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TEXT=山田浩平

2年ぶりの全勝対決。秩父宮ラグビー場がほぼ満員になるであろう今年のラグビー早慶戦。明治→慶應へと移り変わる大学対抗戦優勝の文字を次に勝ち取るのは早稲田以外にない。いざ、早慶新時代へ。


関東大学ラグビー対抗戦Aグループ 
早稲田(5勝)vs慶應義塾(6勝)
日時:11月23日(祝)14:00試合開始
場所:秩父宮ラグビー場


データ

早慶戦過去5年のスコア

スコア
73
平成8年
●17-18
74
平成9年
●12-42
75
平成10年
○35-21
76
平成11年
●21-29
77
平成12年
●10-31

 図を見て分かるとおり、ラグビー早慶戦において早稲田は慶應大学に過去5年で4敗している。分が悪いと言わざるを得ない(誤解のないように付け足しておくが、平成7年以前は早稲田は11連勝している)。特に2年前の早慶戦の全勝対決において前半18-5でリードしながらの後半一気の衝撃的な逆転負けは早慶の地位の逆転も決定づけた。その時、早稲田を倒して対抗戦優勝を遂げた慶應は昨年も優勝し現在対抗戦2連覇中である。
 データ的には慶應優位な中で行われる今年の早慶戦、第78回目の対決にはどういうスコアが刻まれるだろうか。


早稲田の戦力分析

早稲田の今期の成績

日時
相手
スコア
9/16
東京大
○100-7
9/30
青山学院大
○125-9
10/14
帝京大
○27-16
10/27
筑波大
○62-19
11/3
日本体育大
○85-10

  今期の早稲田は、今期より就任した清宮新監督のフルタイムの指導も甲斐があり、LO左京主将(二文4)のもと、例年にない充実を見せている。昨年は屈辱のノートライでの敗北を味わった帝京大学戦を27‐16で撃破。青山学院大戦ではチーム過去最多得点の125点を奪った。図を見て分かるとおり、これまで戦ってきた相手にはまったくの危なげない完勝劇を繰り広げている。11年ぶりの対抗戦制覇へ確実に左京組は階段を上っている。
メンバー的にも申し分ない。FW陣に目を向けるとPR副将安藤(人4)は抜群の安定感を誇っているし、右PRには一年生ながら伊藤(人1)がレギュラーに定着、LO高森(教3)はニュージーランド留学で急成長した。NO.8には昨年度の江原主将の後釜を佐藤喬輔が務める。そしてFLにはSHからの異色の転向を果たした羽生(理工3)が小さい体ながら献身的なタックルを毎試合披露している。HBはSHには昨年同様田原(人4)が機能、SOには昨年度一年生ながらFBでレギュラーを奪取した大田尾(人2)が本来のポジションに戻り中盤の柱を造る。BKは、昨年度CTB4年生コンビ、高野と艶島がいなくなったものの、ダイナモ山下(人3)が学生屈指の突破力を保持し控える。その他、メンバーは流動的だが加藤(教2)、豊田(法3)、山岡(教2)、仲山(人3)、柳澤(教3)、山田(人2)など誰が出てきても力を発揮できる状態にある。
 驚くべきは、現在の成績が、昨年度までのNO.8上村(人3)、FB西辻(教4)という不動の主力抜きに残されていることだ。両者怪我で出遅れており、早慶戦には間に合うのかどうか微妙な状況だ。(西辻はJr,選手権法政大戦(11/11)で復帰したものの再び怪我で退いた。)ただ、この2人が入る隙間がないほど今の早稲田は充実している。


慶應の戦力分析

慶應の今期の成績

日時
相手
スコア
9/24
東京大
○88-0
10/7
青山学院大
○88-6
10/14
筑波大
○36-18
10/21
日本体育大
○78-14
11/4
明治大
○31-5
11/11
帝京大
○44-20

 今期の慶応も依然として対抗戦3連覇を果たせるだけの力は充分保持している。しかし、今期より林コーチが日本代表のテクニカルスタッフに就任したためフルタイムで指導できなくなったのに加え、今や日本代表の柱でもある栗原をはじめとして、和田主将や牧野、浦田など昨年度の主力がほとんど四年生で卒業してしまった。戦力ダウンは否めないもののそこは慶応、チーム作りは万全だ。
 ケンブリッジ大との日英対抗ラグビーでは敗れたもの、対抗戦に入ると筑波戦で多少手こずったものの、強敵明治・帝京を軽々撃破した。特に慶明戦は明治のミスがあったものの、31-5と圧勝。取られた5点も終了間際のものであわやシャットアウト勝ちかという試合だった。東大戦や青学戦では早稲田ほど点を取れてはいないが、ランクの上がった明治戦の26点差、ディフェンスに定評の帝京大から44点奪った攻撃力は早稲田にとって脅威だ。
 ではメンバーはどうか。上記のとおり主力が抜けたものの、要所に今年も日本代表クラスを配し、フレッシュな一年生カルテットを加えて未だ対抗戦屈指の布陣を誇っている。PR左座、FL野澤主将、NO.8山本英、CTB瓜生は依然として大学屈指の実力を誇っている。その他、和田前主将の穴はSO田中が埋め、LO池添、CTB鈴木など四年勢が中核を為す。それに慶応の黄金の一年カルテットHO猪口、FL高谷、SH岡、WTB銅冶の4人が加わった陣営は若い力と上級生がうまくかみ合った布陣である。


いざ、本番へ

 では肝心の本番はどうか。希望的には早稲田に勝って欲しいがどちらが勝つかは想像もつかない。30点前後の激しい攻防で、点差は10点と開かない熱戦だと予想する。昨年度の31-10の差がどこまで詰まるか、そして逆転はあるのか、興味は尽きない。
 早稲田の今年の強さはチームとしてのまとまりにある。個々のパワーアップが全体としての底上げをし、チームとして機能してきた。依然BKでのトライが多いものの、FWでも点を取れるようになりパターンが増えたのは大きい進歩だ。ただ、もう一歩、今までにないパターンを編み出して試合に臨むことが重要だ。そして、相手を引き付けてのパス、突破といった基本的な動きが慶応相手でも出来るかが今まで以上に求められる。
 慶応は前述の一年カルテットが鍵を握る。いい意味で元気、悪い意味で安定感がない。楽勝かと思われた筑波戦で一時4点差まで迫られたような状態に陥れれば早稲田に勝機は見えてくる。しかし、逆を言うと、型にはまると強い、それが今年の慶応の強さである。明治を31-5で下した試合はその代表格。ミスをすれば逃さない獲物のような攻撃力をどのように止めるかが早稲田にとっての最大の課題となろう。

 慶応はこの早慶戦が最終戦、勝てば3年連続の対抗戦優勝が決まる。早稲田は勝ってもあとで早明戦が残ってはいるが、事実上の優勝決定戦と言っても過言ではない。早稲田は勝ては11年ぶりの対抗戦制覇、そしてそのあとの大学選手権で学生王者、関東学院への挑戦権も見えてくる。11月23日のラグビー早慶戦、楽しみである。

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