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早稲田スポーツ探訪

部活動、或いはサークル活動などで、早稲田の学生は様々なスポーツと日々親しんでいます。自分以外の人が、早稲田でどんなスポーツライフを送っているか、意外に知らない人が多いのではないでしょうか。体育各部の活動を中心に、早大生のスポーツ事情をコラム形式でお伝えします。

2012/12/11 更新  特別編

100回目の早明戦
ー就職活動を始める3年女子のつぶやきー


2トライを決めた中。


黒髪と真新しいリクルートスーツに身を包んだ友人たち、そして多くの「就活生」を頭の隅で想像しながら、私は千駄ヶ谷の駅に立っていた。  昨日12月1日から本格的に就職活動が始まり、私の友人達は今日どこの説明会に行くかを話し合っていた。しかし私は何カ月も前から手帳に書き込んだこの予定だけは無視することは出来なかった。

―――ラグビー早明戦。早稲田と明治、両校の意地と意地のぶつかり合い。加えて今年は記念すべき100回目の早明戦。国立競技場に向かう私の心に迷いはなかった。

試合は開始早々明治にトライ、ゴールを決められ、その後も明治の勢いを止められず、ロングボールからまたもやトライを決められてしまう苦しい展開。  早稲田ペナルティゴールや中隆彰(スポ4)のトライなどで点を返していく。中は走りで2人をかわし、足を掴まれながらもトライを決めた。トライ後、両手でぎゅっとボールを掴む中の形相からは反撃の匂いがした。  前半3トライを許すも明治の流れをぎりぎりのところで食い止め13-19で折り返した。
後半、期を待っていたかのように早稲田の反撃が始まった。中がこの日2回目のトライを決めると、主将上田が意地のトライを決め逆転。続いて荻野がトライを気め32-19と大きく突き放す。  流れは早稲田にある、明治に32分、ペナルティトライを決められ6点差と迫られた時も私はそう思っていた。もうすぐラインというぎりぎりのところで早稲田は明治の押しに耐えていた。  あと1分!私はカウントを始めた。50秒、40秒…あと30秒!25秒、24、23、22…  その時、明治の選手がスクラムから抜け出した。パスからタッチダウン。明治のトライが決まった。32-31。コンバージョンキックも決め、32-33。明治逆転。  終了まであと20秒の出来事であった。

 


トライを決め、喜ぶ上田主将。

思い起こせば昨年の早明戦も試合終了直前に勝敗がひっくり返った。15-16と1点のリードを許していた早稲田。このまま試合終了かと思いかけたその時、明治のペナルティから原田季郎(当時スポ3)がゴールを決め18-16と逆転に成功。劇的な勝利であった。 本当にスポーツは試合終了まで何が起こるか分からない。それはどちらにも言えることだ。自分の応援している味方にも、その逆にも。

しかし私は早稲田の熱い戦いを確かにこの目で見た。今日の突き刺す寒さを一瞬でも忘れるような熱い選手達の戦いを。 どこからともなく聞こえてきた「メイジ、メイジ」の大合唱、それを打ち消すかのように「ワセダ、ワセダ」の響きが重なる。 この国立競技場の熱気は、今ここでしか味わえない。見にきて本当によかった。

 

ここから新たな戦いが始まる。

「前へ」と戦ってくる明治に早稲田が押し負けていたとは思わない。私はこの試合を見て諦めないで最後まで戦うこと、最後まで油断せず戦うことの重要さを学んだ。今まで積み上げてきたこと、そして母校の誇りを持って。  

 

  そうだ、私も押して、押して、押しまくろう。今日の試合で自分を、チームを信じて逃げずに戦い続けた両校の選手のように。 まず最初は就職活動という目の前の現実から「逃げたい」自分に勝つことから始めようと思う。

 

 


(TEXT=磯綾乃、PHOTO=磯綾乃、猪野史夏)
 


 
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