11月26日、西が丘サッカー場にて関東大学リーグ1部最終節、対法政大学の試合が行われた。前節、首位の流通経済大に2-0で快勝し、目前での優勝を阻んだア式蹴球部。11/24に3位明治大が勝利し順位を確定させた為、今節戦う法政大と4位を争う事になった(21節終了時点で勝点差2)。法政大には開幕戦、天皇杯予選共に敗戦を喫しており、厳しい戦いとなる事が予想された。リーグを締めくくる相手としてはこれ以上ないと言えるだろう。
早稲田は、U-21代表としてアジア大会出場の為、山本(スポ3)が欠場。金田(スポ4)が久々にスタメンを飾った。序盤は両チームともスロースタート。15分を回った頃からフィニッシュまで到達し始める。まず法政が9番小助川(4年)が右サイドを突破しクロス。15番稲葉(3年)が頭で合わせるもゴール上へ。一方早稲田も22分、相手GKのミスキックをカット、そこから渡邊(スポ2)が無人のゴールを狙うも、相手DFのチェックにあい、シュートはゴール左へ。続く23分、兵藤(スポ3)が右から左へ大きく展開。走りこんだ横山(スポ3)が頭で渡邊へ繋ぎ、落とした所を攻め込んだCB山口(スポ4)がミドルシュート。キーパー正面を突く。34分には塗師(スポ2)のロングシュートを兵藤がヒールでコースを変えるも、惜しくもゴール左へ外れる。ペースを掴んだかに思われたが、この後のゴールキックから法政のカウンターにあうと右サイドを突破され、グラウンダーのクロスを走りこんだ10番井上(4年)に押し込まれ、先制点を許す。この後はチャンスをつくれず前半終了。シュート数では上回ったものの遠目からが多く、またしても法政を追う展開となってしまった。
後半、松橋(スポ4)、鈴木(スポ3)を投入するも調子は依然として上がらない。更に、9分の接触プレーに対する判定によって冷静さをも失ってしまう。10分、法政9番にPA内に進入されると、対峙した横山のタックルはボールにいっていたかに見えたが、無情にもPKの判定。猛抗議も実らず、井上に2点目を許す。ここから歯止めがきかなくなり17分にはラインミスで一対一のピンチを迎えるも、時久(スポ4)が何とかセーブ。23分には金守(社学3)のキーパーへのパスミスを押し込まれ3点目を許す。集中力を欠き、あっという間に突き放されてしまった。「おい早稲田!名門なら名門らしいプレーをしろ!」スタンドからそんな声が飛ぶ。早稲田のプライドを奪われた選手達は、下を向き消極的なプレーに終始していた。このまま終わってしまうのか。しかし、その流れを変えたのは4年生の最終学年としての意地だった。まず30分、怪我をおして出場の松橋が、絶妙なスルーパス。中川翔(スポ1)がダイレクトで蹴りこみ1点を返す。直後32分、今度は渡邉が右サイドを突破。上げたクロスを走りこんだ山口が流し込み2点目。1点差に詰め寄り、その後は両チームの激しいぶつかりあいが続いた。全力で走り、接触プレーの連続。勝利を目指し、全ての選手が躍動していた。意地を見せたものの、結局試合はこのまま終了。2−3で敗れ、早稲田は5位でリーグを終了した。
気持ちの揺れ動きが展開を大きく左右した試合だった。3点目を奪われた時、早稲田は選手、ベンチ、スタンド全て勝利への意欲を失っていた。しかし、それを一変させたのは4年生のプレーだった。山口の挙げた2点目。「このままで終わってたまるか」という意欲があのオーバーラップに繋がったに違いない。「勝利への衝動」ゴールに向かってがむしゃらに走る。ポジションなど関係ない。それが現れたプレーだった。昨シーズン2部を圧倒して制し、昇格組ながら優勝も期待された今シーズン。先制点を奪うも追いつかれるという展開が続き、上位陣との対決では苦戦を強いられた。2部では、多少気持ちが落ちる時があっても、技術面で差があったため通用していた。しかし、技術的に差がない1部で最後に勝敗を分けるのは、勝利へのこだわり。早稲田にはこの点が欠けていたように思う。その後に行われた流通経済大と駒澤大の試合。両チームスタンドからの激しい応援、そしてそれに刺激され必死のプレーを見せる選手達。観戦していてそれを強く感じさせられた。逆に言えば、今日すぐさま2点を返したように、それさえあれば怖いものなどない。試合終盤、大声でチームを鼓舞していた兵藤。彼も「勝利への衝動」にかられていたに違いない。この試合で感じたもの、学んだものを最後の戦いとなるインカレで発揮してもらいたい。
関連URL
早大ア式蹴球部公式サイト
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