学生相撲のメッカと呼ばれる大阪府・堺市大浜相撲場。その伝統あるドーム型の天井に、早稲田の名前が轟いた。第33回全国学生相撲個人体重別選手権大会、早大から出場した青山智昭(スポ3)が、100kg未満級で3位入賞という快挙を成し遂げたのだ。光に照らされた土俵で表彰を受ける青山(智)。その胸には栄光の証、ブロンズメダルが輝くことになった。
「調整が遅れた。あまり調子がいいとは言えない。」会場脇の控えでそう語った青山だったが、身体は序盤から良く動いていた。
1回戦、朝日大・越本の低いあたりに、前さばきで対応すると、その腕を上手く手繰り寄せ、右にいなした。相手の圧力を上手く分散させた青山は、すかさず前に出る。その動きを見た相手・越本(朝日大)は体勢を立て直し、身体を正対。廻しを狙いにくる。だが、青山はその動きをしっかりと見ていた。相手の懐に頭をつけ、腕を押っ付ける。青山の押っ付けに、重心を崩す越本。そのチャンスを見逃さなかった青山は、腕を思い切り引き寄せると、下方向へと突き落とした。
1回戦を制すと、続く2回戦も高校の後輩、明大・武藤を相手に、厳しい相撲を展開する。突き落としを狙ってくる相手の攻撃を交わした青山は、休まず前に出る。そして相手の左前廻しを狙いにいった。すかさず右に体を交わす相手・武藤(明大)。その変化に青山はついてゆく。体を開き、相手に向かい合うと肩に手をかけた。そしてもう一方の手で相手の背中を押し付ける。武藤(明大)はその圧力に耐えられなくなったか前に落ちる。結果、豪快な肩透かしが決まった。1回戦・2回戦とも重心の低い得意の形で試合を制した青山は、準決勝に挑む。
むかえた準決勝は、東京農大・前田に対し、すばやい立会いで廻しを狙いにいったが、潜り込むようにして懐に入ってくる相手の攻めに苦しめられる。腕を手繰り何とか身をかわそうとする青山。だが、後ろに回りこまれた。両廻しを掴まれ、つり落としを食らう。この一番は惜しくも敗れることになった。結果、青山の3位が決定。試合を終えた。
試合後控えで青山はこのように話す。「調整不足でむかえた大会でした。でも試合を重ねるうちに身体が動くようになっていた。準決勝でのつり落としは悔しいですが、1・2回戦を制すことが出来たのはうれしいですね。」チームメイトに囲まれ、清々しい表情で語る青山には、どこかうれしそうな笑みが浮かぶ。名古屋での大会後、1週間を空けての連戦。短期間の遠征は選手にとっては厳しい条件下の試合と言えるだろう。しかし、その中での成績を残すことが出来るのは、実力があってこその事だ。
今後の目標を青山はこのように語った。「体重を増やして、上位に食い込むような試合が出来るようにしたい」。個人の力が光る最近の相撲部。今大会はその成長ぶりが示された大会となった。
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