短距離のエース・九鬼巧(スポ3)が遂に大学タイトルを獲得した。
100m決勝。4レーン、5レーンと中央に位置するレーンに一際視線が注がれる。スタンバイしたのは飯塚翔太(中央大)と九鬼。山縣亮太(慶大)が予選以降の欠場を決めたため、レースは飯塚と九鬼の一騎打ちに。九鬼は「調子も良く、勝つには絶好のチャンス」とスターティングブロックへついた。
号砲にいち早く反応したのは飯塚。だが九鬼に焦りはなかった。中盤で飯塚の背中を捉えると減速することなく最後は振り切る形でフィニッシュ。勝利を確信した九鬼はガッツポーズで喜びをあらわにした。記録は10秒33の好タイム。飯塚に0.02秒差をつけての優勝だった。
勝因は準決勝にあった。準決勝で九鬼は10秒19を叩きだし自己ベストを更新。ここでも同組の飯塚に0.03秒差で先着している。「あそこで負けていたら決勝も良いイメージではいかなかった」と振り返るように、九鬼は準決勝で良い流れを作り出すことに成功したのだ。
だが勝因はそれだけではないはず。高校時代から競ってきた山縣の存在も大きい。九鬼は今大会について「自分の思っていることをレースで形にできた。それができれば本当に結果もついてくるんだということが改めて分かった」と評したが、これを教えたのは山縣。
昨年、ロンドン五輪の際に同部屋となった山縣と「自分の走りができたその先に記録や順位もついてくる」ことを共有し合ったのだと言う。今大会も優勝を喜びつつ、「山縣が走らないと聞いて少し残念だった」と九鬼。ライバルと共に走ることで見えてくる課題もあるのだろう。
九鬼と山縣。両者による直接対決は9月22日の早慶戦で実現する予定だ。九鬼も「本当に楽しみ」と伝統の一戦に向けて意気込みは十分。同学年の2人が互いに刺激し合いながら短距離界の更なる高みを目指していく。
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