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2003/2/9 [ラグビー蹴球部]

善戦するもリコーに完敗。2年連続で社会人の“壁”に涙をのむ。

 
スクラムでは互角。
 
 
接点では相手が一枚上手。
 
 
早大
31
14-26
68
リコー
17-42

第40回日本ラグビーフットボール選手権大会1回戦
早稲田大学vsリコー
2月9日(日)国立秩父宮ラグビー場

 歓喜の大学選手権決勝から早1ヶ月。13季ぶりに大学日本一となった早稲田は、学生王者としてこの日本選手権で社会人の“壁”に挑むこととなった。相手は社会人大会で3位になり、29年ぶりの出場を果たしたリコー。その戦いぶりから「接戦に強い」「試合巧者」という表現が相応しいリコーであるが、特筆すべきはなんと言っても早稲田と非常に縁深いという点だ。リコーには日本代表SH月田や平成11年度主将のCTB小森、そして昨年度のプレースキッカーであったCTB武川など、実に5人もの早稲田OBが所属しており、互いに相手の弱みを握るものどうしの戦いとなった。来季からは社会人がトップリーグ化され、それに伴い日本選手権がジャパンカップ(仮称)と名を変えて開催される。学生が社会人に勝利を収めたのは15年前の早稲田が最後(88年早稲田22-16東芝府中)。最後の日本選手権で15年前の奇跡再現となるか。注目の試合は大観衆が集まる中、晴天の秩父宮ラグビー場で行われた。

 14時15分、大歓声とともに試合開始を告げるホイッスルが鳴る。PR伊藤(人2)、そしてはしかで入院中のNO8佐々木(人1)を欠く早稲田。立ち上がりは社会人のコンタクトの強さに戸惑いを見せ、自陣でのプレーを余儀なくされる。開始10分に先制点を許した早稲田。しかしプレーを重ねるごとに徐々に持ち前の展開ラグビーを見せ始め、前半21分にFL上村(人4)のビッグゲインから生まれたチャンスをFL羽生(理工4)がトライに結びつけ同点。30分には認定トライを奪うなど、前半途中まではスコア的には互角。今季学生相手に無敗を誇った王者の動きが見られるようになった。前半を終えて26-14。リードしていながらも2トライを許し、明らかに焦りの見られるリコー。一方、リードされていながらも「やれる」という自信を掴み、意気あがる早稲田。ハーフタイムの秩父宮には「早稲田、いけるのでは…」という雰囲気さえ生まれた。

 最初の得点をどちらが奪えるかが大きなポイントとなった後半戦。前半の勢いを持続したい早稲田であるが、立ち上がりはその勢いが空回り。逆に社会人特有の当たりの強さを武器に畳み掛けるような攻撃を見せつけられ、開始早々にあっさりトライを奪われる。これで早稲田は完全に集中力が切れたか、開始7分までに計3トライを許す。その後早稲田も大学選手権決勝で使ったものと同じサインプレーでトライを決めるなど、学生王者としての意地を見せるが、得点差は開く一方。一瞬集中が切れた瞬間に奪われたトライがほとんどで、“らしい”展開攻撃を見せても詰めが甘いシーンが頻出。体格では大きく劣るにも関わらず、スクラムでこそ互角以上の戦いを見せたが、一年間を通じて安定することのなかったラインアウトに確実性がなく、接点で相手に幾度となくターンオーバーされる点も目立った。最後も5分以上にもわたるインジュアリータイムでの猛攻も虚しくノーサイド。フィットネスではリコーに引けを取らなかったが、最後の最後まで攻め切れなかった。

 終わってみれば31-68。早稲田以外の学生チームも社会人の“壁”には及ばず、最後の日本選手権でも大学勢はすべて初戦で姿を消すこととなった(帝京大12-77サントリー・関東学院大0-26NEC・法政大0-33東芝府中)。最終的に大差がついてしまったが、早稲田は社会人相手についた点差ほど力負けすることなく、山下組1年間の総決算としてはまずまずの出来なのではないだろうか。試合終了後の選手たちの清々しい笑顔が、負けても納得の内容であったことを一番裏付けているように思える。来季からは今までの“チャレンジャー”としてではなく、“王者”として他大学を迎え撃つことになる。相手からのプレッシャーは一層厳しいものになってくるだろう。この日本選手権での教訓を胸に、来季をより実りのあるシーズンにしたいところだ。

特集
ラグビー蹴球部特集「黄金期への序章〜The Prologue to the Golden age〜」

関連URL
早大ラグビー蹴球部公式サイト
関東ラグビーフットボール協会
日本ラグビーフットボール協会

 

(TEXT・PHOTO=長友亮太)

 


 
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