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  スポーツの教壇から「FC東京のクラブ経営」村林裕
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「クラブ経営」

それは「さかつく」のようにJリーグのクラブを経営して、クラブを強くしていきたいと思っている学生、そして、スポーツビジネスの分野に進んでいきたいと思っている学生にとってもとても興味のある話ではなかろうか?

「クラブを、選手の移籍や育成によって強くしていって、Jリーグチャンピオンを目指す・・」しかし、現実には、そのためにはどういったことを考えなくてはいけないのであろう・・?

今回は、FC東京の常務取締役である村林裕氏が早稲田大学の講義に来て、話をしてくださった。そして、クラブ経営において必要なこと・そしてクラブとしての将来のビジョンを語った下さった。FC東京というクラブは、東京ガスFCを前身として1999年に発足し、その年にJ2に参加、そして翌年の2000年にはJ1に昇格した。クラブは熱狂的なサポーターに支えられ、東京を代表するクラブへと成長していっている。しかし、東京都いう特質な地域をホームタウンとする、FC東京のクラブ経営は一体どうなっているのだろうか?

1.Jリーグクラブの収入

Jリーグの各クラブ平均収入は年間約26億円。鹿島・浦和・磐田・名古屋・横浜FMのようなビッグクラブでは年間35億程となっている。94年Jリーグが発足した時期。いわゆるJリーグバブル期と呼ばれた時代には、各クラブの平均収入は38億ほどであったが、日本経済の停滞とともにこの数字は大きく下がっていった。しかし近年は各クラブの経営努力によって、この数字は上昇の兆しを見せており今のような数字となっている。Jリーグクラブの収入源として様々なものがあるが、その中でスポンサー収入が一番大きな割合を占めている。しかし、「スポンサー収入を上げれば収入が増加する」と安易には言えないのである。スポンサー収入はいくら経営努力を行ったとしても、数字はそこまで増えることはないからである。

では、村林氏が「クラブチームの生命線」として上げたもの。それは「入場料収入」である。単に人を呼べばいいわけではない。入場料収入を考える上において重要なファクターがあるのだ。そしてそれを証明する一つのデータがある。Jリーグクラブにおける入場料収入のトップは浦和レッズで約12億と言われている。それに大してFC東京は約6億。つまり半分である。しかし、入場者数を比べてみると(一試合平均)浦和26296人に対してFC東京は22173人である。チケット一枚あたり平均は1600円〜2600円と両チーム値段はそれほど変わらない。

それでは、なぜこれほどに入場料収入が違うのであろうか?それは下数字が、それを証明している。

16000:4000

これは浦和とFC東京の「年間シートの販売数」である。そして、浦和の年間シート販売数においては、指定席の占める割合が大きいのである。一つ一つの単価が高い指定席が年間シートとして大量に売れている。これが、12億対6億という数字に表れているのだ。

今のJリーグのクラブ経営という面では、浦和の一人勝ちと言ってもよい状況である。そしてそれには「マーケティングの勝利」や「浦和のスタジアム規模が最適であった」ことなどの要因が挙げられるが、村林氏は「Jリーグ元年からFC東京があれば・・・」とおっしゃっていた。

2.クラブとしての理想(ビジョン)

FC東京の目指している理想。それは『Football in Community』である。イギリスでも同じ言葉が使われているが(その場合はコーチの地域巡回を意味することが多い)FC東京では「FC東京が東京と言う地域社会において行うべき活動である」としている。その理念に基づきFC東京ではボランティア活動において環境問題を改善していったり、家族で試合を観にきていただけるような年間シニアシートなどの販売を行っているのである。

村林 裕 プロフィール
東京フットボールクラブ常務取締役。
スタジアムは「がんばれ常務 村林裕」の横断幕が掲げられるほどサポーターの間では人気である。また、 「村林 裕の進め!TOKYO FOOTBALL」というホームページも開設している。
東京FC公式サイト http://www.fctokyo.co.jp/

(TEXT・PHOTO=小森誠之)

 

 


 
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