TEXT=神原一光
6月2日(土) 第1試合 W9-0K
「早稲田完勝、止まらぬウェーブ」
「止むことのないウェーブ」。8回表、慶応の攻撃中に起こった観客席のウェーブはチェンジまで止むことはなかった。それほどの盛り上がりだった。終わってみれば9−0の完勝、早稲田陣営は美酒に酔いしれた。
3回に先制した早稲田は終始、試合の主導権を欲しいままにした。1987年にOBの田宮が記録したシーズン最高打率(5割1分9厘)更新の期待がかかる鳥谷敬(人2)は4打数2安打。打率は5割1分3厘と1厘落ちたが、3打点を加えて計10打点でトップに並び打撃3部門すべてで1位、立教戦で消えた優勝の悔しさを思う存分晴らした。投げては、和田毅(人3)は初の無死球完封勝利。今季5勝目で、単独最多勝が確定した。
華奢な体から独特のフォームで投げ込む和田のピッチング。私は、そのキレのある直球を初めて目の当たりにした。4年間、テニス一筋に打ち込んできた私にとって学生として初めて観戦する早慶戦。神宮スタンドの異様なまでの盛り上がりと、教室より2回りも大きく見える選手達に感激した。日本酒を一気飲みする学生、上半身裸で声をからして応援する学生、外野最上段に立ち、球場の盛り上がりに目を輝かせる学生、応援部の皆さん…。ビール片手に私も酔いしれた。
期待の鳥谷は、第1、2打席目は凡退するものの、5回1死12塁の第3打席は左中間を抜く2塁打。2者を生還させた。6回は押し出し死球、8回にはセンター前ヒット。3冠王を手元にしっかり引き寄せた。今夜は、鳥谷にとっても、私たちにとっても眠れぬ夜になるのだろう。
肩を組んでの紺碧の空、そして都の西北の大合唱。早稲田に入ったからには一度は経験しておきたい臨場感、一体感。球場を後にした今、少しかすれたのどの痛みが心地いい。
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