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[ア式蹴球部] 「2010早慶サッカー定期戦特集」

第61回早慶サッカー定期戦 試合展望


 6月25日(金)、聖地・国立競技場にて第61回早慶サッカー定期戦が行われる。昨年は、慶應の前に0-3で実に7年ぶりの定期戦での敗戦を喫した早稲田。前期リーグ戦での対戦は1-0で慶應が勝利したものの、両チームの力は拮抗しており、今年も観客を熱狂の渦に巻き込むような熱い戦いが繰り広げられるに違いない。そこで今回は、両校の戦力分析、試合展望をお送りします。


 

今季の早稲田の成績はリーグ戦9位(3勝5敗3分)。
総理大臣杯予選3回戦敗退。

早稲田の戦力分析
 早稲田のシステムは4−4−2(4-2-2-2)。GKは、今季も公式戦全試合でゴールマウスを守る菅野(商4)。的確なコーチングと抜群の反応でチームを救う早稲田の絶対的守護神だ。DFは主戦の小川(スポ4)が教育実習でしばらくチームを離れていたこともあり、畑尾(スポ2)と菅井(スポ2)のコンビが有力。畑尾は183cmの長身を生かしたダイナミックなプレーが持ち味で、菅井は鋭い洞察力とカバーリングでピンチの芽を摘む。また、先月故障から復帰したCBが本職の主将・岡根(スポ4)の起用も考えられる。4バックの両翼は野田(スポ4)、幸田(スポ4)の4年生二人が担う。右SBで副将の野田は、前期リーグでアシストランキングトップ(5アシスト)につけるなど、精度の高いキックでチャンスを演出する。また、チームの得点源の一つであるセットプレーのキッカーも務める。幸田は、本来は中盤の選手だが今季は左SBにコンバート。SBでも持ち前の攻撃センスを遺憾なく発揮し、早くも不動の地位を築いている。その他、SBのバックアッパーの村山(スポ4)や福田(スポ2)らが控える。

 ボランチには、190cmの高さに加え足元の技術も高い岡根と、攻守のバランスに優れた山中(スポ3)の二人。岡根が最終ラインに入る場合には、代わって中野(スポ4)の起用が濃厚。今季から10番を背負う中野は、長短自在なパスを駆使し展開力に長けた早稲田の司令塔だ。
 中盤で、左サイドから攻撃を仕掛けるのは奥井(スポ3)。得意のドリブルは一級品で、積極果敢な仕掛けとサイド突破は相手の脅威となる。右サイドハーフに入る鈴木(商4)はFWが本職だが、シュートだけでなく持ち前のスピードを生かしサイドを駆け上がりチャンスメイクもできる。その他、開幕戦でスタメン出場を果たしたボランチの野村(スポ2)や、中盤ならどこでもこなす器用さが売りの柿沼(教3)らも出場機会を窺う 。

 FWの中心は、リーグ戦でチームトップの6得点を挙げている富山(スポ2)。昨季よりひと回り大きく成長し、早稲田の新エースの呼び声も高いストライカーは早慶戦での初ゴールを狙う。その富山とツートップを組む小井土(教3)は、前線での豊富な運動量でチームの攻撃を支える。ベンチには、チームのムードメーカーでもある皆川(スポ4)や、松井(スポ3)、佐々木(スポ3)らが控え、得点が欲しい試合終盤での投入が予想される。

 

今季の慶應の成績はリーグ戦8位(4勝6敗1分)。
総理大臣杯本戦出場。

慶応の戦力分析
 慶應のシステムは今季から採用している4−3−1−2が基本。しかし、中盤の主力である藤田(2年)が代表遠征で不在の場合は4−4−2が有力である。GKは昨年から慶應不動の守護神の座に就く中川(3年)。ディフェンスラインを統率するのは、主将の三上(4年)。上背はないものの安定感のあるプレーが魅力だ。三上とCBでコンビを組むのが、副将の笠松(3年)。笠松はボランチでの出場もあり得る。右の田中(3年)、左の黄(3年)はともに攻撃力に優れたサイドバック。黄は長身でCBもこなすレフティーで、田中は早慶定期戦で一昨年、昨年と2年連続ゴールを決めている。

 U-19日本代表の藤田の他に中盤を構成するのは、運動量が豊富なボランチの大塚(3年)、副将でボランチが主戦場ながら、サイドからチャンスも作れる加美(4年)、テクニックのある山浦(2年)の三人がメイン。この他に、笠松やルーキーの松下(1年)、攻撃力のある日高(3年)、中盤もこなすFW森田(1年)らが控える。

 慶應の攻撃のカギを握るのは、チームの絶対的司令塔の河井(3年)だ。高い技術とパスセンスに加え、今季ここまでチームトップの4ゴールを挙げるなど得点力も高い。慶應の攻撃は、河井を経由することで機能しており、河井の出来がチームの浮沈を左右する。河井とともに前線でゴールを狙うのは、ドリブルに定評のある深澤(4年)。その他FWでは、先日の総理大臣杯でもゴールを挙げている川久保(2年)、ポストプレーを得意とする風間(3年)らが脇を固める。

 

セットプレーのキッカーを務める野田明弘(スポ4)。
早慶戦でも野田の右足からの得点に期待がかかる。

試合展開予想、見どころ
  今年度の成績が、早稲田が関東1部9位(3勝5敗3分)、慶應が関東1部8位(4勝6敗1分)。リーグ戦前期の対戦では、一進一退の攻防が繰り広げられる中、終了間際に慶應が1点を挙げ、1−0で勝利している。今年の慶應は主力に2、3年生が多い若さのあるチームだ。チームはまだ成長段階であるため、試合ごとにやや調子に波があるものの、勢いに乗った時の爆発力は秘めている。中盤に多くのタレントを擁し、パスサッカーで相手を翻弄する昨年までのような派手さはないが、河井らを中心とした攻守に積極性のあるプレーが特徴である。一方の早稲田は、リーグ戦では第5節(5/3)以降勝ち星がなく、総理大臣杯予選も3回戦敗退となかなか結果の出ない試合が続いているが、それでもチームの雰囲気は悪くなく、調子も徐々に復調傾向にある。4年生を中心によくまとまっており、リベンジの場となる早慶戦にも万全の状態で臨んでくれるだろう。

 この試合の勝負のポイントとなりそうなのが、「中盤での攻防」である。慶應は中盤に河井を始めとする能力の高い選手が多いため、早稲田としては高い位置から積極的にプレスをかけ、相手に自由にボールを持たせないようにしたい。そして、ボールを奪ったら、素早く攻守を切り替え、富山、奥井らを中心に一気に攻め上がりフィニッシュまでもっていきたい。また、野田のキック力と高い連携を生かしたセットプレーも武器になりそうだ。
 両チームの力はほぼ互角だが、一昨年(4−2)、昨年(0−3)と大味な試合が続いていることからも分かる通り、早慶戦では先に勢いに乗った方が一気にゲームを支配する傾向にある。早稲田は守備にしっかり意識を置きつつも、相手に合わせるのではなくアグレッシブなプレーで勝機を見出したい。どちらが勝つににせよ、「先制点の行方」が一つのカギになりそうだ。

 早慶が雌雄を決する予測不能なこの一戦、6月25日はア式蹴球部の活躍を観に、ぜひとも国立競技場に足を運んで頂きたい。

関連URL
ア式蹴球部公式ホームページ
第61回早慶サッカー定期戦ホームページ

(TEXT=岡崎聡、PHOTO=岡崎聡、鈴木雄介)
 


 
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