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早稲田スポーツ探訪

部活動、或いはサークル活動などで、早稲田の学生は様々なスポーツと日々親しんでいます。自分以外の人が、早稲田でどんなスポーツライフを送っているか、意外に知らない人が多いのではないでしょうか。体育各部の活動を中心に、早大生のスポーツ事情をコラム形式でお伝えします。

2010/5/22更新  第75回

「早慶アメフト観戦記」

指導02試合前の円陣風景。 選手たちの気合が感じられる。

 ゴールデンウィーク初日となった人も多いであろう4月29日。雲ひとつない晴天ではあったものの、会場の駒沢競技場には強い風が吹いていた。そんな強風の中アップする選手たちを眺めながら、私は観客席にいた。米式蹴球部の早慶戦を観るためである。

 早慶アメフト対校戦は、今回で58回目を迎えた伝統的な試合である。更に今年は早大アメフト部史上初の5連覇をかけた大事な一戦。それだけに、スタンドは多くの観客で埋め尽くされていた。実は、私がアメフトの試合を観に来たのは今回が初めてで、私はルールも何も知らぬまま試合に臨んでいた。そんな私をよそに、周りには選手の保護者らしきお母さん方や、アメフトを熟知しているファンの方などが居り、試合前から相当アウェーな雰囲気である。そんな状況下ドキドキしながら待っていると、遂に選手たちが入場してきた。いかにもアメフトといった曲と共に、勢いよくグラウンドに駆けてきた選手たちを見て、私は思わずかっこいいー!と心の中で叫んでしまった。そう感じたのは私だけではなかったのだろう、同時に客席も盛り上がる。意気込む選手たちと沸き立つ観客に囲まれた私は、試合前のこの空気を味わえただけで早くも興奮してしまった。

指導02キックオフ!一斉に駆け出す選手たち

 そして、試合開始。アメフト初心者の私は、どちらのチームが攻撃しているのかもわからず、少々混乱していた。そんな私を助けてくれたのが、私と同じように米式蹴球部ビッグベアーズを応援しに来た観客の方たちである。慶應に先制された後早稲田の攻撃が始まると、観客は思い思いに声を上げる。「○○いけー!」と個人名を出して応援する人もいれば、「よしよし!」などと漠然と声を出す人もいて種類は様々であったが、それらの声援によって、私は早稲田の攻撃が成功したことを知ることができたのだ。選手たちだけでなく私までもが観客の声援に助けられてしまったのである。

指導02両チームによる激しい攻防

 おぼろげながらも徐々にルールを理解し、周りのお客さんたちと盛り上がりを共有できるようになってきた私が最も興奮したのは、なんといっても第4クオーター最後の1分だ。それまでリードを奪っていた早稲田だが、試合終了間際遂に逆転を許してしまった。しかもそこから逆転するには、タッチダウンしかないという状況である。その時点では、観客の大半がもうだめかなと思ってしまったのではないだろうか。しかし、選手たちは違った。残された約1分という時間の中での、執念のランプレー。そんな気迫あふれる選手たちのプレーを見た私の心境は大きく変わっていた。彼らならタッチダウンできるのではないかと。結果的には、ロングパスは無念にも通らず24ー28で負けてしまったのだが、選手たちの諦めないプレーに心を動かされた人は私以外にも少なくなかったはずである。

 日本においてアメフトは、野球やサッカー程広まっているスポーツではないが故に、一度も見たことがないという人も多いかもしれない。しかし、全てのプレーが迫力満点で、これほど見ごたえのあるスポーツを見逃してしまうのは勿体ない。みなさんも一度見てみれば、今回の私のようにアメフトというスポーツに魅了されてしまうこと請け合いだ。アメフトについて全く知らないという方も、ぜひ秋に行われるリーグ戦などに足を運んで、肌で試合を感じて頂きたい。

(TEXT=染谷知里、PHOTO=鈴木雄介)
 


 
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