにどのようなことが一番大切になりますか?
 それはまず分析力でしょうね。これは指導者の力ともいえますよ。選手の長所というのをしっかりと見極めて、この子の個性はなんなのか、どういう個性を持っているのかということを本人に知らせて、それを伸ばすトレーニングを常に与えていくということでしょうね。練習を見ていると、個性をどれだけ持っていても生かそうとしないのがおりますよ。それはね、やっぱり謙虚さ、学ぶ姿勢だと思うんですよ。こんな素晴らしい素質があるんだ、とことん練習しろって何回もしつこく言うわけですよね、それに対してそんなのわかったよという態度の選手は将来的に伸びないでしょうね。やっぱり反復練習してそれらを素直に受け止めていく選手が伸びるんですよ。たくさん個性のある選手はいましたよ、しかし、自分から潰れていった選手を何人も見ました。うまくなった生徒というのは素直に受け止める姿勢がある子供たちですよ。自分は何が人より秀でたものがあるか、何が人より落ちているとかね、まずわかることが大事ですよ。下手なくせに上手にやりたがるやつがおる、下手は下手なりのやり方がある。松橋優は下手だけども下手なりの突貫小僧で上にいけばいいわけです。己の長所は何か、短所は何かということをまず知ることですよ。

――指導者として必要なことというのはどのようなことですか?
 毎日グラウンドにでることよ。見ていれば、あいつはここがいいんじゃないかとかね、こいつは足が速いとかわかりますから。指導者というのは自分の先入観やスタイルを選手に合わせるんじゃなくて、指導者が選手にあわせなければならない。システムありきで選手をそれにはめこむ指導者がいますが、選手に合わせてシステムを作らなきゃいけないんだよね。プロだったり私立の高校だったりすればそんな選手が集まるかもしれないですけど、そんなことは難しいですよね。うちは中学がフォワードだったからフォワードで使うとは限らないということもあります。うちではフォワード出身のほとんどがディフェンスですよ。徳永もセンターフォワードだったし。だから素材に合わせて料理をする、選手に合わせてこの選手はどこが一番いいのか、じゃあこんな選手が集まれば3バックがいいのか4バックがいいのかを考えていくんです。

――国見のイメージとしてはフィジカルの強さが先行されると思うのですが?
 Jリーグの指導者や高校の指導者など、ここにおいでになる方がいるんですが、みなさんイメージがくるったといって帰られる方が多いですよ。どういうイメージできたんだと聞きますとね、毎日何十キロも走らされたりといった軍隊式というようなイメージで来たというんです。坊主だからそういう先入観があるのかもしれないけど、今の子供たちは20年前なんかと比べるとほんとに下半身なんかも弱いですよ。昔はガンガン鍛えてたから、もしかしたらその頃の先入観で語り継がれてそのイメージが先に来ているんじゃないですかね。

人間性の大切さについて熱く語ってくれた

――Jリーグのユースチームの力が伸びていますがその状況に対してはどう思いますか?
 答えを言ってしまえば、ユースの選手と言うのはジュニアユースから育てたんじゃなくて、他所のいい選手を引っ張ってきているんですよ。いい選手を全国から引っ張ってきてそこで育てて上にやれば他所にとられる心配はないですから。たとえばあるチームではジュニアユースに30人おったのに5人しかユースに行けないんですよ。あとはよその中学校、クラブチームから来るんです。だから、育てたんじゃなくてよそからとってやってるだけのことで、当然力は上になりますよ。しかも、ユースはプロの早道だと誘い文句を言ってユースからトップチームにあがれるのは一人くらいでしょ?あとは知らん振りだからね。もし私の高校にいいのが来たらあれ以上に育てますよ。なぜなら、ばらばらになった高校から集めたより、一緒の学校で、一緒の考えで、一緒の学校生活をしてたほうが、良い選手が育つのはわかっていますから。

――日本に一流のフォワードが育たないというのはどのように思われますか?
 なんでだろうね、やっぱ時間がかかるからね。ちょうどワールドカップで釜本(邦茂)さんと一緒になって、なんであんなシュートが下手なのか聞いたらシュートの練習が足りないからだって、それはそうかもしれないね(笑)。

――サッカー以外にどのようなことが選手にとって大事だと考えていますか?
 僕はね、人間性ということが一番大事じゃないかと思っているんですよ。ここ2年ほど校長をしていたからグラウンドにあまり出れていなかったけど、今年定年になってからグラウンドで練習を見てて、うちの生徒にやや幼稚なところがあるのが気になるね。100人も生徒がいるから、全員に対して以前の生徒はこんな良さがあったぞとか、君たちはそれを忘れ去ってしまっているぞとかね、100人のうち20人くらいは言えるけれども、あと80人は言う時間がないんですわ。人間的に素直で礼儀正しいこと、やっぱりそれが基本だと思うんですよね。


 個性を見極め、資質を伸ばす、これが小嶺先生の指導方針である。国見の選手が自己分析力に長けている理由は教育者としても優れた監督、先生としての手腕に寄るところが大きいのかもしれない。また、人間性というものを非常に重視していた監督。高校教師として教えるのはサッカーだけではないという信念のもと何が本当に大事なのかを教えていただいた。 インタビュー第二回目は後日掲載いたします。楽しみにしていて下さい。

関連URL
長崎県立国見高等学校公式サイト
長崎県サッカー協会
早大ア式蹴球部公式サイト


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(TEXT、PHOTO=村山裕太
 


 
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