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一日の休息を経て、ここからは長い合宿生活へ突入する。まずは、春合宿。群馬県尾瀬岩鞍ホワイトワールドで行われ、メンバーとは久々の再会だけあって、この時サークルのよさを実感するのである。まぁすぐに大人数での生活に嫌気がさしてしまうのだが・・・。スキーのレベルに応じて班に分かれ、上級生によるレッスンを受ける。最終日に行われるのは恐怖の部内戦。学年関係なく、サークル全員が順位付けされる。上位の者は自信がつくが、下位の者は奈落の底に突き落とされる恐ろしいイベントである。この書き方からも御察しの通り、私が部内戦後、先輩と自殺を図ったのは言うまでもない。何とか生き延び春合宿も終了。これからはいよいよ大会が始まる。
まず行われるのは長野・白馬岩岳スキー場で行われる全国岩岳学生スキー大会。文字通り全国規模で行われる基礎スキー最大の学生大会である。我がベーシックは去年、男子総合8位、女子総合2位と実績を残しており、今年はさらに上を目指した。私にとっては初めての大会。予選当日、例年にない大雪となった。スタート前、やはり個人競技ゆえの宿命か、一人でその時をすごさなければならない。この緊張は、普通の大学生活ではなかなか味わえるものではないだろう。しかし、私は何とか平常心を保つことを心掛け、悟りをひらけるぐらいリラックスした状態で滑ることができた。本当にリラックスして滑ることができた。リラックスしすぎた。力を抜いて滑ったためあまりに無難に終えてしまった。案の定、結果はついてこなかった。スポーツにおいて、ほどよい緊張を保つべきなのは基本である。しかし、私はそれを忘れてしまっていた。私の初めての大会はそんな教訓を残し、早々と終了した。
翌日からは、予選通過者をその他全員でサポートすることになる。ある者は選手のケアをし、ある者はスキー板の調整を行う。私も気持ちを切り替え、雪の状況や採点傾向などの情報収集に徹した。個人競技ではあるものの、チームとしてこの大会を戦っていく。それが感じ取れた。その結果、女子は新人戦で上位10人に4人が入るなど驚異的な成績をおさめ、何と総合優勝を達成。男子も総合12位とまずまずの成績を残し、いい勢いを持って大会を終えた。そして閉会式後、尾瀬へと戻る。
いよいよクライマックス。年度最後にして最大の目標でもあるオールワセダ基礎スキー大会である。ベーシックは去年の大会まで5連覇中で、女子も優勝こそないが安定して上位に位置しており、今年は例年になく優勝への期待が高まっていた。大会は5日間にわたって、様々な種目で個人戦が行われ、結果の合計点で争われる。個人戦出場者は各サークル12人とされ、私は残念ながら出場することができなかった。大会は、序盤から例年優勝を争っていたツェルマットスキークラブに大きく点差をつけられ、我慢の展開が続いた。それでも、出場メンバーは渾身の滑りを見せ、何とかくらいつき、最終日に望みをつないだ。最終日に行われるのは、複数人がフォーメーションを組み、先頭の動きに合わせて色々な滑り方を織り交ぜて滑るチームデモンストレーション滑走、通称“チーデモ”である。ベーシックはこれに特に力を入れており、10月から練習に取り組んでいた。この競技にかける想いは、他サークルより強く、逆転へ一縷の思いを抱きながら、私は戦況を見つめていた。
悪天候の中、まず始めに行われたのは女子緩斜面チーデモ。A、Bと各サークル2チームずつ出場するのだが、何と1位、2位を独占。勢いそのままに、続くは男子緩斜面チーデモ。ここでもBチームが高得点をたたき出し、4位に入ると、Aチームが最高の出来を見せ、見事1位を勝ち取った。全てのチームが滑り終えるたびに、涙あり笑顔あり、選手・サポート入り混じって歓喜の輪が生まれた。
最高の雰囲気の中、いよいよ最終種目急斜面チーデモへ。期待されたAチームは3位に甘んじ、そしてBチームのスコアが出た瞬間、ベーシックの優勝が消えた。3年生は悔しさに顔をゆがませながらも、私たちに激励の言葉をかけてくれた。この1年間本当にお世話になり、それだけに是が非でも勝ってほしかった。私は、その横で優勝し歓喜に沸くツェルマットの姿を目に焼き付け、来期への雪辱を誓った。女子も3位に終わり、8年ぶりに、男女ともに優勝を逃した。恒例のビールかけを行うことが出来ず、ビール瓶を持って閉会式に出ることに。この悔しさをしっかりと噛み締め、来シーズン再び優勝を目指します。
その後は、新潟県苗場へ移動。ここでは、シーズンで初めて楽しんでスキーをできる・・はずだったのですが、例年にない吹雪。悪天候のため、丁度行われていた全日本スキー技術選手権大会で、トップ選手の滑りを間近で観戦し、唖然とするとともに、上達への意欲を燃やしました。ここでは幹部交代式が行われ、現幹部そして新幹部がエールを交わし、その瞬間から代が移行し、長かった1年が終わりを迎えます。翌日に約1ヶ月ぶりの帰京。長期間雪山にこもり、季節感のない真っ黒な肌、そして人の多さに恐怖を感じる始末。私はこの大都会・東京での生活に未だ適応できていません。幹部としての初仕事である新歓までには戻っているのでしょうか。そんな不安を抱えながら、筆を置く事にします。
このようなほぼ雑談に近い文章に、スペースを与えてくれたウィルウィンの同僚に深く感謝するとともに、読者の方々にも今後サークルの活動紹介文掲載を希望される際、この程度でいいんだと勇気を与えられたかと思います。ウィルウィンでは今年サークル活動における早稲田スポーツにも力を入れていきたいと考えています。活動紹介の取材要請もしくは紹介文掲載等の希望がありましたら、どしどし応募ください。
関連サイト
ベーシックスキークラブ
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