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インカレの模様。左から3人目が空山。
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今季の早稲田を一言表すとすれば「長い暗いトンネル」という言葉に尽きるのではないだろうか。昨季の箱根駅伝では総合15位シード落ちという結果に終わり、五十嵐毅(人4)が主将になった今季も、その呪縛からなかなか抜け出られないでいる。新チームになってから春のロードレースでは、杉山一介(人3)が青梅マラソン(30キロ)で実業団の選手に続き総合2位、学生では1位という好成績を残したものの、ユニバーシアード大会の選考レースにもなり強豪校が多数出場した立川ハーフでは誰ひとり突出した成績を残せず、全体としては今ひとつで終わった。
だが5月に行われた関東インカレでは、昨期以来怪我で苦しんできた空山隆児(人3)が1万メートルで自己初の28分台に突入、待望の新人である藤森憲秀(スポ1)も1500メートルを堂々の4位入賞を果たした。また、3000メートル障害では篠浦辰徳(人3)が関東インカレ、7月の全日本インカレを優勝、見事両インカレ連覇を成し遂げた。このようなチームの主軸となるべき選手の活躍により、チームは上昇気流に乗ったかのように見えた。しかし、早稲田はまたもや長く暗いトンネルに迷い込んでしまう。10月に行われた箱根駅伝予選会では、試合の場となった箱根町のアップダウンの多い山道に苦しみ、予選通過できたもののまさかの総合7位に終わった。そして更なる悲劇が早稲田を襲う。その予選会のリベンジを図ろうとした11月の全日本大学駅伝では、準エース区間に抜擢された原英嗣(人2)が気温20度というロードレースとしては劣悪な環境に堪えきれずに脱水症状を起こし、早稲田は三大駅伝初の途中棄権という辛酸をなめた。
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予選会の模様。ゼッケン58番は大浦。
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しかしこのような状態にも関わらず、現在の早稲田には一筋の光明が射している。予選会、全日本大学駅伝など夏以降、下級生や一般入試で入学した選手の力が安定し、チーム全体の力が底上げされてきているのだ。また、柱となるべき選手も本来の力を取り戻しつつある。全日本大学駅伝後に行われた府中ハーフマラソンでは、篠浦が自己最高記録で4位入賞したのをはじめ多くの選手が30位以内に登場、積極的な走りを見せ、チームの力が上向きであることをアピールし、11月29日に行われた日体大記録会でも、チームの柱となるべき五十嵐と空山、今年めざましく成長した4年の河津直行(一文4)らが10000メートルの自己記録を更新するなど良いニュースが多い。また現段階で故障者が全くいないというのも、怪我が続出しそれがシード落ちへとつながった昨季と比べて望みが持てる。今季は例年に比べて選手層が薄く、苦戦が強いられると予測される早稲田ではあるが、主将の五十嵐、10000メートル28分台の実力を持つ空山、3000メートル障害の学生チャンピオンである篠浦、昨年まで悩まされ続けてきた怪我から開放された以降めざましい活躍を見せる杉山ら実力派の主力選手が、実力に見合った走りをしてチームに勢いをつけ、それに続く選手に安定感をもたらすことが、最低限の目標であるシード権奪取の鍵になるだろう。
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