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2010/6/4〜6[競走部]

日本最高峰の舞台で、『エンジのW』が活躍!! 
第94回日本選手権レポート


 6月4〜6日、香川県立丸亀競技場にて第94回日本陸上競技選手権大会が行われた。陸上日本一を決めるこの大会。早稲田からは7種目11人の選手が出場し、奮闘を見せた。


 

男子100mの表彰式の様子。江里口(中央)は、「10秒1、2台が普通に、冷静に捉えられるようになってきた」と自身の成長に手応えを感じているようだった。

 男子100mでは、江里口匡史(スポ4)が見事二連覇を達成。「(予選から)勝てる雰囲気を作れたと思う」と試合後本人が振り返るように、予選でいきなり10秒16(+1.8)の好記録を叩き出すなど予選、準決勝ともに圧巻の走りを披露。そして迎えた決勝。江里口は得意のスタートからグイグイ加速すると、中盤以降も伸びのある走りで頭一つ抜け出し10秒26のトップでフィニッシュ。ゴールの瞬間、これまで押し殺していた感情を派手なガッツポーズとともに爆発させていた。
 レース後は、「勝ててよかった」と喜びとともに安堵の表情を見せた江里口。それは、これまで一度も直接対決で勝てていなかった同じ日本代表の塚原(富士通)相手に勝てたという意味だけでなく、自分が勝ちを狙った試合でしっかり結果を残せたことへの満足感を表した言葉でもあった。しかし日本一の称号を手にしても、江里口が見据えるのはあくまでも「世界レベル」。そのステップとして、秋は「全日本インカレ四連覇」と「アジア大会優勝」を目標に掲げる。世界で戦える選手になるため、そして日本短距離界の真のエースになるため、江里口は今後も本物の『強さ』を追い求めていく。


 

棒高跳で2位となった笹瀬弘樹(スポ3)。
昨年の4位から順位を2つ上げた。    

 大会二日目に行われた棒高跳には、笹瀬弘樹(スポ3)、土井翔太(スポ2)、安藤大地(政経2)の三選手が出場。コンディションを見て「今日はいけると思った」という笹瀬は、5m40を2回目でクリアし早々と表彰台を確定させると、自己タイ記録となる5m50も2回目で成功する。すると、この高さで優勝候補の澤野(千葉陸協)で脱落し、優勝争いは鈴木(チームミズノ)との一騎打ちとなる。しかし、後半に入り「脚がダレて走れなくなった」という笹瀬は持ち味の助走が崩れ、続く5m60を三回とも失敗。鈴木もこの高さを超えられなかったものの、試技数の差で鈴木が優勝、笹瀬は2位となった。今大会を振り返り、本人は「力不足。(2位という結果も)タナボタ」と手厳しい評価。助走のための脚力を鍛え直し、秋こそは目標の5m60越えを狙う。
 また、地元・香川での凱旋試合となった土井、安藤の両選手はともに記録は5m00に終わったもの、試技数の差で土井が8位入賞、安藤が12位となった。

 OBの竹澤健介(H21スポ卒)ら日本長距離界の有力選手が集結した5000m。早稲田からは三人が出場し、矢澤曜(教3)の12位が最高だった。大会前「自分からチャレンジする走りがしたい」と語っていた矢澤は、400mをトップで通過するなど言葉通り序盤から積極的なレースを展開する。しかし「前半頑張り過ぎた分、後半固くなってしまった」と本人が話すように、次第に後退。それでも、最後まで上位集団に食らいつく健闘を見せ、学生では2番目となる12位でゴールに飛び込んだ。春先のケガの影響で練習が十分に積めず、現在も痛みと相談しながらの状態だという矢澤だが、レース後半に見せた粘りは地力がついてきている証拠。今大会で感じたトップ選手との差や課題を胸に、より高いレベルを目指し今後の練習に励んでほしい。


 

女子100mHで5位入賞の紫村仁美(スポ2)。
   

 男子やり投では、大型ルーキーのディーン元気(スポ1)が初の日本選手権で堂々の3位入賞。ディーンは2投目に74m06のビッグスローを見せると、その後は記録こそ伸ばせなかったものの、大舞台で自己記録を2m以上更新する勝負強さを発揮し、見事表彰台の座を射止めた。
 400mに出場した浦野晃弘(スポ2)は、36秒78で昨年と同じ6位入賞。決勝では前半から積極的なレースを見せたが後半伸び切らず、タイムも目標としていた45秒台に及ばないやや悔しさの残る結果となった。女子では、100mHに紫村仁美(スポ2)が出場。予選、準決勝を突破し迎えた決勝では、抜群のスタートで飛び出すものの中盤以降格上の選手達にかわされ5位でフィニッシュ。向かい風2.0mの影響もあり、タイムも13秒87と物足りない記録に留まった。浦野、紫村ともに表彰台には届かなかったが、まだ二年生だけに今後の伸びしろも十分。来年こそはトップ選手との差を縮め、更なる飛躍を期待したい 。

 天候にも恵まれ、3日間ハイレベルな戦いが繰り広げられた今年の日本選手権。江里口主将を始め、早稲田は3選手が表彰台に上るなど日本最高峰の舞台でも「エンジのW」は強い存在感を放っていた。出場した選手にとっては、今後の成長に繋がる貴重な経験に、そして他の部員達にとっては大きな刺激になったのではないだろうか。5月の関東インカレをピークに盛り上がりを見せた前期トラックシーズンも、この試合で一つの区切りとなる。多くの選手にとって、次の大きな目標は9月の全日本インカレ。秋に今よりも大きく成長した自分に出会うため、選手達はこれから勝負の夏を迎える。

関連URL
早稲田大学競走部公式サイト

(TEXT・PHOTO=岡崎聡)
 


 
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