早大 2 23-25 3 筑波大 21-25 25-21 25-22 16-18 東日本インカレ・準決勝 早稲田大学×筑波大学 東京体育館

　これまでにない好調さを発揮している早稲田は順大にストレート勝ちを収めると、準決勝は筑波大との試合を迎えることとなった。大学バレー界を支える王者に対して、今の早稲田の実力を確認するうえでも重要な位置づけの試合であり、今試合は春季リーグで筑波優勝の立役者となったエース・石島不在という絶好のチャンスを生かせるのかに期待が集まった。

　第1セットから筑波に引けを取らない力強いバレーを展開していく早稲田。柴小屋康行(スポ2)に若干の力みが目立つものの、すぐにいつもの調理を取り戻し豪快なスパイクを決めていく。加えて、前田和樹(人4)、藤森亮介(人4)とこれまでの試合を支えてきた4年生コンビが活躍を見せ、筑波に喰らいつき五分五分の試合を展開する。筑波に比べると、ブロックに安定感が見られず、2枚ブロックの間を抜かれる場面が幾度も見られたが、スパイクに関しては前田を中心としてしっかりと沈めていった。終盤に入っても、一進一退の攻防で23−23のタイスコア。ここでこれまで安定感を見せてきた前田が痛恨のサーブミス。このまま試合を持っていかれ23−25で第1セットを落とすこととなった。しかし、ここで早稲田の選手の表情に曇りは見られなかった。第2セットに入っても、徳武正哉(スポ1)が得意とする一人時間差や高さのあるブロックで相手を攻め立てる。レシーブでもチーム一丸となって落とさない粘りのバレーを見せてくれた。このセットでもシーソーゲームを展開する。しかし、このセットでは柴小屋のスパイクに切れが見られず、中盤簡単なミスから一気に4点差を付けられてしまう。ここでベンチは思い切った選手交代を行なう。早稲田の核としてつねにコートに立ってきた柴小屋を代え、リーグ戦、インカレを通じて起用の少なかった黒木陸(スポ2)をコートに投入する。しかし、志賀、三上を中心とした筑波のスパイクを止めることができず、このまま21−25で2セットを連取されてしまった。

　続く第3セット。ひとりひとりが息のあった動きを披露し、コンビバレーを形として表現している。このセットで大活躍を見せたのが、途中からの出場となった黒木陸であった。北沢浩(スポ2)から左右の前田、黒木に捌かれたトスをことごとく彼ら二人が相手コートに打ち込んでいく。これで流れを掴んだ早稲田は中盤には5点差をつけ筑波を引き離した。このままこのセットを取ると思われた気の緩みだろうか、ミスを連発し一気に１点差まで詰められてしまった。しかし、ここでもチームを助けたのが黒木であった。北沢のトスから、黒木はスパイクをきっちりと決め、そのまま25−21で勝ちきった。第4セットに入っても早稲田の勢いは止まらない。つねにリードし、優位に試合を進めていく。ブロックに勝る筑波ではあったが、終盤に入ると早稲田にリードされた焦りからサーブミスを連発。筑波は悪い流れでこのセットを22−25で落とす形となり、一方の早稲田はムードも上り調子。

　勝負の最終第5セット。ともに集中の糸を切らすことなく、筑波を1点差で追う形、8−7でコートチェンジ。ここから筑波がここ一番でのブロックの強さを見せる。早稲田のスパイクは相手コートに落ちることなく、息のあった筑波ブロック陣の前で弾かれ、11−8と3点の溝を空けられる。しかし、ここで早稲田は腐らなかった。レシーブ、トス、スパイクとどれを見てもいままでの早稲田の影は見られなかった。すべてが最高の形で噛み合い、ついに12−12と筑波の背中を捉えた。ここから早稲田は逆転の兆しを見せ、16−15であと1点のところまできた。最後のトスが松永健太(スポ3)の手元に渡ると誰もが勝利を確信した。しかし、そのボールが落ちたのは自コート。そのまま筑波は試合を持っていき、最後はサービスエースを決められ、16−18、セットカウント2−3で敗戦を喫した。

　本当に悔しい試合。しかし、選手の表情からはなにか晴れやかなものが伝わってきた。どんな強豪校に対してもチームがひとつとなりさえすれば、勝利を引き寄せることは可能だという感触を掴んだのである。去年に比べて今年のチームは、派手なプレーは少ないものの、インカレではまとまりを見せ“繋ぐバレー”を体現しつつある。チームとして戦う強さを再認識し、物怖じしない精神力を持ちさえすれば、これ以降の兆しは明るいものとなるだろう。来年のインカレでは決勝の舞台に“早稲田”が立つことを期待したい。