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TEXT=山田浩平

今年の1月2日は駅伝だけじゃない。ラグビーもある。3年ぶりに早稲田ラグビー蹴球部が年を越した。しかも、相手は宿敵慶應大学だ。午前中は駅伝、午後はラグビーと一日中早稲田に酔いしれよう。


第38回全国大学選手権大会準決勝
早稲田(関東対抗戦A一位)vs慶應義塾
(関東対抗戦A二位)
日時:1月2日(水)12:15試合開始
場所:国立霞ヶ丘競技場


伴っているのは結果だけ

早稲田の今期の成績

日時
相手
スコア
9/16
東京大
○100-7
9/23
大東文化大
○50-5
9/30
青山学院大
○125-9
10/14
帝京大
○27-16
10/27
筑波大
○62-19
11/3
日本体育大
○85-10
11/23
慶應義塾大
○54-21
12/2
明治大
○36-34
12/16
大東文化大
○49-24
12/23
大阪体育大
○58-54

 冒頭では威勢のいいことを書いたが、内実は危ういだろう。早稲田は11月23日に慶應大学を54-21で破ってから調子が下降線を辿っている。12月2日の早明戦では、ロスタイムにようやく勝ち越しという展開だった。結果、関東大学対抗戦Aグループでは11年ぶりの優勝、そして全勝となると14年ぶりの快挙を成し遂げた。
 そして、早明戦の激闘から2週間後、大学選手権が開幕した。早稲田は一回戦の大東文化大学を49-24で振り切り、二回戦の大阪体育大学戦に臨んだ。結果は58-54、点差からも分かると思うが、冷汗ゲームだった。前半を43-12で折り返しての楽勝ムードから、メンバーを入れ替えた結果、相手の逆襲に遭い最後の4連続トライで4点差、ワンプレーでの逆転が可能な点差まで詰め寄られた。幸運にも4点差になった直後に笛が鳴りノーサイド。あと1分あればどうなっていたか分からないお粗末な試合内容だった。負けたら終わりのトーナメント戦だけに危なかった。そして試合後、秩父宮の大観衆から贈られた拍手は決して早稲田に向けられたものではなかった。
 結果こそ伴っているが、危惧する面は多い。それは大きく分けて2つある。一つはけが人の多さ、そして慢心である。

怪我人の復帰が鍵を握る

 早稲田の最大の欠点は怪我人が多いこと。清宮監督は試合後次の試合(vs慶應)への選手の大幅な入れ替えを示唆した。しかし、怪我人がすべて復帰してベストメンバーになったらどうかという話もある。HO阿部→中村、LO桑江→高森、CTB沼田→山下はほぼ確実として、FL川上、岡本→上村、羽生、WTB山田→仲山、FB柳澤→西辻、というぐらいだろうか(FBそのままでWTB山岡→西辻や、FL川上そのままでNo.8佐藤→上村などの可能性もあり、現段階では断言できない)。確かにすべてが復帰したらメンバー的には申し分なくなるだろう。しかし、メンバーがベストなのとチームがベストというのは別物である。特に上村・西辻のFWとBK両エースが復帰すれば心強いだろうが、チームとしてフィットできるかには疑問系を抱かざるを得ないのだ。何せ上村も西辻も今秋は80分間まともにプレーした実戦はないし、コンタクトの問題もある。ともあれ、確実にゲインの出来る高森、山下、そしてスピードのある仲山・運動量抜群の中村が復帰できないとかなり苦しくなるだろう。清宮監督の決断に期待したい。

慶應の今期の成績

日時
相手
スコア
9/16
ケンブリッジ大
●20-32
9/24
東京大
○88-0
10/7
青山学院大
○88-6
10/14
筑波大
○36-18
10/21
日本体育大
○78-14
11/4
明治大
○31-5
11/11
帝京大
○44-20
11/23
早稲田大
●21-54
12/16
日本大
○72-40
12/23
立命館大
○75-20

 一方、慶応のほうはどうか。早慶戦で早稲田に完敗してからチーム改革に乗り出した。チーム事情から本来はCTBであった日本代表キャップを持つ瓜生をWTBで使っていたが本来のCTBに戻した。CTBで好調だった廣瀬をFBに、FBの俊足阿部をWTBに配置換えした。もともと構想にあった配置転換だがリーグ戦最中では時間がなくて出来なかったのを大学選手権に合わせて実行してきた。11月23日から約40日という期間と大学選手権での一回戦・二回戦をいう実戦を経て今シーズンベストの完成形へと向かいつつある。
 慶応のベストメンバーはベストチーム足り得る。そういう意味で早稲田のベストメンバーと慶応のベストメンバーは意味合いが異なるのだ。

一度勝っている慢心が気がかりだ

 「なんだ、分かっているなら慢心なんて持たなきゃ良いんだ」という人もいるかもしれない。しかし、そうは分かっても難しいのが人間というものである。前回対戦の11月23日、早稲田は54-21で勝っている、その事実が油断を生むのだ。
 ラグビーというスポーツは非常にメンタル面が重要なスポーツだと思っている。毎年早明戦が実力差以上の接戦になるのはそのためだろう。12月2日の早明戦で早稲田の大勝を予想していたのは僕だけではなかったはずだ。しかし結果は・・・ご存知のとおりである。
前回の早慶戦の前、下馬評は慶應有利だった。早慶戦2連勝中という過去の戦跡に加え、野澤キャプテン・瓜生などの主力が復帰してきたという好材料が慶應には揃いすぎていたからだ。結果は意外とも言える早稲田の圧勝で終わった。試合後、慶應の上田監督が「選手に覇気がなかった」と言ったがその通りで、慶應は慢心のため足元をすくわれたのだ。
 早稲田も早慶戦後は似たような状態である。早明戦は言わずもがな、12月23日の大体大戦で危うくトーナメントから姿を消しそうになった。慢心以外の何物でもないだろう。帝京戦や慶應戦で見せたような挑戦者の意志ではなく、王者として迎え撃つ気持ちで戦っているように感じるのが非常に気がかりだ。特に慶應には真剣勝負で一度勝っているという意識がどうしても働いてしまうし、また大学選手権制覇の通過点だと位置付けると慢心が生じやすくなる。その隙を突かれたら結果が逆になる可能性は十分ある。前の結果は忘れたほうがいいだろう

 ただ、慶應と違うのは、早稲田はそういった中でもきっちりと勝利を収めているというところだ。慶應は対抗戦で早稲田に圧倒され完敗してしまったし、前回の大学選手権での準決勝の法政大の気迫のディフェンスに圧倒され、姿を消したのは記憶に新しいところだ。一方、早稲田は早明戦でもしぶとく悪いながら勝ち星を拾ったし、大学選手権でも準決勝まで進んできている。それはそれで確実に評価されていいところだ。

激戦、大学選手権準決勝

 組み合わせが発表された当初から予想された4強が残った。関東学院vs法政の関東大学リーグ戦1位2位の対決と、早稲田vs慶應の関東大学対抗戦Aグループの1位2位の対決となった。今の大学4強と言い切ってもいいだろう。
 王者関東学院は、横綱ラグビーで法政を倒す公算が高いが、FWが持ちこたえることが出来れば面白い試合展開になるだろう。昨年度、圧倒的優勢だと思われた慶應を破ったその底力に注目だ。
 そして、もう一試合、早稲田vs慶應の試合がある。上述してきたように、非常に面白い試合になることが予想される。前回対戦のような点差がつくことは先ずないだろう。お互いのすべてを出し切って戦って欲しい。
 さて、決勝に進むのはどのチームか。



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