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後半も立ち上がりから攻撃陣の勢いは衰えなかった。しかし決定機を決めきれず、時間が流れた。何かだらだらとした煮え切らない雰囲気が漂ってきた。そこで兵藤を中盤の真ん中に置いて自由に動かせる環境をつくった。兵藤が中盤を流動的に動き回る事で流れはでき始めた。サイドでのプレイでは何度もDFラインに吸収される場面が見られ、感覚として掴みきれてないようであった。その矢先、徳永が負傷退場。一時流れは悪くなるが、途中出場の島村毅(スポ1)が後半32分、待望の追加点をあげた。"早稲田の勝ちゲーム"誰しもがそう思ったかもしれない。しかしそこに落とし穴があった。交代による影響だろうか、突如として早稲田の守備面での均衡が崩れたのだ。DFラインでスペースを埋めるべき両サイドのMFがサイドに張ったまま守備への意識を怠り、また、中盤の足が止まり、チーム全体が縦に間延びする。そしてコンパクトにできないDFラインとボランチの関係性が崩れ、プレスに関する小さなズレがどんどん大きくなっていった。ボールの奪いどころがぼんやりとしている。そのエリアにボールが蹴りこまれる。セカンドボールを奪えない早稲田は試合の流れをあっさりと持っていかれ、立て続けに得点を決められてしまった。スタンドから見ていた私は拍子抜けするような思いを味わっていた。結局早稲田はこの状況を修正できなかった。
終了間際の十分間。悔いの残る時間帯であったかもしれない。修正のきかないチーム、それが早稲田の脆さなのかもしれない。サッカーは流れのスポーツ。実力差に関わらず何分間は相手方にリズムがいく。悪い流れの中、意識面の修正を加えることはできなかったのだろうか。試合後、慶應側の爽快感とは対照的に早稲田の選手はそれぞれに悲壮感、焦燥感を漂わせていた。慶應陣はまるで勝利の宴を満喫するかのようであり、彼らの表情は晴れ晴れしかった。そういえばスコアは2-2であったではないか。しかし、そのタイスコアという結果を素直に受け入れることはできない。復活をアピールする絶好の機会を逃す結果となってしまったのである。そう一番強く感じているのは観客、選手にもまして監督なのかもしれない。選手や監督が変わっても、そのチームのベースを流れるものはそう簡単にかわらないのだろうか。しかし、選手と監督の意識面での共有がなされたとき必ずこのチームは復活するに違いない。その思いを胸に私はもう一度あの空間に身をおきたいと感じた。
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