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[米式蹴球部特集] 挑戦者たち〜THE GREAT CHALLENGE〜

リレー人物紹介其の九:#55 OL保田明彦


 アメフトはオフェンスとディフェンスが完全に分かれたスポーツだ。自分のチームが攻撃権のある時はオフェンスの11人の選手がより多くのタッチダウンを求めて、楕円型のボールを携え相手チームのディフェンスに切り込んでゆく。そんな早稲田のオフェンスをまとめ上げるのが、今回紹介する保田明彦選手だ。

 

保田明彦選手。

――キャプテンの村井選手とは、高校のアメフト部時代からのチームメイトとのことですが?
 はい、村井とは中高6年間一緒なんです。でもあいつに人生を狂わされましたね(笑)。

――狂わされたのですか。
 アメフトを始めたのは、村井に誘われたからなんですよ。中学の時は僕は野球部で、あいつはバレー部だったのですけれど、当時から村井はめちゃめちゃ大きくて、目立ってましたね。それで僕は高校では部活自体をやる気があまりなくて、勉強したり遊ぼうかなと思っていたのですが、中三の終わり頃に大して仲も良くなかったのにいきなり村井が教室に来て、「アメフト部行くぞ」って連れて行かれたんです(笑)。でもその時に練習を見たらすごく面白くて! それで部に入るのを決めましたね。

――高校時代からポジションはOL(オフェンスライン)ということですが、なぜOLを選ばれたのですか?
 僕は運動神経も良くない方なので、運動神経があまりよくなくても体が大きくて自分の頭次第でどうにでもなるポジション、そういう意味でOLは魅力的ですね。


 

ミスの許されないポジション、それがOLだ。

――OLならではの大変なところはありますか?
 11人オフェンスがいる中で一番人数が多いポジションなので、自分たちの良し悪しでオフェンスが決まるといっても過言でないですから、そういう意味では。あと99回相手をブロックしても、1回でもQBサックをされたら駄目なポジションなので、完璧を求められるプレッシャーというのはあります。

――話は変わりますが、印象に残ったことにKGボウル(関西学院戦)を挙げていらっしゃいますが?
 二年生の春に、初めてスタメンで出場したのが前シーズンに優勝した関西学院とのKGボウルだったのですが、本当に何もできなくてさせてもらえなくて、部活をやめようとその時一度だけ思ったのですよ。

――辞めようとまで思ったのですか。
 あまりにも自分との間にレベルの差があって、この部に自分がいること自体が迷惑なのではないかと思ってしまって。親に辞めるって連絡したら、なぜか村井に伝わっていてそこから波木さんにまで流れたみたいなのですよ。でも冷たくあしらわれて、「辞めたいなら、辞めれば」と言われて、少しは引き止められるかと思っていたのですが(笑)。それでもちょっと悔しいなと思い始めて、負けたくないと思って今に至ります(笑)。本当に波木さんに認められたいというのはどこかにあって、それがモチベーションにもなっていました。


 

 

――オフェンス陣の中心のオフェンスリーダーを務めていらっしゃるということですが、 なぜリーダーになろうと思われたのですか?
 高校の頃からプレーを考えるのが好きだったので、対戦相手に合わせた戦術を事前に考えるオフェンスリーダーには興味があったのです。でも三年の時あまり試合に出ていなかったのでそういう意味で躊躇していた部分があったのですが、同期のやつらがそんなの全く気にする必要はない、みんなで協力してやっていこうって言ってくれたので今はやれている感じですね。コーチや波木さんに助けられたり、下級生も自分の思っていることを言ってくれるのでみんなのおかげです。

――助け合いながらということですね?
 そうですね、それに僕ひとりが上に立ってやるのではなくて、一年から四年までみんな同じ目線でコミュニケーションを取りやすい、やりやすい環境でやりたいっていうのがずっとあったのですよ。ひとりひとりにきちんと考えて欲しいというのもありますし。

――オフェンスリーダーとしての目標はありますか?
 夏合宿の前まで全体を見すぎていて自分自身の成長というのに目を伏せていたところがあるので、今後は一選手として更に向上することですね。もちろんリーダーとしてみんなをまとめて厳しく言うのはもちろんなのですが、一選手として成長していくというのを忘れていたと思うので、一選手としてさらに成長し続けられるように努力していくことを忘れないようにしたいです。

 「今までのオフェンスリーダーと比べると何もやっていない、みんなが助けてくれる」、保田選手は常にこの言葉をかみしめていた。しかしひとりひとりの意見をまとめて実行に移すのは、かなりの努力と忍耐が必要なことだろう。それに敢えて挑戦する保田選手の話を聞いて、思わずアメフト以外の世界でも同じようなことに挑戦する人たちの姿を重ね合わせ、思いを巡らせてしまった。

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(TEXT=近藤優美子、PHOTO=田村拓実)
 


 
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