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全国高校野球選手権西東京大会決勝
早実×日大三
7月30日(日)
神宮球場
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7月30日、全国高校野球選手権西東京大会決勝、早実対日大三高の試合が神宮球場で行われた。晴天の日曜日ともあって、多くの観客が訪れたこの試合。春のセンバツ8強の早実と、ここまで3年連続で夏の都予選を制している日大三高での決勝戦となり、観衆も熱戦を期待していたに違いない。しかし、その期待を上回る壮絶な展開が待ち受けていた。
1回表 日大三高の攻撃。早実エース斎藤は緊張からか制球が定まらず、エラーも絡み早々に2点を失う。一方、早実は、日大三高の投手・村橋の変化球に苦しみ、中々ヒットを打てない。走者を出すと、盗塁で得点圏に走者を進めるが後が続かずチャンスを物にできない。その後二回裏に早実が1点、3回表に日大三高が一点、5回裏に早実が一点を加え3−2で向かえた6回裏から、攻める早実、守る日大三高の構図を元に、極上のドラマが生まれていく。
6回裏 疲れの見え始めた村橋から連続ヒット。1塁2塁とし、村橋をマウンドから引きづりおろすと、続く7番小澤秀のセカンドゴロが一塁手のエラーを誘い、満塁とチャンス広げる。続くは、白川。1−2のカウントから、スクイズを成功させ、同点に持ち込む。
7回裏 ヒットが2本続き、1死1塁3塁とし、一気に逆転するかに思われたが、日大三も維持を見せ、後続を抑える。
8回裏 再び1死1塁3塁のチャンスを作り出し、今度こそ追加点を奪いたいところであったが、カウント2−2から仕掛けたスクイズがまさかのファウル。スリーバント失敗でチャンスをつぶす。
9回表 日大三高の攻撃。連続安打から1死を経て1塁2塁のチャンス。しかし、ここまで力投を続ける早実・斉藤が後続を、捕殺、カウント2−3と追い込んで見事空振り三振に仕留め、エースの底力を見せる。
9回裏 3番檜垣、4番後藤がヒットで出塁、5番船橋が四球で1死満塁の大チャンス。スタンドの誰もが激闘の終幕を思い描いていた。しかし、続く斉藤がサードゴロで3塁走者が捕殺。小澤秀の痛烈な当たりもライトの正面を突き、この絶好のチャンスも逃す。
10回表 先頭打者が出塁。続く打者が四球でノーアウト1塁2塁とすると、続く打者の犠牲バントを斎藤が三塁へ悪送球、最悪の形で追加点を許してしまう。ここまで好投を続けていただけに実に悔やまれる1点となってしまった。しかし、後続を抑え、裏の攻撃に望みをつなぐ。
10回裏 先頭打者三振。決着の雰囲気が漂い始める。続くは、代打の神田。三球目を迷いなく振りぬき、左中間を破る二塁打。更に、1番川西がレフト線を抜く打球を放ち、見事に同点。川西は三塁で刺されたものの、必死にくらいつき、激闘はまだ終わらない。
11回表 2人を押さえるも、続く打者に二塁打を浴び、更にワイルドピッチで三塁までランナーを進められる。続く打者の打球は勢いよくレフトヘ。早実レフト船橋が前方へ倒れこみながらキャッチ。勝利を目指す両チームの意地のぶつかりあいが続く。
11回裏 試合開始から既に3時間40分が経過していた。先頭、3番檜垣が二塁打で出塁すると、何と4番後藤が見事犠牲バントを成功させ、一死三塁とサヨナラのチャンス。迎えるは、今日当たっている5番船橋。これまでの流れから期待と不安が入り混じりながら見守っていたが、バットから放たれたボールはセンターと二塁手の隙間をぬうように、甲子園への放物線を描いた。
この場にいることができた事を、幸運だと思わされる試合であった。高校球児たちの純粋に勝利を、そして白球を追いかける姿に、約2万3千人の観衆は引き込まれ、息を呑むシーンが続いた。終盤戦、誰もが自然と席から立ち、声援を送っていた。劇的な幕切れの後、帰路につく者はしばらく現れなかった。誰もがその場を離れられずにいた。まるで、余韻に浸るかのように。まるで、この熱戦が終わってしまったことを認められずにいるように。両チーム揃って閉会式が始まり、徐々に現実へと引き戻されていく。早実には、まだ全国大会がある。そして、敗れた者も野球が取り上げられるわけではないのだ。スタンドに駆け寄る早実ナイン。初夏の夕日に、紺碧の空がいつまでも鳴り響いていた。
関連URL
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