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第92回箱根駅伝 往路総評

 2015年度の出雲は三冠狙いの青学が優勝し、全日本は青学の行く手を阻む東洋が悲願の初優勝を果たした。早稲田は順位こそ厳しかったが、全日本からいい雰囲気を保っている。三大駅伝の中で、最も過酷で最も重要といってもおかしくない箱根駅伝。目標を「優勝」と掲げて、日々練習してきた。2016年1月2日、相楽新監督のもとで、エンジを背負う選手たちの戦いが始まった。

 

区間4位の好走でチームを押し上げた永山

 例年と比べて、寒さの和らいだ天気となった1月2日の大手町。午前8時、第92回東京箱根間往復駅伝競争の号砲が鳴った。レースの流れを作るために重要となる1区には、各校のエースから期待のルーキーが顔を揃えた。早稲田の1区を任されたのは、全日本1区で秒差なしの3位でつなぎ、メンタル面も鍛えられた、好調の中村信一郎(スポ4)。「全日本の成功体験を経て、どんなレースプランでも対応できるという自信につながった」という中村信は、前半からしっかりと潰滝大記(中央学院4)らと先頭集団でレースを進める。1キロを2分47秒とハイペースで入り、スタートから10分で集団はやや縦長になった。7.8キロ地点で町澤大雅(中央大3)が一旦仕掛けるが、すぐに集団に吸収され、動きはない。依然としてハイペースで進む中、11キロすぎで其田健也(駒澤4)が遅れ始め、集団も散け始めた。17キロすぎの六郷橋では、久保田和真(青学4)がいっきにペースをあげ、トップに出る。その後に横手健(明治4)も懸命に付いていく。早稲田の中村信は4位集団で中央学院や東洋らと前を追った。そして、そのまま青学の久保田が1位で襷を渡し、2位に明治、3位拓殖大、4位中央大、そして5位に早稲田が入り、トップと48秒差で、逆転を目指し主将高田康暉(スポ4)につないだ。

華の2区は、やはり各校のエースがひしめき合い、また、後方からの追い上げが目立った。早稲田の高田は怪我で出雲、全日本を回避し、箱根には合わせてきた。4年生としても主将としても、最後の駅伝となるため、その復活劇が期待された。1位の一色恭志(青学3)は落ち着いた走りを見せ、一方、ドミニク・ニャイロ(山梨学院1)は前半からとばしていく。7キロすぎ服部勇馬(東洋4)の追い上げで前を行く明治をとらえ、東洋が3位に浮上した。早稲田の高田は5位集団で前を追う。また、13キロ手前でニャイロは東洋に追い着き、並走し、14キロすぎで一時は青学との差113mまで迫った。1区13位で襷をもらった工藤有生(駒澤2)は、じわりじわりと5位集団まで追い着き、残り7.8キロ付近で集団から抜け出す。一方、早稲田の高田は集団から遅れてしまい、11位に後退してしまう。残り約3キロで、2位並走中の東洋と山梨学院大では、東洋の服部勇が引き離しにかかり、2位に浮上。青学の一色は平然とした走りで1位で3区へとつなぎ、東洋の服部勇は区間賞の走りで、中継所でトップと53秒あった差を23秒まで縮め、2位で服部弾馬(東洋3)へ託した。その後、3位に山梨学院大、4位に明治と続き、中継所で12位でもらったルーキー塩尻和也(順大1)は順位を4つ上げる好走を見せ、8位でつないだ。早稲田の高田は苦しい走りを強いられ、1位と4分差の14位での襷渡しとなり、順位を落としてしまった。続く3、4、5区の後輩に追い上げを託した。

