WasedaWillWin.com
 


早稲田スポーツ探訪

部活動、或いはサークル活動などで、早稲田の学生は様々なスポーツと日々親しんでいます。自分以外の人が、早稲田でどんなスポーツライフを送っているか、意外に知らない人が多いのではないでしょうか。体育各部の活動を中心に、早大生のスポーツ事情をコラム形式でお伝えします。

2012/09/24更新  第83回

関東大学女子リーグ戦探訪 
「早慶戦で見えた、早稲田とバルセロナの共通点とは……」

 

 圧倒的な試合内容であった。2ー0という結果以上に、伝統の早慶戦での、サッカーという競技において、その力の差は歴然であると証明する内容だった。そして、特筆すべきは、臙脂色のシャツを身に纏った女戦士達の戦う様が、あの世界を代表するクラブチームであるバルセロナと共通する要素を持っていたように思えたことだ。

 バルセロナのファンには、不快に思う方もいるであろう。今や世界最強を謳歌する、自分の愛するクラブを、プロですらない大学サッカーの1チームと比べられたら、いい気はしないかもしれない。勿論、個々の能力は大学サッカーの標準と大差はない。まだまだ荒削りな部分がとても多く、観ていてヤキモキすることもある。当然、世界中を魅了して止まないポゼッションフットボールなどとは、程遠い。

 では、どこが似ているというのか。それは、いくつかの戦術面の要素においてである。そして、その戦術を実行するための、規律を守る力、これがとても洗練されていたように思う。

 取り上げたいのは、2点。まず、1つは、ボールロストをした後のリアクションの早さだ。ボールを取られたら、怒涛の勢いで、複数人でプレッシングをかけ、敵にボールを大きく蹴らせてしまうか、奪うかをしてしまう。当然、体力を大きく使うこの戦術を、慶應戦での彼女達は、試合の大半を通して、続けることができていた。かのバルセロナは、華麗なボールポゼッションが1番の武器であると思われがちだが、正確には違う。彼らは取られてから、取り返しにいくというフローが、とても早い。それが、あの支配率の高さを支えているのだ。この点で、彼らは共通していると言えるだろう。しかし、異なるのは、バルセロナはボールを保持する時間が長いために、スイッチのオンとオフを切り替えることができる。つまり、休む時間を作れる。それによって、90分を通して、豊富な運動量が求められるこの戦術を実行することができるのだ。

 


 2つ目は、攻撃時の、サイドのプレーヤーのポジショニングだ。例えば、自チームのボランチの選手がフィールド右寄りでボールを奪い、カウンターになったシーン。右サイドのウイング、スピードのある選手が、タッチライン際に張り付いている。それによって、相手の左サイドバックは、その選手をマークするためにサイドに残らざるをえない。そうすると、相手の左サイドバックと左のセンターバックの間にギャップが生じ、やがてはディフェンスライン全体が横に間延びする。そこにフォワードやトップ下、左ウイングの選手がランニングを行い、数的同数か、場合によっては数的有利な状況を作ることができるのだ。バルセロナはこれを伝統的に実践している。

 

 また、この試合、4−4−2の中盤はダイアモンド型だったが、トップ下を務めた10番の大宮選手は、少ないタッチ数を意識していて、前線でチャンスを演出していた。タッチ数を減らすには、ボールを受ける前に周りの状況を把握し、適切な選択をする必要がある。つまり、高度な戦術眼と的確な状況判断力が備わっている証拠だ。この先が楽しみな選手だと感じた。

 

 

関東大学女子リーグ戦
早大 2 0−0 0 慶大
2−0
得点者(早大)54、谷本 90、山本

早稲田メンバー表

GK 1 鈴木望
DF 2 石田みなみ
4 千葉梢恵
28 大島瑞稀
32 堀口佳織
MF 6 渡井汐莉
→45分 松川智
C7 谷本晴奈
10 大宮玲央奈
→87分 吉武百香
27 正野可菜子
→67分 山本摩也
FW 9 瀬口七海
→61分 一原梓
11 八木彩香

 

 

 

(TEXT=室谷直希)
 


 
WasedaWillWin.com HOMEへもどる