4か月前の関東インカレ。長距離ブロックから早稲田に得点をもたらしたのは大迫傑(スポ4)ただ1人だった。「関カレでの不甲斐なさを全カレで取り返す。そのために2人で入賞しよう」―試合前、山本修平(スポ3)と柳利幸(教2)は誓い合った。
迎えた大会初日の10000m。レースは2000m過ぎに8名の先頭集団が形成され、山本と柳もぴったりとつく。5500mに差し掛かる頃、日大・キトニーと駒大・村山がペースアップしたのを契機に集団は分裂。「自分でペースを考えて」と渡辺康幸監督から告げられていた山本と柳は4〜6番手を走行しながら徐々に前を追った。時には山本が柳に「頑張っていくぞ」と声をかけるなど、互いを鼓舞し合いながら粘り続けた2人。ラストは5名による熾烈な4位争いが繰り広げられたが、山本が制して4位に入ると柳も6位に食い込み、目標通り2人揃ってのW入賞を成し遂げた。ゴール後にはハイタッチを交わし、互いの健闘を称えた。
大迫に次ぐ準エースの山本と、エースを支える頼もしい存在となった柳。
大迫が世界転戦で不在がちの中、この2人は今季の早稲田にとっての柱と言える。
山本は春先に目標としていたユニバーシアードの出場権を逃し、その後の関カレでも入賞を逃すなどもどかしい思いを抱えていたが、夏合宿を経て本来の強さが復活。今大会でも次期エースのプライドにかけたレースを見せつけたが、「調子は100%ではない。まだまだ上がる」と山本。きたる三大駅伝初戦の出雲駅伝では「優勝を狙いたい」と闘志を燃やす。
一方の柳は大学入学以降、怒涛の自己ベスト更新を続けている。たとえそれが大学長距離の有望選手が集まるインカレの舞台であっても柳には関係ない。「まさか(インカレでも)更新できるとは思っていなかった」と本人も少々驚いているものの、自分の走りを貫いた結果が吉と出たようだ。陸上をはじめて2年と少し。その強さは証明済みだが、可能性は未知数だ。そんな柳も練習ではまだまだ力を出し切れていないという。自身の満足いく練習ができた時、更に大化けしそうな予感がする。
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