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[米式蹴球部特集] 挑戦者たち〜THE GREAT CHALLENGE〜

リレー人物紹介其の八:#51 DL栗木健伍


 いよいよ始まった関東大学リーグ戦。選手それぞれ、熱い思いを持ってシーズンインしているだろう。そして、今年卒業する4年生にとっては最後のシーズンということもあり、その意気込みや並々ならぬものであろう。今回紹介する栗木選手も最後のシーズンを迎える一人である。大学から始めたアメフト、ここまでの過程やラストシーズンにかける意気込みを聞いてみた。

 

栗木健伍選手。

――まず、アメフトを始めたきっかけをお聞きしたいのですが。
ぼく、ずっと中高とバスケをやってたんですけど、バスケってちょっと相手に触っただけで反則が取られるんですよね。結構、退場王だったんですよ(笑)。あんなんでファールはないよなぁって思ってて、それでコンタクトスポーツに憧れがあったんですよね。で、アメフトかラグビーをやりたいと思ってたんですけど、そのときにアメフトの先輩に熱心に誘われて、それで入部を決めましたね。

――アメフトは大学から始められたのですか。
 はい。最初のころはどういう感じでゲームが進んでいくかとか全然分からなくて、点数を見て「ああ、勝ったんだな」って分かるくらいのレベルでしたね。

――経験が無い状況からアメフトを始めてみて、最初のころはどうでした? 楽しかったですか?
 最初のころはオフェンスラインというポジションをしていて、球技なのにボールを触ったら反則というポジションなんですよね。球技の要素が無いし、最初のころはダミーというサンドバックにタックルをする練習を1年間ひたすらやっていて、「あー、面白くないからやめてやろう」って思ってましたね。でも逆に、それしかやってなかったんで「一回は試合に出てやろう」とも思ってました。

――それで、最初に試合に出たときはどんな感じだったのですか?
 試合に出ても何も出来なかったんですよね。それが悔しくて。何とかやってやりたいと思いましたね。それからはやめたいとも思わなくなりましたね。

――そうなんですか。最初はOLだったそうですが、どういういきさつでDLになられたのですか?
 コーチから「お前、来月からDLね」と言われて「はい、やります」と。でも、DLには華があるんですよ。サックをするとそれが記録に残るんですよね。そういうのでOLよりは目立てるかな、って思ってたのと、その年のスーパーボウルを観てて「DLかっこいいな」って思ってたときにコーチから言われたので、「おお、そう来たか」と思って、すんなり転向しましたね。


 

チームのディフェンスの核である。

――転向が良いきっかけになったのですね。
 そうですね。結果的に、ですけど、その年からスタメンで試合に出られるようになりましたし。そういう意味では、良いきっかけにはなりましたね。

――栗木選手が今までで一番印象に残っている試合はなんですか?
 ふたつありまして、一つはおととしのクラッシュボウルの法政戦ですね。その試合にはチームの事情でタイトエンドで出ることになってしまって、それで必死にアサインメントを覚えて、試合に出たんですよね。それで勝ったんですけど、勝てて嬉しい気持ちでか、ミスしなくてよかったという安堵の気持ちでか、試合後に初めて泣いたんですよね。あの劇的な勝利の時にフィールドの中にいた、ということが印象に残ってます。

――もう一つはいつの試合でしょうか?
 去年のヨコハマボウルで、立命館にボコボコにやられた試合です。その時はDLで試合に出たんですけど、相手が何をやってもびくともしなくて、何も出来なかったんですよ。その時の力の差というものを、点数の面でもまざまざと見せ付けられて。まだまだ頑張らないといけないなぁ、と一番痛感した試合でしたね。

――何も出来なかったという経験は、栗木選手の意識にどんな変化がありましたか?
 そうですね…。その時ぼくは100kgもなかったたし、テクニックも全然通用しなかったので、今のままではとても日本一にはなれないなとは思いましたね。


 

 

――ところで、ファンの方の一言の欄に『今年のBig Bearsはディフェンスに注目してください』とありますが、これは自分に注目してくれというでもありますか?
 それもありますね。今までビッグベアーズには波木さんというすごい選手がいて、ずーっとオフェンスばかり注目されてたんですよ。それがあったんで、今年はディフェンスが一丸となって戦っている姿に注目して欲しいですね。

――守りでも魅せますよ、ってことですか?
 いや、守って勝つんですよ。オフェンスがFGで3点しか取れなくても、オフェンスの人間に「きょうはディフェンス様様です」と言われるような試合をしたいんですよ。

――そういう試合、今シーズン是非観せてください。最後に、このシーズンに賭ける意気込みを聞かせてください。
 日本一というというのを是が非でも取りたいですし、それもディフェンスで取りたいですね。周りの人間から「今年のビッグベアーズはディフェンスが良かったから勝てた」と言われるようなプレーをしたいです。その中心に自分がいたいですね。

 「どれだけ長くやりたいと思っても、1月3日で自分のシーズンは終わりなんです。だから、お互い悔いの無いようにやっていきたいんですよね」 インタビュー中、アンケートの「保田選手へ一言!」という項目に触れたとき、栗木選手はこのように語っていた。この言葉が今でも印象に残っている。どれだけ長くシーズンが続いてもあと3ヶ月余り。とても短くて、とても濃密な3ヶ月。その中で、精一杯戦っている栗木選手の姿を追っていきたいと感じた取材であった。

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(TEXT=田村拓実、PHOTO=近藤優美子、田村拓実)
 


 
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