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二年生特集『二度目の春』

競走部 ディーン元気選手インタビュー

前のページより)

 

 

投擲を待つ間は他選手と話しながらリラックス。

――11月の西日本カーニバルでジュニア日本記録を更新されましたが、そのときの心境は
 あれは結果からいえばやっと出たなって感じだったんですけど、そのシーズンの最後の一投で6投目に出した記録なんで、もうなんというか狙わずにとにかくリラックスして、投げる瞬間だけ力を入れようと思っていたんです。実際一昨日の和歌山グランプリも出て思ったんですけど、腕の力がスーっと抜けているときが一番飛ぶんだなっていうのを実感できたというか。本当に自然な感じで助走をして投げるとやりも素直に飛んでいくんだなって実感できた時だったと思いますね。

――ジュニア日本記録自体は西日本より前から狙っていた
 そうですね、本当は世界ジュニアで抜こうと思っていたんですけど、あと10pだったし、スーパー陸上でもチャンスがあったけれどあと40p位足りなくてグダグダ抜けなくて、ぎりぎりに。

――ジュニアぎりぎりの中でのプレッシャーはなかったのですか
 それが逆に良かったのかもしれないです。追い込まれて良い緊張があったのが。高2の時も円盤でユースの日本記録を出しているんですけど、その時もシーズンの最後の試合で出してるんで、最後に強いのかなと。追い込まれると強いのかもしれないですね(笑)。

――この1年を通して変化したことは
  冬の練習を初めてここに来てしたんですけど、大きな怪我もなくこれたんで、それだけでも大きな成長だと思っていますし、あとはやっぱり生活にも慣れてだいぶ自分のリズムでやっていけているんで、今年は疲れることなく、って言ったらあれですけど、自分のペースでシーズンを送っていけるかなと思っていますね。



部の中で一番仲が良いのは竹井尚也選手(スポ2)。
関西圏同士で気が合うのだとか。

――今シーズン初の大会となった東京六大学対校陸上競技大会では大会記録を更新されましたね
 MVPは他の種目で大会新がたまたま出ていなかったんで、いただけて嬉しいなっていう気持ちはありますけど、記録的に見たらもうちょっといけたかなっていうのはありますね。まぁあと3年あるんで、ちょっとずつ抜いて4年生の時に良い記録を出せばいいかなと考えているんですけど。

――先日の日本選抜陸上和歌山大会の記録については(※取材を行ったのは4月26日)
 …(笑)。もうひどいの一言ですよね(笑)。本当に歯がゆいまま終わったな、と。自分のやり投げができなかったんで。

――本来ならばどれくらいいきたかった
 やっぱり79m50の世界陸上B標準ですよね。

――ご自身ではどこがいけなかったと考えていますか
 助走がちょっとオーバーストライドで大股になりすぎたんで、最後投げる時に投げる自体が成立していなかったなっていうのはあります。腕だけで振って投げていて、下との連動が上手くいっていなかったんで。でもそこで明確な課題が見えたんで、(今後出場予定の)ゴールデングランプリや関カレで上手く出せればいいかなと思っています。

――村上幸史(スズキ浜松AC)選手の存在はやはり大きいですか
 そうですね、僕がちょうど大学に入って結果を出し始めるちょっと前の高3の年から村上さんも投げ始めて、この2、3年で急にやり投げが強くなってきてるんで。僕は今やり投げで2番なんですけど、もし1番の村上さんがいなかったとすると追うものがないので、追える存在がいるっていうことに関しては本当にデカい存在ですね。話したりもしますし、良くしてもらっているな、と。練習も一緒にやらせてもらったりして良い刺激になっています。

――では刺激を受けるとともにライバルでもあると
 そうですね。向こうはどう思っているかわからないですけど(笑)。

――次の大会出場予定は
 5月8日の川崎ゴールデングランプリですね。

――そこでB標準を超えたい
 そうですね。昨年もスーパー陸上で外国人と投げて良い結果も出てるんで、とにかく外国人と投げるとテンションが上がるというか(笑)。自分の中でそういうのがあるんですよ。

