野球部の春秋連覇、米式蹴球部の甲子園ボウル出場など大学スポーツ界において早稲田イヤーとなった2002年度。そして2003年1月2日、ついに今年の箱根駅伝の号砲が空高らかに鳴り響いた。スタート時の気象は快晴、気温1.9度、北西の風1.7メートル、湿度81%。正月の風物詩に相応しく澄み切った冬空の下でのスタートとなった。
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大手町。2日に渡る駅伝のスタート
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1区は各チームが互いに牽制しあい、団子状のスローペース。集団を引っ張り、抜け出すと思われた有力選手でさえ揃って様子見に入ったのか抜け出す選手が全くといっていいほどみられず10キロ地点でも大集団、昨年よりも30秒遅れでの通過となった。レースが動いたのは終盤に差し掛かったころ、国士舘大の坂斎のスパートを機に、駒澤大の内田、山梨学院大の橋ノ口が飛び出し、両者の一騎打ちとなった。最終的に区間トップを手にしたのは駒大内田、橋ノ口を振り切ってたすきを2区につないだ。早稲田大学の篠浦は10キロ、15キロ辺りまでは集団の比較的前方に位置し、力走を続けていたが18km付近で先頭集団が縦長になると、徐々に後退し、1時間5分16秒。区間16位と大きく出遅れてのたすきリレーとなった。
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2区森村。苦しい走りだったが順位は上げた
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毎年各大学のエースが勢揃いし死闘を繰り広げる2区。2区では3位でスタートした山梨学院大学モカンバが、早々に前をいく神奈川大原田を抜き去る。その後駒澤大松下と並走状態だったが6,7キロ付近で日大清水、中大藤原が追いつき4人で先頭集団を構成しレースが展開した。華の2区と呼ばれる所以である最長距離、そして2ヶ所の厳しい上り坂を制したのは中央大藤原。追撃をかわし単独でたすきリレー、区間賞をも獲得。そんな中、順天堂大の中川はこれまでのごぼう抜き記録だった服部誠(東京農大、50回大会2区)の12人を上回る、15人抜きの新記録を達成し、4位でたすきをつなぎ、華の二区ランナーに相応しい精神、肉体の強さをアピールした。早稲田期待のエース森村は調子があがらず横浜駅付近では17位に、その後徐々にペースをつかみ、前を行く選手を一人一人かわしていくものの戸塚中継所で9位でたすき渡し、1時間9分36秒の区間9位だった。
3区はトップでたすきを受け取った中大池上が途中まで区間新記録ペースの力走をみせ、途中失速するもののそのままの順位で4区につないだ。2位は駒澤大学が28秒差、3位は山梨学院大学が期待のカリウキにつなぎ、終盤の浜沿いの風にもめげず各校しのぎを削りあった。早稲田2年生3羽カラスの一人杉山は茅ヶ崎付近で関東学院らに抜かれ13位とふるわず、苦しそうな表情での走りとなった。最終的に1時間6分21秒、区間18位と13位で戸塚中継所でたすき渡し。トップと5分差で4区大浦に望みをつなぐ。
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沿道では多くの観衆が選手を応援している
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4区は細かなアップダウンが続き見た目以上にタフなコース。5区に控える山登りに備え、少しでもいいポジションでたすきを繋ぎたいのはどの大学も同じ気持ちだろう。結果は予想通り山梨学院大学カリウキが快走を見せ、一気に先頭におどりでる。また日大藤井が好走を見せ、順大、駒大、中大をかわし2位まで浮上した。早稲田大浦は好調との情報があったが苦悶の走りで低迷、1時間5分17秒で区間16位。
小田原中継所を16位でたすき渡しする。 山登りのスペシャリスト五十嵐に一類の光を見出し早稲田の必死の追随が続く。
そして往路最終の5区。通称「山登り」と呼ばれ、標高差834mを一気に駆け上る難コース。選手によって向き不向きが非常に顕れやすく、曲線の道でのコース取りなど経験も必要なだけに、箱根駅伝の看板区間であり、数多くのスペシャリストを生み出してきた。山梨学院大学の1年生森本が逃げる展開。駒大の2年生田中、3位には日大が入り、山の勝負強さには定評がある大東大は、2年生の馬場が3人抜きで4位まで順位を上げた。10位で5区にタスキをつないだ東海大は、1年生の中井が1時間11分29秒の区間新をたたき出し、5位まで順位を上げる健闘を見せ、各大学下級生の頑張りが目立った。最終的に、山梨学院大森本がリードを守りきり、往路優勝を手にした。8年ぶりの総合優勝に向けて、5時間31分6秒の往路新記録での悲願の往路優勝となった。
早稲田大学の5区は五十嵐。1年の時から山登りを経験し昨年の大会でも期待されたものの高熱による体調不良に苦しみ、今大会でのリベンジに期待されていた。16位でたすきを受けとるという苦しい展開にも慌てることなく期待通りの好走で区間3位の快走を見せなんと6人抜き、往路を10位で終えた。早稲田の往路走破タイムは5時間38分50秒。トップとは7分44秒差で明日シード権をかけて戦う。
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