愛知県名古屋市の熱田神宮から三重県伊勢市までの8区間、106.8キロで行われる全日本大学駅伝が11月2日に行われた。今期10月に行われた出雲駅伝には、昨期の箱根駅伝でのシード落ちによって出場権は得られず、不参加、今期初めての駅伝出場となった。また2週間前の箱根駅伝予選会ではまさかの7位、本選出場は得られたものの力が出し切れず不満の多い結果となった。それだけに今回の全日本大学駅伝では、良い順位をキープし、このチームでも戦えるという自信をつけたいところ。しかし、待っていたのは三大駅伝初の途中棄権という悪夢のようなものだった。
1区の空山隆児(人3)は11位と出遅れはしたものの前の見える形で2区の篠浦辰徳(人3)にタスキ渡し。ここで篠浦は予選会での個人88位という無念を払拭するような走りを見せ、各校のエースが集う2区で区間4位を記録する速さで6人を抜き去る。3区、全8区間中最も距離が短い9.5キロを、期待の一年生藤森憲秀(スポ1)が関東インカレ1500メートル4位の実力を見せつけ、順位をひとつ上げて総合4位で準エース区間の4区原英嗣(人2)へとタスキを託した。予選会でもチーム内4位、全体練習では自分よりも力が上の上級生に果敢について行き、自ら先頭を引っ張ることもあった原は、持ちタイムでは力が上の大東大の村田、東洋大の渡辺らと猛然と先頭を追い始めた。しかし気温20度というランナーにとっては劣悪なレース環境が、原を襲い始めていた。5〜6キロ辺りから大きく遅れ始めた原は脱水症状を起こし、とうとう11キロ付近でその場に倒れてしまった。早大は三大駅伝史上初めての途中棄権という悪夢を見ることになってしまった。
5区で原を待っていた主将の五十嵐毅(人4)は、その連絡を受けたあと白タスキをかけた。五十嵐は区間7位、6区の河津直行(一文4)は12位、7区の高岡弘(人2)は11位、8区の杉山一介(人3)は6位の速さで駆け抜けるが、それも参考記録となってしまった。
昨期の箱根駅伝の惨敗以来、チームとしては思うような成績残せずにいた。箱根までにチームとしての成績を残す最後のチャンスであった今大会であったが、途中棄権という結果は手負いの早稲田に大きくのしかかる。このままでは二年連続シード落ちというタイトルさえ獲得してしまう勢いを持つ今期、選手個人が精神的肉体的な管理・強化をしっかりと行い、来るべき日に力を発揮できる能力が強く求められる。
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