野球部特集「松坂世代最終章〜戦え同期〜」
東大戦観戦記〜早稲田、投打ともに完全復活!〜
TEXT=長友亮太
5月4日(土) 早稲田4-0東大
四回戦までもつれ込んだものの惜しくも敗れた法政戦からから早4日。ゴールデンウィーク恒例となった東大戦である。法政戦では打線が沈黙のまま終わり、この東大戦が打撃陣の真価が問われる試合になる。
第一回戦、早稲田の先発はもちろんエース和田毅(人科4)。法政戦から中3日という強行日程で試合に臨んだが、この日の和田は疲れという言葉を知らなかった。初回、1アウトを取ってから3回途中まで圧巻の7者連続三振。しかし、対する東大のエース松家も負けてはいない。今年流星のように現れた松家。高松高校時代からプロも注目した逸材であるが、2年生となった今年は六大学リーグ初登板。未だ勝ち星こそないものの、慶應に7回自責点1、法政戦では完投し自責点2と好投を見せている。3試合目となった早稲田戦でも実力を発揮。早稲田打線を見事に抑え、和田とともに投手戦の様相を見せた。
両者我慢の投球のまま迎えた5回、ついに均衡が破れる。眠れる大砲・4番比嘉(社学3)が松家の速球を叩く。打球は一直線にセンターへ伸びる。まだまだ伸びる。なんとライナーでバックスクリーンに直撃。比嘉の今季初ホームランは貴重な先制打となった。8回には鳥谷、比嘉のダメ押しの長打で終わってみれば4-0。和田は東大の出場10選手全員から三振を奪い、リーグ歴代3位タイの1試合18奪三振。現役最多のリーグ通算20勝目を見事完封で飾った。
今日の和田は最速142kmをマーク。和田の活躍ばかりが目立った試合であったが、その陰で東大・松家の好投も光った。噂には聞いてが、実際球場でその投球を見ると決して和田に引けを取らない投球術を披露。ストレートも最速140kmを計測。1、2年後の東大を担うエースとして、今後各大学の脅威になることは間違いないだろう。改めて和田の凄さを知ったとともに、無限に広がる松家の可能性を感じた、東大戦は点差以上に中味の濃い試合であった。
5月5日(日) 早稲田19-0東大
ジリジリとした日差しが照りつける。東京の最高気温は28度。夏日となったこどもの日の神宮外苑では様々なイベントが行われ、多くの家族連れで賑わいを見せていた。
その暑さの中、昨日同様、早稲田の健児たちが快晴の神宮球場で大活躍を見せてくれた。昨日の主役がエース和田ならば、今日は打撃で見せてやると言わんばかりに打線が大爆発。なんと1回から8回まで毎回得点で計19安打19点。初の三者凡退無得点に終わった9回の攻撃時には、毎回得点を信じた早稲田応援席からため息が洩れたのも印象的であった。
昨日久々に当たりが戻った4番比嘉が今日も快音を響かせる。3回表、ランナーを2人置いて左中間にライナーで飛び込む二試合連続の3ランホームラン。また8回には東大の守備がもたつく間に果敢にランニングホームランを狙った。失敗こそしたが元気なところをアピール。前年春の三冠王・鳥谷共々、ここに来てのクリーンアップの復調は大きい。2週間後に控えた明治戦、そして6月第1週の早慶戦に向けて、大きな強調材料になることであろう。
この試合は記録づくしとなった。2番青木が5安打5打点6得点と大活躍したが、1試合6得点は東京六大学野球連盟新記録の快挙。また青木と鳥谷が2本ずつ、そして比嘉が三塁打を放ち1試合5三塁打。これは昭和35年春に法政が記録した以来2度目のタイ記録となった。法政戦で悔しい敗戦を味わった早稲田であるが、この東大二連戦では今までとは別チームを見ているのではないかと錯覚してしまうほど、投打ともがっちり噛み合い、本来の早稲田の野球をファンに見せてくれた。奇跡の逆転Vへ向けて、次の明治戦が最大の山場となる。
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