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2002/6/6更新  第1回

「部は社会の縮図です」

 彼はそう言った。

「いろんな性格があって、いろんな人間がいて、でもそれをひとつにまとめないとひとつの集団として戦えないわけで、誰かが先頭きってやらなきゃいけないんですよね。それを自分がやんなきゃって。好きなんっすよ、キャプテン。」

 ウラハラ系のファッション、背は高く、イケメン。初めて会った時の印象だ。そこには典型的体育会系の雰囲気はない。バスケットボール部主将 藤野素宏。

 

 彼のバスケットボールライフのキッカケはNBA。

「小さいころ7年くらいアメリカで生活している時があって、そのとき初めて見に行ったNBAの試合に感動して、日本に帰ったら絶対バスケやろって思ってましたね。」

 NBAのプレーに触発されてバスケをはじめた少年は中学で背を25センチも伸ばし、その背に比例するようにバスケの腕も上げていった。やがて県選抜に選ばれるようになり、それと同時にキャプテンという仕事に魅力を感じ始めるようになった。それ以来彼は中学、高校、大学とキャプテンを務めることになる。

「僕の理想のキャプテン像はまず注意できる厳しさがあることです。やっぱり大勢の人間がいるからしめるところはしめるっていう風にしていかないと。でもそれだけではキャプテンとしてダメなんだと思います、なおかつチームメイトに信頼されることですね。」と自らの信念を語る彼の目には人一倍強いキャプテンシーが感じられる。

1部に上がれるだけの力はありますよ。

 そのキャプテン率いるチームは現在2部リーグ。一部に上がるには秋季大会で上位2位までに入らなくてはならない。

「それがなんといっても今シーズンの一番の目標です。いい新人も入ってきたし、1
部に上がれるだけの力はありますよ。」

 そう強く、そしてさらりといったその顔には自信すら伺える。そのためのステップとしても大事な試合が2つ。一つは5月27日から6月2日の関東トーナメント。もう一つは6月9日、早稲田大学記念会堂で行われる早慶戦である。早慶戦については観客がとても多く、異様なまでの盛り上がりをみせるということもあり、力が入りすぎてしまう選手が少なくないという。

「そういう選手を少しでもリラックスさせて、ベストな環境をつくっていきたいです。」

 

 今年で60回を迎える伝統の早慶戦。意外にも早稲田は経歴ある選手が多いエリート集団系、それに対して慶応は練習、練習の努力家タイプのチームだという。早稲田になくて慶応にあるものについて彼は言う。

「貪欲さですかね。チームとしてうちと慶応はすごく対照的なんですよ。でもいざ試合をしてみると毎年1点、2点を争う面白い試合になるんです。まあ、個人的には健介(慶応大学キャプテン 佐藤健介選手)と仲がいいこともあって楽しみにしてますね。」

 バスケ以外のことにも触れてみた。進路についての話だ。彼は今、これから自分の進む道についておおいに悩んでいる。このまま社会人でバスケを続けるのか、来年また就職活動をするのか。

「今年も一応就活(就職活動)はしたんですけど思ったところに行けなくて、まだ迷ってるっていうのが正直なところです。社会人でやるならやっぱり一番上のリーグでって思ってるから。」

 それにはこれからの試合でスカウトマンにどれだけ自分にプレーを見せられるかにかかっている。チームとしては一部昇格という大きな目標の前に立ち、彼個人としては人生の岐路に立っている今シーズンなのだろう。チームとして、キャプテンとして、また一選手として彼の今後に興味が沸いてきた。

 


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