  3区は湘南の海を横手に見ながら、正面には富士山を望む絶景の区間であるが、それとは裏腹に、遊行寺の坂や海風が吹き荒れ、険しい区間でもある。早稲田の武田凛太郎(スポ3)は「ねばりの走り」をしたいと語っており、どこまで順位を上げられるか期待がかかった。1位の秋山雄飛(青学3)は5キロを14分15秒と、好ペースで入り、2位以下の大学との差を広げ始める。5.5キロ地点遊行寺の坂では、1位青学と2位東洋との差は49秒と広がり、服部弾はなかなかその差を縮めることが出来ない。7キロ手前で中継所で6位で襷をもらった中谷圭佑(駒澤3)が4位まで押し上げ、明治が5位へと後退した。残り6.9キロ地点、1位青学、2位東洋、3位山梨学院大・駒澤と続き、11位日体、12位日大、早稲田の武田は13位と中継所から1つ順位を上げ、さらに前を追いかける。そして、1位青学、2位東洋、3位山梨学院大、4位駒澤、5位中央学院大と襷リレーし、早稲田は中継所から3つ順位を上げ11位でつなぎ、10位の順大とは8秒差とした。1位との差は5分46秒と厳しいが、武田は区間5位の力走を見せた。

  4区は全区間の中で最短区間で、スピード勝負が繰り広げられる。早稲田からは期待のルーキー永山博基(スポ1)がエントリー。1位の田村和希(青学2)は、去年自らが打ち立てた区間新記録の更新へ挑戦した。早稲田の永山も堂々とした走りで、9.1キロ二宮地点で前を行く拓殖大、帝京大、日体大らの集団に5秒差まで迫り、11位で通過。残り3キロの酒匂橋地点では、二宮からさらに順位を上げ、7位に浮上し、さらに順位を上げるために力を振り絞ってラストスパートをかける。そのまま、1位青学、2位東洋、3位山梨学院大、4位駒澤、5位中央学院大、6位順大、7位早稲田と襷リレーし、永山は55分54秒の区間4位の好走を見せ、初の山登りに挑む安井雄一(スポ2)に襷を託した。

5区を任された安井は、去年は8区を走ったが、山本修平(トヨタ自動車)に次いで山の適性を見いだされていた。そんな安井は黙々と山を踏みしめ、前を追っていく。全日本から調子を合わせてきた神野大地(青学4)は、去年ほどの好記録は狙えないが、優勝へ向けて一歩一歩着実に進んで行く。神野は去年の経験を踏まえて、序盤は抑えて入りつつも、山になったらギアを切り替える走りを見せる。それを追う2年連続となる五郎谷俊(東洋4)も、5キロを15分06秒と好ペースを刻む。7キロすぎ、大塚祥平(駒澤3)が中継所で25秒あった差を縮め、3位に浮上し、中継所で13位でスタートした宮上翔太(東海4)も10キロすぎまでに5人を抜く力走を見せる。残り9キロ小涌園前では、1位青学、2位東洋、3位駒澤、4位山梨学院大、そして安井の追い上げにより5位に浮上した早稲田、6位東海と続いた。残り約5キロとなった17キロすぎまでで、去年、神野に続く区間2位の成績を残したダニエル・M・キトニー(日大4)が9人抜きを達成し、中継所の14位から6位に浮上し、早稲田の安井に迫っていた。そして、青学の往路優勝に湧く声援を浴びながら、神野が1位でゴールし、明日の復路への流れを作った。2位は3分4秒差で東洋、3位は駒澤、4位は山梨学院大、そして早稲田は5位でゴールし、6位は日大という結果になった。早稲田は1位と8分22秒という差を付けられたが、安井は区間5位と健闘した。

 「最後は笑って終わりたい」と全員駅伝で優勝することを目標としていた早稲田だったが、往路の結果は厳しいものとなった。しかし、復路にも主力級の選手を残しており、まだ諦めたくはない。まずは6区からいいリズムを作り、少しずつ差を縮めていき、選手達には最高のパフォーマンスをしてほしい。


2016年第92回東京箱根間往復駅伝競走 往路個人記録

区間
氏名
学年
学部
出身
個人記録
区間順位
チーム順位

1区

中村信一郎
4
スポ科
香川・高松工芸
1.02.10
5
5

2区

高田康暉
4
スポ科
鹿児島・鹿児島実業
1.10.46
17
14
3区
武田凜太郎
3
スポ科
東京・早稲田実業
1.04.11
5
11
4区
永山博基
1
スポ科
鹿児島・鹿児島実業
55.54
4
7
5区
安井雄一
2
スポ科
千葉・市立船橋

1.21.16

5
5
5.34.17
 
5

※当日のエントリー変更:なし

 
(TEXT=川口恵、PHOTO=福島瑠都)

 

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