全日本大学選手権(インカレ)10度制覇、関東大学リーグ・1部優勝24回を誇る名門ワセダは昨年、創部史上初めて東京都大学リーグに降格した。2000年(平12)11月23日、西が丘サッカー場での悪夢から半年、21世紀新生ワセダの第一歩が、早慶サッカー定期戦によって踏み出される。この伝統の一戦、4年ぶりの勝利が名門復活の序章となるか。今年から新監督に就任した藤原義三さんに聞いた。
今年で52回を迎える早慶サッカー定期戦は、日本サッカーの中で歴史が深い一戦のひとつ(一番は早関戦)で、思い入れは強いですね。僕らが現役の頃(1973−1977年)は力量はどう見ても早稲田だったんだ。でも、4年間で1回だけ負けてしまったんだ。だから3勝1敗だった。両校とも昔からこの試合にかける思いは真剣だよ。実力差はあってもこの試合だけは、関係なかったね。伝統の阪神−巨人戦じゃないけどね。
今年は、力量的には慶応です。すべての面でウチを上回っていることは間違いなが、なんとか勝ち抜きたい、そのための作戦は考えています。ただ小手先の勝負、応急処置的な対応ではやられるね。今のチームには、精神的な強さがまだなく、早稲田本来の”タフ”さがないから苦しい戦いになるとは思うけれど、ひとりひとりができる限りの力を出し切って、チームがそれで100%を上回ることができたら可能性は十分ある。
僕の時も会場は国立競技場だった。早慶以外の学生は、何かの代表選手にならない限りあのピッチにはめったに立てない。当時は日本で一番の客席を誇っていたから、ピッチに立つことだけでも感激したよ。ナイターの暗闇がまた僕らを興奮させるんだな(笑)。お客さんも2万や3万も入って物凄い臨場感があって、まさに僕らのためだけにお客さんが入っていると感じで、身震いがしたよ。今の選手はそれをどれだけ感じているかは分からないけれど、間違いなく「あこがれの舞台」であることは断言できるよ。ワセダの色を少しでも多く出したいね。応援よろしくお願いします。
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藤原義三(ふじわら・よしぞう)
1955年(昭30)3月2日生まれ。77年(昭52)教育学部卒。大学卒業後、ヤンマーに進みプレー。ポジションは守備的MF。現役引退後、会社勤務を続けるが、93年(平5)Jリーグ参入を目指すセレッソ大阪(現J1)のコーチに就任。99年(平11)まで務める。00年(平12)横河電機(JFL)監督を経て、01年(平13)本学初のプロ監督に就任。Jリーグの監督資格であるS級ライセンスを持つ。
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