「わ、早稲田を追いかけてください!」
9時25分、目の前を選手が通過。声を嗄らして必死に応援するが、集団で競り合いながら走っていたので、聞えたかどうかも疑わしい。「ま、仕方無いさ」と思いながら横浜駅まで引き返していると、ラジオから「早稲田先頭!」の声。何ぃ!取材班は色めき立ち、これは何としてももう1回原田を応援しなくてはとの結論に達し、横浜駅前でタクシーをゲット。「わ、早稲田を追いかけて下さい!!」意味不明の行き先。
9時40分、取材班の必死さが伝わったのか、タクシーの運ちゃんは「よっしゃ!」との声を発すとアクセル全開、あわや暴走運転というべきスピードで車を飛ばす。桜木町から有料道路に乗り、120キロで飛ばし(内緒)、着いた所は何と2車線のうち1車線を選手が走る戸塚の5キロ前!隣を選手が走ってる!「俺も長いことタクシーやって初めてだよ!」タクシーの運ちゃんも一緒に大興奮。そしてさらに車を飛ばすと、前には臙脂にWの文字が!「原田〜!頑張れぇぇぇ!!」まるで中継車から応援するコーチの如く、原田を真横から応援する取材班。後でこの馬鹿丸出しの状況がテレビに映っていたと知り、愕然としたのは秘密。
10時、戸塚中継所に到着。タクシーの運ちゃんにはお礼に1000円を進呈。到着5分前とあって、さすがに人垣が幾重にも出来ており、選手を確認することは出来なかったが、それでも雰囲気で誰が来たかは分かる。観客から巻き起こる早稲田コールの中、取材班も「森村ぁ〜!」と絶叫したのでした。でも戸塚中継所、最寄の戸塚駅まで随分と遠い。さて、ここからどうしようか・・・。(後編へ続く)
TEXT=白井邦博
(しらい・くにひろ)
教育学部社会科地理歴史専修4年、愛知県立岡崎高校卒。1979年11月4日生まれの22歳。178センチ56キロ。ラグビー大学選手権の2回戦に出場していた山田君と同じ高校です。
本文でも書きましたが、昨年の箱根駅伝は自宅での観戦でした。肺気胸で病院に入院して、退院した直後だったからです。いわゆる自然気胸は突発的に起こるもので防ぎようがなく、順天堂大学・岩水君の無念さが痛いほど分かります。社会人でもその走りを止めず、箱根の悔しさを晴らす快走を見せてくれることを、心から願っています。
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