6月19日、東京学芸大学グラウンドにおいて総理大臣杯関東予選Dブロック準決勝、早大ア式蹴球部対国士舘大学サッカー部の試合が行われた。1回戦で、1部所属の明治大に快勝し、勢いに乗る早稲田。今回の対戦は1部前期リーグを6位で終えた国士舘大学である。6位とはいえ、昨年まではJFL(日本フットボールリーグ)にも大学勢として唯一参加しており、徳永等とともに、国見で活躍した元U−19日本代表候補の柴崎晃誠をはじめ数多くのタレントを擁する大学サッカー界を代表するチームのひとつである。
早稲田のシステムは3−5−2。怪我でスタメンを外れた鈴木修人(スポ2)が復帰した以外は前回と同じメンバーで臨んだ。キックオフ直後から早稲田はボールを支配し、すばやいパス回しで、チームコンセプトである「人よりボールが早く動くサッカー」を1部の強豪相手にも見事に体現していく。国士舘大は出鼻をくじかれた格好でそのスピードに対応できず、ラインを下げざるを得なくなる。早稲田はそれにつけいって次々とチャンスを作っていく。6分に前線に上がっていた山口貴弘(スポ3)のスルーパスから山本脩斗(スポ2)がGKと一対一の場面を迎えるが、セーブされてしまう。23分にはCKから矢島卓郎(人4)が豪快なヘッドを繰り出すも、惜しくもゴール右へ。27分には矢島が左サイドを突破し、クロスをあげると走りこんだ徳永悠平(人4)が合わせるも、バーをかすめた。チャンスを作り出すものの、なかなか得点を奪うことができない。しかし、前半終了間際の40分、左サイドでFKを奪うと、鈴木がけったボールに金守貴紀(社学2)が合わせ、DFにいったんブロックされるも、山本がその返りを左足でけりこみ、いい時間帯で先制点を奪った。引いた相手に対して、セットプレーから得点を奪う理想の展開だった。さらに、ショックを隠せない国士舘大に対し畳み掛ける様に、45分には左サイドをパス交換から突破した松橋優(スポ3)がクロスをあげ、徳永がヘッドであわせ2点目を決める。守備でも、相手にまったくチャンスを作らせず、完璧な内容で前半を終えた。
後半に入ると松橋に代わり、高橋周大(人4)が出場した。すると、早速2分に左サイドをドリブルで突破し、得意の左45度からシュートを放ち、相手キーパーの好セーブにあったものの、好調をアピールする。2点のリードを奪った早稲田は、試合が翌日も行われることを考慮して、カウンター狙いへと、戦術を変更した。この変更は見事にあたり、体力を温存するとともに、全員が高い守備意識を持ち、国士舘に攻め手を与えず、また効果的なカウンターを仕掛けていく。15分にはカウンターからペナルティエリア直前で得たフリーキックを徳永が直接狙うも、おしくもセーブされる。24分には矢島がドリブル突破をはかり、途中出場の中島健太(社学2)へつなぎ中島は中へ切れ込んでシュートを放つも、キーパーの好セーブに合う。追加点を奪うまでにはいたらないものの、攻めあぐねる国士舘に守備面での恐怖を与えることに成功する。すると、72分に、鳴り物入りで入学したものの、長らく怪我で戦列を離れていた渡邉千真(スポ1)が、待望の公式戦デビューを果たした。まだ本調子ではないのか、相手にボールを奪われることが多かったが、ロスタイム47分に、ペナルティエリア付近で得たこぼれ球を、左足で見事にたたきこみ初出場にして初得点。その才能の片鱗を見せた。この直後に試合終了。3−0というスコア以上に実力差を感じさせる試合であった。
いい時間帯で得点を重ね、また相手にはまったく攻め手を与えない今シーズン最高の出来であった。90分間自分たちのサッカーをし続けたことがその要因であろう。この試合で選手たちは自分たちのサッカーの理想形を見つけることができたのではないだろうか。また、新戦力の台頭もあり、収穫の多い試合となった。次の対戦相手は東京学芸大学。いよいよ全国まであと一歩に迫った。しかし、この日のようなサッカーをすれば勝てない相手はない。全国への切符を無事つかんでくれることを期待したい。
関連URL
早大ア式蹴球部公式サイト
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