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第55回全日本大学サッカー選手権決勝
早稲田大学×駒澤大学
1 月14日(日)
国立競技場
得点者(早大) 兵藤(1)
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1月14日、冬晴れの国立競技場にて第55回全日本大学サッカー選手権大会決勝戦、対駒澤大学の試合が行われた。実に10年ぶりとなる決勝の舞台。数々の苦難を乗り越え、遂にその地に辿り着いたア式蹴球部。相手は3連覇を狙う駒澤大。実力伯仲の好カードに、会場には1万人を超える観衆が詰め掛けた。栄冠まで後一つ。決勝戦の独特の緊張感の中、開始のホイッスルが吹かれた。
早稲田は累積警告で山口貴弘(スポ4)が欠場。代わりに中川裕平(社学1)が3バックの一角を務めた。序盤、動きの堅い早稲田に対し、経験値で勝る駒澤が積極的に攻撃を仕掛ける。早速1分、田谷(3年)のミドルボレーが早稲田ゴールを襲うと、続く4分にはフリーキックを巻(4年)が折り返し、ヘディングで狙われるがゴール上へ。早くも決定的なチャンスを創り出す。駒澤はセオリー通り、巻目掛けてロングボールを放り込み、こぼれ球を狙う作戦に。そして6分、均衡が崩れる。ゴール前のハイボールを収めきれず、パンチングミスしたボールを、巻にぶち込まれ先制点を許す。単に先制点を与えただけでなく、今大会無得点と不振を極めていたエースに得点を与えてしまった事で、相手にこれ以上ない勢いを与えてしまった。一方、早稲田は細かいパスからペースを掴みたい所だったが、素早いプレスにクリアするのが精一杯で、完全に相手のサッカーに合わせてしまっていた。それでも、個人技で応戦していく。10分相手PA付近で得たFKを兵藤慎剛(スポ3)が直接狙うが、ゴール上へ。12分にもまたもFKを、今度は鈴木修人(スポ3)が狙うが、ゴール左へ僅かにそれる。チャンスはそう多くは望めないだけに、決めておきたい場面だった。そして、その後は両チーム一進一退の展開となるが、34分またも試合が動く。駒澤がコーナーキックから、またも巻が伊藤拓真(スポ3)の上を行く打点の高いヘッドで合わせ痛恨の追加点を奪われてしまう。その後40分、松橋優(スポ4)がGKとの一対一のチャンスを迎えるが、シュートはゴール右へ外れそのまま前半終了。決定機を確実に決めた駒澤に対し、モノにできなかった早稲田。ハイボールの処理に苦しみ、後半へ向けて修正の必要が促される前半となった。
後半1分、重要となる次の1点を相手に与えてしまう。田谷が左サイドを突破すると、絶妙のクロスを小林(3年)がダイビングヘッドで押し込み3-0。決定的な得点を奪われてしまう。それでも諦めない早稲田は、6分兵藤が素早いリスタートから抜け出し、角度のないところからゴール右隅へ決め1点を返す。希望の光が差し込んだ瞬間であったが、この試合を通じてこれが早大が輝いた最後の瞬間だった。22分、相手フリーキックをオウンゴール。キーパーチャージにも見えたが、抗議も実らず、この失点で集中力が完全にきれてしまう。33分には相手FKに対し、ラインミスでフリーの状態をつくってしまい1-5。44分には連携でPA内に進入され、シュートを一度は伊藤が防ぐも、竹内(4年)に押し込まれ1-6。完膚なきまでに圧倒され、早稲田の今シーズンは終わりのホイッスルを迎えた。
完敗だった。勇姿に期待を膨らませ会場に訪れたファンは、その光景に目を疑ったに違いない。注意していても防げなかった空中戦。パス交換が決定機に繋がらない。攻守において、やりたい事を全くやらせてもらえなかった。成す術がなかった。勝機はあったはずだった。しかし、決勝における駒澤の勝負強さは、それを掻き消す程だった。経験した事のない屈辱。逆に言えばこんな舞台でしか味わうことはできなかっただろう。今大会に入りようやくチームとしての力が発揮できるようになった、しかし勢いで勝てる程甘くはなかった。兵藤を始め、経験した下級生には、この日を忘れる事無く来シーズンを過ごしてほしい。一年後、「あの屈辱があったから…」そんな日が来る事を期待したい。
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