ひとくちにリーダーといっても人の数だけ個人のリーダー像は異なる。攻守の片翼、オフェンスリーダーの保田選手がチームみんなで考えようとするリーダーなら、今回紹介するディフェンスリーダーの柳生永選手は正反対の性格、資質を持つ選手だ。
――まず、アメフトを始めたきっかけを教えて下さい。
中学は柔道部だったのですが、高校一年生の時に三年の先輩に教室に連れて行かれて、アメフトをやれって言われたんです。でも高校に入ったら柔道は辞めるつもりでしたし、アメフト部はもてそうな気がしたので(笑)、やってみようかと。
――高校の時からポジションはLB(ラインバッカー)でしたが、なぜですか?
まずオフェンスかディフェンスかと言われた時に、タックルされるよりはする方が良いなと思って。やられるよりは、やる方が良いではないですか! LBなのは体格の問題もあるのですが、足が速くないし体も大きくないのですから。それにディフェンスの司令塔で一番頭を使って相手チームオフェンスの動きの読むことが、自分の最大の持ち味だと思うからです。
――大学に入学してもアメフトを続けているのはなぜでしょうか?
高校の時に関東大会に出場していれば辞めていたかもしれないのですが、惜しいところで負けて出場はできなかったのです。でもチームにはうまい選手が多かったので、もう少し頑張ればいけるのではないか、と思って大学でも続けています。その時のチームメイトでも大学で続けている人はいますね。
――今年度はディフェンスリーダーを務めていらっしゃいますが、その役割を教えて下さい。
ディフェンスの細かいシステムを考えたり、練習メニューを考えたり、というのが主な仕事ですね。チーム全体の大きなことを監督が決めて、その中のディフェンスの時間で何をやるのか、ポジションごとに何をやるのかなどです。高校の部活のキャプテンを想像してもらえれば分かりやすいと思います。
――なるほど。リーダーとして気をつけていることもありますか?
リーダーとして自分がしっかり精神的にもプレー的にも引っ張っていくところと、ディフェンスメンバーの意思統一の二点ですね。全員がバラバラなことをやっていても、まとまらないですから。
――自分で引っ張っていく…。オフェンスリーダーの保田選手とは随分違うのですね。
そうですね。保田はひとりで引っ張っていくのではなくて、周りと調和していこうと思っているようですね。逆に僕は「ついて来い!」と言う感じで周りとどうこうというのは苦手で…。でも保田には自分なりに決めたやり方があるので、頑張って欲しいと思っています。
――逆にリーダーとして足りない部分はありますか?
試合中にすぐカーっとなってしまうところですかね(笑)。ケンカとかしてしまうのですよ。もう四年生なのだし、もうちょっと冷静になって控えないと、と思うのですが…。さすがに練習ではなくなりましたけれど。
――カーっとしてしまうのですか。
そうですね。でもアメフト部で四年間過ごしたことによって、自分がつっぱしっても何もできないということがわかりましたね。人の言うことを聞いた方が、良い方向に向かうこともあります。アメフト部にはいろんな人がいて、アメフトだけではなくて人間的にも成長できたかな、と。人間としての生き方みたいなものを覚えた気がします。
――話は変わりますが、アンケートの「大学スポーツについて」のところでもっと興味を持って欲しいと書かれていますが?
大学生のアメフトの試合ってガラガラではないですか。ラグビーなどはすごいお客さんが入るのに。僕がもしサッカーなどをやっていて、アメフトやっているから見にきてと言われたとしても、面倒くさいとか言って行かないと思うし…。やっぱり今のままでは厳しいのかなと思いますね。
――どうすれば良いと思いますか?
小中学生がやっていないと結構厳しいと思います。中学生の時もアメフト部はあったのですが、裾野が狭いから三年間試合がなくて部員が入らなかったですし。やっぱり小さい子供にいっぱい観にきて欲しいですね!
――そうですね。それでは選手としての目標を教えていただけますか?
誰よりも試合で一番タックルしたいですね。一番タックルして、一番目立ちたいです!
良い意味でのマイペースさがあり、自分でメンバーを引っ張っていくのが嫌いではないという柳生選手。保田選手と全く異なるリーダー像。しかし全く違う両翼だからこそ、そのふたつが合わさった時、強い力が発揮されるのであろう。「ひとりひとりの力が合わさった時、大きな力が発揮できるチーム」それがBIG
BEARSだと、スタッフは口を揃えて言っていたのを思い出し、納得した。なぜBIG BEARSが強いのか?それはあなたが実際に観戦に行って自分で発見して欲しい。そこにはBIG
BEARSと同じ空間を共有した人の数だけ、答えがあるはずだ。
※全10回に渡って送ってまいりましたリレー人物紹介は今回で最終回です。
ここまでお付き合いくださった読者の皆様、ありがとうございました。
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