愛知県名古屋市の熱田神社西門前〜三重県伊勢市の伊勢神宮内宮宇治橋前、8区間106.8キロで行われる全日本大学駅伝。今年で3年連続の本選出場となった早稲田は、07年が5位、08年が2位という結果で、2年連続でシード権を獲得している。

　前区間中2番目の長さを誇る1区（14.6km）は2年連続で矢澤曜（教2）が務める。現在のチームで最も信頼のおける選手の一人で、昨年は区間5位、先月の出雲駅伝でも1区･区間4位と、レースの流れを作るスターターとしての実績も十分。持ち前の安定感でトップに僅差の区間上位でタスキを繋ぎ、チームに勢いをもたらすことが求められる。
　 　エース区間の2区（13.2km）を任されたのは八木勇樹（スポ2）。外国人留学生など各校の主力、実力者達がしのぎを削る厳しい区間だが、実力では八木も引けを取らない。実力を存分に発揮し、自身の役割をしっかりと果たして欲しい。
　 　3、4区には出雲駅伝を経験したルーキー二人が選ばれた。まず、大会最短区間の3区（9.5km）を走るのは佐々木寛文（スポ1）。出雲では4区･区間2位と上々の駅伝デビューを果たしており、今大会でも前回のような快走が期待される。1、2区で先輩達が作った流れにうまく乗って、堅実に次の区間へ繋いでほしい。前半戦最後の4区（14.0km）で佐々木からタスキを受け取るのは平賀翔太（理工1）だ。4区は今大会3番目に長い区間ではあるが、平賀は出雲で10km以上の距離を無難にこなしており（6区･4位）この距離への対応も十分可能であろう。冷静かつ新人らしい思い切った走りで、レース後半に向けてチームの勢いを更に加速させてほしい。

　　全長106.8kmという長丁場のこの大会では、レース後半で大きな順位変動はあまり見られない。すなわち、前半戦で好位置、上位につけることが優勝、シード権獲得の条件となる。前半4区間を、全て1、2年生に託す大胆な作戦に出た早稲田だが、選手の実力的には十分に戦える。4人には、若さを前面に出した積極的な走りを期待したい。

　5区（11.6km）を務めるのは三田裕介（スポ2）。今季はこれまで調子が上がらず苦しい時期が続いていたが、現在は復調傾向にある。久々の実戦となるが、実力、経験ともにある選手なので心配はないだろう。地元の声援を背に、力強い走りで復活した姿を見せてほしい。
　6区（12.3km）を任されたのは神澤陽一（理工4）。爆発力はないものの駅伝での実績もあり、粘りが持ち味の神澤には、最上級生としてチームを牽引するような走りが期待される。
　7区（11.9km）では、今大会3人目の1年生、前田悠貴（スポ1）が大学駅伝デビュー。アンカーへタスキをつなぐ重要な区間であるが、前田も5月には関東インカレ出場を果たすなど着実に力をつけてきた。前後の区間を走る4年生を信頼して、伸び伸びと走ってもらいたい

　最終8区（19.7km）は2年連続で主将の尾�ｱ貴宏（教4）が務める。大会最長区間で、各校エースが集う区間であるが、今季も関東インカレのハーフマラソン2位、先月の出雲駅伝3区･区間2位と安定感抜群の尾�ｱならきっちり区間上位でまとめてくれるだろう。7区までに上位で繋ぎ、昨年この区間で駒澤大に競り負けた悔しさを晴らすような走りで優勝、またはシード圏内の上位でゴールを駆け抜けてほしい。

　先月の出雲駅伝では、レース序盤の勢いのまま4位という好成績を残した早稲田。そして昨年は悔しい2位に終わったこの全日本大学駅伝。選手達も今大会にかける意気込みは強く、また箱根駅伝に向けてチームの実力を測る絶好の機会である。選手一人一人がしっかり自分の力を発揮し、今後に向け収穫の多いレースとなることを期待したい。