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早稲田スポーツ探訪

部活動、或いはサークル活動などで、早稲田の学生は様々なスポーツと日々親しんでいます。自分以外の人が、早稲田でどんなスポーツライフを送っているか、意外に知らない人が多いのではないでしょうか。体育各部の活動を中心に、早大生のスポーツ事情をコラム形式でお伝えします。

2004/6/11更新  第31回

漕艇部 全日本選手権観戦記

 
 
 

 

 こんにちは、今日六月六日は戸田漕艇所で行われた全日本選手権をみてきました。

あいにくの雨模様の中、戸田公園駅入り口で待っていると、一緒に見に来たウィルウィンの先輩の友達らしき女性、今日の試合に出る漕艇部の熊倉さん(人3)が迎えに来てくれ、漕艇所まで案内してくれた。漕艇所までの途中、熊倉さんは今日の環境についていくつか説明してくれた。漕艇選手にとってはあいにくの雨模様ではなく、むしろ雨が降ることにより、風が収まり漕ぎやすい環境になるようであった。戸田の町はまさにボートの町といった様相であり、すれちがう人々もそれそれがボート関係者であるようであった。日焼けした肌がそれを象徴していた。正直なところ何か独立した田舎の町(僕の実家)に近いかもという印象を受けたが、ボートにかかわる人にとっては最高の環境であるように思えた。このような環境下で育った多くの子供が一流選手の背中を見て、ボートに興味を持ち、トップ選手となっていくのだろうと思いをめぐらした。ともしていると、やがてまっすぐきれいに伸びた川?(何か作られたイメージではあったが)がみえてきた。川の水は思ったほどきれいではなく、雨のせいによるものか、薄黒くにごっていた。また川の両岸には各大学・実業団の漕艇部の宿舎、まるでペンションといったような小奇麗な建物がずらりと並んでいる。専用に設けられた観客席に向かい腰を下ろすと、何艇ものボートが目の前を通り過ぎていく。ボート観戦初体験の私は圧倒された。漕手、腕、足、オールとが一体となって水に抵抗なく過ぎ去る様子はまるでイルカが泳ぐかのように滑らかであった。

 一時ごろに軽い昼食をとったあと、女子舵手付きクォドルプル(漕手への指示を行うコックス(舵手)選手が同乗し、漕手4人が二本ずつのオールで漕ぐ種目)決勝が行われる予定であった。私たちはいい席を確保しようと川沿いの位置を陣取り、ゆっくりと遠くから見えてくるボートを眺めていた。レースの全長は二千メートルであり、私たち観客はゴール地点のわずか五百メートルほどを見ることになる。そこがレースの醍醐味だからだ。わずか五人の女性を乗せたボートは水の流れに逆らうことなく、こちら側に女性とは思えないほどの力強さでむかってくる。ゴールまで三百メートルほどの地点ですでに勝負はついていた。三〜四挺身の差をつけた早稲田女子選手たちのボートは他を寄せ付けることなく、まさに貫禄の勝利といった感じであった。また、次に行われた女子エイト(コックス選手が同乗し、漕手八人が一本ずつのオールで漕ぐ種目)においても同じく三〜四挺身の差をつけ優勝し堂々たる成績を収めた。優勝トロフィーを受け取る女性たちの笑顔が試合前の緊張感とは対照的に印象的であった。

 今回のボート観戦で圧巻だったのは男子のエイトであった。エイトのボートの全長はおよそ七、八メートルありその分バランスをとるのが難しい。ゆえにコックスの指示と漕手全員の呼吸が大事になってくる。エイトでは八人が同じ動きをすることによってバランスを保っているようであり、その点で唯一前方の見えるコックスの役割が重要になっている。コックスを中心に八人のオールを漕ぐ手の動きには寸分のくるいもなかった。それによってボートがまるで氷の上を滑っているような感覚であり、見ていてとても気持ちよかった。早稲田の男子エイトは順位決定戦で八位という結果に終わったが、力強いストロークをみせてくれた。

 すべての競技が終了し、ボートの楽しみと奥深さをしり、次はもっと勉強して見に来よう(ちょっと乗ってみたい・・)と思った。帰りの電車では口数も減り、無意識に興奮していたのであろうか、体は疲労しきっていた。家に着くとすぐに眠りについた。ボートはそれほどまでに観衆を競技に引き込む魅力あるスポーツであった。

 

関連サイト
漕艇部公式サイト
日本ボート協会公式サイト

 

(TEXT=村山裕太、PHOTO=近藤優美子)
 


 
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