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「箱根駅伝の“沿道の声援”とは」。

文=鈴木英介


今回、WillWinメンバーはテレビ・現場取材に分かれ、箱根駅伝を観戦した。現場取材班は分担と合流を繰り返しながら早大の各選手を応援したが、早稲田の快走とともに印象に残ったのが、箱根駅伝ファンの熱さである。毎回、アナウンサーが「今回も沢山の沿道の声援が・・・」と言っているが、確かに“沿道の声援”が箱根駅伝を盛り上げていることは間違いない。

さて、この“沿道の声援”であるが、“沿道の声援”といって皆さんがイメージされるのは地元住民の声援であろう。家の近くを選手が走るから、ちょっと出てみてみよう、という人は確かに割合としては一番多いはずだ。しかし、それは人数は多くても、様々なパターンの一つに過ぎない、ということを今回実感した。ここでは箱根駅伝を側面から盛り上げる、“沿道の声援”の実体に迫ってみたいと思う。



ほぼ全区間にわたって沿道には観衆が押し寄せる。 Photo=Ikko KANBARA


スタートから箱根駅伝を追う駅伝ファン

我々はスタートの1時間以上前に大手町に行き、スタート地点の場所取りをした。私が地元さいたま市を出たのは4時台だったので、さすがにまだ人もまばらであろうと思っていたが、既にかなりの人が集まっていた。特に年輩のファンが多く、箱根駅伝が各年齢層に浸透していることを感じた。なお、スタート地点では箱根駅伝のパンフレットと、各大学のスポーツ新聞・スポーツ新聞社の号外が入手できる。中継所、あるいはコースの最寄駅などでも入手できることもあるが、大手町に朝早く行って手に入れるのが一番確実であるのでお薦めである。

選手がスタートしてわずか10秒程度で左折し、見えなくなると、駅伝ファンにとっても長い箱根駅伝が始まる。ほとんどの人は、まず、東京発の東海道線に乗る。私達はスタート地点から走って電車に乗ったが、既に電車は箱根駅伝ファンでいっぱいだった。僕らが全力疾走したにも関わらず、僕らより早く走れないであろう中年の夫婦などが、普通に席に座って、ラジオを聞きながらパンフレットを眺めていたのにはとても驚いた。


熟練者の箱根観戦

箱根駅伝のパンフレットには、チェックポイント及び中継所への予定到着時刻が載っているので、どの駅に行けば応援できるかはだいたい予想できる。さらに時刻表や携帯の電車時刻案内などを駆使すれば、効率的に行動できる。とはいえ、熟練者は既に1日のメニューを決めているようで、電車の中では割と落ち着いている。そして、電車が着くと各大学の関係者に続き、もくもくとホームを駆け上がっていく。そのスピートが予想以上に早いので、「なんでそんなに早いの?」と一瞬疑問に思ったが、それもそのはず。ほとんどの人はリュックにスニーカー。一度でも多く沿道に立ちたいならば、持ち物だけでなく、服装にも気を配らねばならないようだ。

実際、電車の時間はギリギリになることが多い。1本逃すと選手に追いつけないので、動きやすいことはとても大切なようだ。また、当然ながら各駅でいちいち切符を買ったり、精算などをしては時間のムダである。Suicaとパスネットを前もって準備しておくことも常識のようであった。


さまざまな"沿道の声援"の楽しみ方

さて、熟練の観戦者を中心に書いてきた。ただ、もちろん"沿道の声援"には他にも様々なパターンがある。ここではそのいくつかを挙げてみたい。

一番目立ったのは、やはり大学陸上部の関係者とその保護者。監督・コーチの指示を伝える部員や、その大学の旗・グッズを身に付けた保護者やOB・OG。とりあえず、乗車ホームなどで迷ったら彼らについていけば間違いない。次に目立つのはやはり、熟練の観戦者。多くは中年の方々であるが、その声援の送り方は様々である。明らかに箱根駅伝通と思われる人もいるが、全てがそのような人達ではない。むしろ、箱根駅伝の応援を小旅行のように考えている年輩の人も多いようで、2日に電車で話したおばさん達は、「去年は箱根まで行ったけど、今年は、国府津まで応援したら、後は伊豆の温泉にいくのよ。」と言っていた。おばさん達にとっては、箱根駅伝を見ながら小旅行するのが毎年恒例のイベントになっているようだった。さらに私達のような大学生年代の観戦者もいれば、車で小田原・もしくは箱根に行き、家族で応援している人も多いようだった。“沿道の声援”は、まさに老若男女、様々な人によって思い思いの形で構成されているのだ。

このような"沿道の声援"の中で走れることはやはり、選手にとっては至上の喜びであるだろう。だからこそ、彼らはその晴れ舞台での活躍を夢見て想像を絶する練習を積めるのだろう。そして、それゆえ、我々も声援を送りたくなるのだろう。その循環に時代が変わっても尽きることのない箱根駅伝の魅力があるのではないかと思う。



TEXT=鈴木英介
(すずき・えいすけ)

教育学部教育学科教育学専修(3教)4年、埼玉県立浦和高校卒。1978年4月12日生まれ23歳。178センチ72キロ。所持資格としてサッカー準指導員、C級スポーツ指導員など。

地域では地元中学サッカー部の十数年ぶりの県大会出場に外部コーチとして貢献した他、自身も市民リーグでサッカーを続ける。大学では様々な体育会の友達の応援・観戦に行くこと数十試合。昨年度はしたくスタッフとしてわせだまつりフットサル大会の運営・審判もこなした。

 

 
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