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Text=山田浩平


 

意外な圧勝


関東大学対抗戦Aグループ
11月23日、秩父宮ラグビー場
早稲田大
54
33 前半 9
21
慶應大
21 後半 12

この結果、優勝の行方は早明戦へ持ち越し

 「強い」。一言だがこれが一番今の早稲田を表している言葉だろう。接戦になると思われた早慶戦は54-21という記録的大差で早稲田の勝利に終わった。原因はいろいろあろうが、早稲田が清宮監督のフルタイムの指導のもと、名門復活へ着実な前進を続けたのに対して、慶應は昨期の主力が4年で卒業してしまいその穴を埋めきれなかったということに尽きるだろう。今期の早稲田の上昇カーブは我々の想像を遥かに越えていた。

強さの秘訣

早稲田の強さの秘訣は組織力と個人の力との融合体にあった。フィールド全体を使った大きなラグビーを早稲田は展開していた。守りの時に相手に抜かれることがほとんどない。最少人数で守るため、攻撃に移った瞬間の動作が速い。攻撃時も常にゲインする、相手を引き付ける、突破するという意思が伝わってきた。SO大田尾の判断力は際立っていたし、CTB山下の突破力は常に相手の脅威でありつづけた。FL川上は恐ろしいほど正確なタックルを繰り出し、CTB武川は難しい角度のキックを1本除いて決めた。個々の力は決して名前で勝っている慶応に劣るものではなかった。点を取り勢いに乗った早稲田に対し慶応は為す術なく、疑心暗鬼に陥った。そして、早稲田は攻撃をやめない。後半、一時相手ペースで進んだ時間帯もあったが立て直し、結果として試合は大差で終わった。

コントロールタワーHB団の輝き

慶応との差が歴然としていたのがFWとBKを繋ぐ役目であるHB団、SH田原とSO大田尾だった。SH田原は早く正確なパスを常に供給し、SO大田尾は的確な判断力でボールを左右に散らし、慶応ディフェンスを激しく揺さぶった。早くボールを出して展開していくという継続ラグビーの原点を見た気がした。さらに、SO大田尾は後半開始直後のトライのアシストとなる抜け出しを、SH田原は後半33分に相手ボールをターンオーバーし、トライの起点となるなどアグレッシブな攻撃力も披露した。

流れを引き寄せるエース山下大悟

1年からWTBのレギュラーとして活躍してきた山下が本来のポジションCTBに戻って誰にも手がつけられなくなっている。そして、流れを引き寄せたのも2つの山下のトライだった。前半開始6分、7-3からPGゴールを決められ1点差に迫られた。トライを奪われてないのに点差は詰まっていく、そんな嫌な雰囲気を吹っ飛ばしたのは前半11分のスーパープレイだった。相手ディフェンダー5人を一気に抜き去った山下は60メートルを独走しゴール中央へトライ。以後の早稲田の快進撃につなげた。後半開始直後にノーホイッスルトライを奪って31点差つけた後、慶応ペースで試合が進み、12点返されてさらに自陣内で試合が進む・・・。後半33分、相手ボールを奪ったワセダはボールを右に展開、山下が一気に縦に切り込み60メートル独走しトライ。相手ペースの流れを断ち切り、勝利を決定付けたトライだった。

これから

しかし、まだまだ完璧ではない。勝敗が決してからはミスがたくさん出たし、反則が多いのも問題だ。特にディフェンスがよく出来ているのに、無駄な反則でゲインを許すのは非常にもったいない。12月2日には早明戦が待っている。実力は早稲田のほうが上だろう。しかし、毎回実力差以上に接戦になるのが早明戦だ。「勝つだろう」と油断して望むと足元をすくわれるだろう。油断なく戦い勝利し、全勝Vを成し遂げて欲しい。早明戦後、大学選手権の決勝まで進めば学生王者関東学院戦に挑戦できるだろう。王者関東は25日、リーグ戦優勝を決めた。試合巧者ぶりは健在だ。厳しい戦いはまだ続く。左京組の活躍にはまだまだ目が離せない。

 




 
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