11月2日、第46回秩父宮賜杯全日本大学駅伝対校選手権が開催される。愛知県・熱田神宮から三重県・伊勢神宮までの8区間106.8キロを舞台に、全26チームによる駅伝日本一をかけた熱戦が繰り広げられる。
☆1区 熱田神宮西門前〜弥富市筏川橋西詰(14.6km) 1区には3年連続で柳利幸(教3)が登場。過去2回は区間12位、15位と悔しい思いをしてきた柳だが、今季は5000m13分台、10000m28分台へと突入し、早稲田に欠かせない人材へと成長した。レースの主導権を握るために重要であり、またアンカーに続き2番目に長い距離であるこの1区、各校エース級が顔を揃えた。村山謙太(駒大4)や村山紘太(城西大4)、一色恭志(青学大2)らを中心に速いペースになることも予想されるが、うまく流れに乗りたいところだ。昨年は出雲、全日本ともに1区で力を出せなかった柳。中止となった出雲駅伝でもリベンジしたいという強い思いを持っていた。出雲駅伝の分まで、昨年の借りを返す力強い走りに期待だ。
☆2区 弥富市筏川橋西詰〜川越町高松(13.2km)
昨年は大エース大迫傑(現日清食品G)が区間賞を取得した2区、今年は高田康暉(スポ3)が務める。1月の箱根駅伝ではエース区間2区で見事区間賞を獲得するなど、その才能を開花させつつある。インカレでは目立たずに終わってしまったが、先月19日に行われた早大記録会では10000m28分49秒59の自己ベストをたたき出すなど調子を上げている。服部勇馬(東洋大3)ら有力選手もいるが、区間賞争いにも期待したい。
☆3区 川越町高松〜四日市市六呂見町(9.5km) 唯一10kmを切るスピード区間に起用されたのは中村信一郎(スポ3)。柳、高田と続き3年生での襷リレーだ。春先からハーフマラソン、5000mと何度もベストを更新してきた中村だが、ついに10000mも28分56秒00の好記録を出すなどその好調ぶりは止まるところを知らない。昨年は出雲、箱根と出場したが全日本は初出場となる中村。持ち前のスピードを活かした走りでチームをさらに勢いづけてくれるだろう。
☆4区 四日市市六呂見町〜鈴鹿市寺家町(14.0km)
レースも中盤に入る4区を任されたのは駅伝主将である山本修平(スポ4)。3年連続での4区起用となった。ここも例年エース級が集う区間だが、山本の過去2回の成積は区間2位、3位と常に上位の走りを見せている。今年も中村匠吾(駒大4)や井上大仁(山学大4)など力のある選手がそろっているが、最後となる伊勢路で区間賞の期待も高まる。5区以降は下級生が多く配置されているが、主将としての走りで鼓舞してくれるに違いない。
☆5区 鈴鹿市寺家町〜津市上浜町(11.6km)
例年早稲田からはルーキーの起用が多い5区には光延誠(スポ1)が登場。5月の関東インカレでエンジデビューを果たすと6月のアジアジュニアでは5000m2位入賞など、入学して半年ながら数々の結果を残している。3冠を達成したときの早稲田に憧れて入ってきた期待のルーキー、「走るからには区間賞、区間新を狙いたい」という言葉も頼もしく、初の大学駅伝でどのような走りを見せるか注目だ。
☆6区 津市上浜町〜松阪市曽原町(12.3km)
6区を任されたのは井戸浩貴(商2)。昨年の全日本で大学駅伝デビューを果たした井戸だが、7区3位と好走した。トラックシーズンは満足のいく結果が出せなかったというが、先月には10000mで28分台に突入するなど、調子を上げている。6区は各校の選手層の差が表れやすいとも言われる区間だが、ここに井戸を起用できるということは早稲田が戦える証ともいえる。2年目となる今年は主力としての活躍が期待される井戸、「区間3位以内でチームの優勝に貢献したい」との言葉通りの走りを見せてくれるか。
☆7区 松阪市曽原町〜松阪市豊原町(11.9km)
井戸から襷を受けるのは同じく2年生で今回が大学駅伝デビューとなる佐藤淳(スポ2)。昨年度は補欠として何度もエントリーされながらも出走機会に恵まれなかったが、満を持しての登場となる。今年は5000m、10000mともにベストを更新しており、駅伝でどんな走りを見せてくれるか注目だ。愛知県の出身で伊勢路には思い入れもあるだろう。アンカーへとつなぐ重要区間、力走に期待したい。
☆8区 松阪市豊原町〜伊勢神宮内宮宇治橋前(19.7km)
最終区間にして最長区間である8区は田口大貴(スポ4)が任された。全日本は初出場だが、今季はトラックで自己ベストも更新、全カレでも入賞するなど主力としての信頼も厚い。早稲田への思いも強く、4年生として奮起の走りを見せてくれるだろう。オムワンバ(山学大3)など強力な選手がそろい、アンカー区間での逆転を狙うチームもある。最後まで目の離せない展開となりそうだが、早稲田のエンジがトップでゴールテープを切ることを楽しみにしていよう。
出雲駅伝の中止により、今年度の大学駅伝は全日本と箱根のみとなった。選手たちの調子も良く非常に期待が持てた出雲駅伝が中止となってしまったことは残念だが、今年の早稲田はスタミナが持ち味。距離が延びるほどチャンスは大きいというのが渡辺康幸駅伝監督の見解だ。この全日本も十分に優勝が狙えるといえよう。今年度の早稲田はチームワークが魅力。大エースは不在だが、山本主将を中心に支え合いそれぞれが力を出せるチームになっている。3冠以来の三大駅伝勝利なるか、期待が高まる。
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