6月に行われた日本選手権では、日本歴代4位の記録となる10秒07を叩き出し初優勝。見事日本代表の座を掴み、8月に行われた世界選手権出場を果たした。念願の世界の舞台に立ち、江里口選手が感じたこととは?そしてその経験は彼にどのような変化を与えたのだろうか。
“RealVoice2009”第2回となる今回は、先日の日本インカレ、そしてベルリン世界選手権についての話を中心に、江里口選手が体感した「世界」について語って頂いた。
江里口匡史選手プロフィール 熊本・鹿本高校出身 スポーツ科学部3年 自己記録:100m 10秒07
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――まず、先日の全日本インカレを振り返って頂けますか。 全カレは、準備期間は短かった試合だったんですけど、秋シーズン最初の試合だったのであまり練習自体を落として試合に臨むというよりは、練習をある程度積みながら迎えた試合でした。その中でああいう風な走りで、ラウンドを踏みながら記録を上げて、決勝ではセカンドベストも出たので良い結果だったんじゃないかなと思います。
――決勝でマークした10秒13というタイムの価値は? タイムは一度出しただけじゃ価値というものは出てこないと思うので、そういった意味では、(自己ベストを出した時とは)違う競技場ですし、日も経ってからの記録なので評価できる記録なんじゃないかなと思います。
――日本選手権の時などと比べて、走りの感触はいかがでしたか? 日本選手権の時は、スタートから飛び出して加速の乗りもすごく良くて、あとはそのまま走っていくだけっていうイメージの走りだったんですけど、今回はあまりスタートは飛び出すという感じではなく、とりあえずスタートしてその後加速に乗っていくところで一歩一歩強く加速していきながら、最後もまだ加速しているような、全然足が回らなくなるような感覚がない走りでした。日本選手権の時はどちらかというと「前半から行く」走りで、今回の全カレでは中盤、後半で伸びていくような走りだったので「後半型」のような、そういった違った印象を自分でも受けましたね。元々、前半はよく飛び出せるほうのタイプだったので、それが今回は後半にも自信が持てるようなレースで勝つことが出来たっていうことが僕の中で嬉しかったです。
――世界陸上後ということで注目を集めた中での大会でしたが、昨年までと比べて心境の違いはありましたか? 確かに去年は、全カレ自体を秋のシーズンの一番の試合という風に位置づけて、そこに合わせていた部分もあったんですけど、今年は世界陸上もあってそこに出場したということで、そこに向けてやっていた自分がいました。なので、世界陸上を経験した分、少し自分の中でインカレというものをゆとりをもって捉えられるようになっていたので、「精神的なゆとり」が走りにも出たんじゃないかなと思います。
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先日の全日本インカレの表彰式の様子。 |
――連覇を果たした4×100mリレーについては? 自分は決勝だけ出させてもらったんですけど、走り自体は「まあ疲れが出ちゃったかな」って感じでした。それでもやはり勝つことが一番重要だったと思うので、まあ良かったと思います。(決勝のオーダーは)4年生は(木村、スポ4)慎太郎さんだけで、若いと言えば若いチームなので、来年に向けてもチーム内で士気が高まるようなレースだったと思います。
――久保田裕是(スポ2)選手の台頭を始め、チームとして収穫のある大会だったのでは? やはり一番走ってもらわなきゃいけない存在だったのがやっぱり久保田だったので、そういった意味でも久保田がアンカーを走って優勝を勝ち取ったということは大きいことだと思います。それ以外にも僕の同級生の小原(真悟、スポ3)も予選を走りましたし、栗崎(康介、スポ3)も調子が良い時はすごくみんなに刺激を与えるような走りをしているんで、やはりメンバーもまだ固定でもないですし、メンバー争いっていう意味でもお互い向上心を出し合いながら練習出来ていると思うので、走っていない選手に対しても刺激になるレースだったんじゃないかなと思います。
――次の目標は、日本選手権リレー(10月23日〜25日)ですね。 そうですね。今回出た選手も出なかった選手も今感じているものを日本選手権リレーに繋げなければ、学生記録(38秒57)というものも見えてこないと思います。あと1ヶ月位時間はあるので、まずは個人の走りを高めていかなければ記録はついてこないと思うんですけど、チームとして良い方向には向かっていると思います。
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