――日本選手権までに80mを超えたいと伺いましたが、どうすれば超えられると考えていますか
 オーバーストライドの助走をもっとピッチで刻むようにして、投げるに当たってスピードであったり、脚の感覚であったりというようなところで上手く入っていければいけるかなと思います。短助走っていうのがあるんですけど、和歌山ではそれで76mくらい飛んでたんで、それを延ばせば80m位いく力は普通にあるので。でも狙うと人間ダメだと思うんで、狙わずにどれだけ冷静にいけるかっていうところだと思いますね。

――過去に出場した大会で印象に残っているのは
 世界ジュニアですね。陸上をしてきた中で新たなやる気を与えてくれた大会でしたね。

――以前競走部ホームページ内の部員日記(2011年3月28日付)で世界ジュニアでも争われたラトビアの選手のことについて書かれていましたが、さらにその上を超えたいなどと思うことは
 そうですね、彼は記録的にも84mで世界ジュニア記録を出しているんで。世界陸上に出ればまた直接対決ができるのでそこで勝ちたいな、と。

――そのためにはまず世界陸上への選考ですね
 そうですね。

――世界陸上の日本代表争いの中で意識している選手はいらっしゃいますか
 いますね。佐藤(寛大・仙台大)さんとか荒井(謙・七十七銀行)さんとかですね。

――佐藤選手は先日の和歌山大会で2位でしたね
 そうですね。連絡も取っていたんですけど、被災地で練習もあんまり出来てなかったみたいなのに、凄いの一言ですね。

――憧れている選手は
 憧れは、世界選手権とかでよく優勝しているノルウェーのアンドレアス・トルキルドセンっていう選手ですね。

――どのような部分が憧れなのですか
 フォームや投げ方も好きですし、あとは勝負強さですよね。勝負強さが人よりありますし、デカい大会でも冷静に投げてるなっていうのは目で見てわかるんで。

――ディーン選手も勝負強さがあるように見えるのですが、ご自身の性格は
 なんか血の流れとかで性格がわかる人の所に行った時に、「勝負する人にしては優しすぎる」って言われたことはあります。確かにそういう時もあるかなとは思いますね。高1の時に高3の先輩に勝ちそうだけど勝てないっていう記録の時があって、その時も勝っていいのかなっていう気持ちが少しあったんですよね。なんでかはわからないですけど、抜かせばいいのに抜かしていいんかなっていう変な気持ちが(笑)。だから勝負するにしては気優しい性格なのかなと自分では思います。大学に入ってだいぶ直ってきているとは思うんですけど。

――来年はオリンピック開催の年ですが、開催地のイギリスには思い入れがあるのでは
 ニューキャッスルっていう所に住んでいたのでロンドン自体に思い入れはないんですけど、なにより中3から全国大会に出始めて、中2以来イギリスには行ってないんですよ。だからおばあちゃんの顔も見てないですし、お父さんも普段(イギリスに)帰る時は一人なんで、オリンピックに出られたら家族みんなで帰れるんで、そういうのもありますね。オリンピックは自分のことでもあるんですけど、なにより家族とか応援してくれている人がいるんで、そういう人たちの喜びや励みになればいいなとは思っています。

――そのためにも欠かせない重要な1年となる今シーズンの意気込みをお願いします
 いけるところまでいきたいな、と。明確な記録とかはないですね、自分でも力がまだまだ出せるっていう感覚が身体の中にあるんで。記録を意識すると力んでしまってダメなんで、とにかく力まずにいけるところまで投げたいな、ってそれだけですよね。

――最後にファンのみなさんに一言お願いします!
 これからも記録で足踏みすることなくそのまま右肩上がりに伸びていけるように頑張るんで、応援よろしくお願いします!

 まだまだ抜けきらない関西ならではの訛りを交えながらやり投げという競技への思いを語ってくれたディーン選手。その目には限界を感じさせない強い闘志がみなぎっていた。競技観はもとより、自身の家族や競技をともにする選手、支えてくれている人たちへの思いが人一倍強いと感じたが、それらも原動力となって迫力のある投擲を生み出しているのかもしれない。心身ともに充実している大学2年目には世界陸上という大舞台が用意されている。得意の英語を駆使しながら日の丸を背負い、世界中にその名を轟かせる日までそう遠くはないであろう。 

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関連URL
早稲田大学競走部ホームページ

 

(TEXT=矢野真由実、PHOTO=平尾実夏)
 


 
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